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[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図
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印刷2008/08/19 16:58

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[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図

 ドイツのライプツィヒ・メッセにおいて,現地時間の8月20日より開催されるGames Conventionに先駆け,ヨーロッパでは最大規模の開発者会議GCDC(Games Convention Developers Conference)が既に開催されている。その初日の基調講演は,Epic Games社長マイケル・キャップス(Michael Capps)氏による,「Gears of War 2」の制作意図についての講演だった。

11月に発売される予定の「Gears of War 2」は,Epic Gamesの長所であるグラフィックスやオンラインモードで,とくに大幅な進展が見られそうだ
画像集#002のサムネイル/[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図

 Gears of War 2は,2006年11月にXbox 360専用アクションゲームとして発売された「Gears of War」の続編である。18歳以上が対象ながら,通算で500万本のセールスを達成した人気作だ。今回も,今のところXbox 360エクスクルーシブとして2008年11月にリリースされることになっているが,前作のように,いずれPCにも移植される可能性は十分にあるだろう。

Epic Games社長Michael Capps氏
画像集#001のサムネイル/[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図
 さて,キャップス氏の講演タイトルは,「The Making of Gears of War 2」(Gears of War 2の制作について)というものだ。当然,まだ完成していないので,キャップス氏が用意したPowerPointのスライドには,「So Far」 (今のところ)という文字がつけ添えられていた。もっとも,講演の内容は制作過程そのものを解説していくのではなく,「Gears of War 2制作における,開発者達の判断や意図」を説明するものだった。
 まず,キャップス氏はEpic Gamesが16年前(1993年)に設立されて以来,ストーリーで繋がっている続編の制作は初めてだと説明する。確かに,同社の以前の看板タイトルであった「Unreal」や「Unreal Tournament」シリーズは,その世界感が統一されていても,明確な形でストーリーが連結しているものではなかった。ほかのゲーム開発会社では普通のことでも,Epic Gamesにとっては新鮮な試みというのは面白い話である。

 続けてキャップス氏は,Gears of Warの成功理由として,以下の四つを挙げる。

1. しっかりと練られた知的財産であること
2. SFながらも地球っぽさの残る馴染みある世界であること
3. アンチヒーロー
4. 視覚的な存在感


 三つめの「アンチヒーロー」とは,モラルや行動などが正当な“ヒーロー”とはズレており,ときには粗暴で汚い手段も使うが,その行動にはプレイヤーも共感できるようなキャラクターのことをいう。ほかのゲームや映画では,アンチヒーローとは敵役を指すこともあるが,当然ながらGears of Warでは,残虐な行為を使いながらも「人類最後の砦」(Humanity's Last Stand)である主人公のマーカス・フェニックスのことを指す。

シングルプレイ向けキャンペーンでも,仲間達との協力をさらに強調したようなストーリーになる。多くの建物も破壊可能になる
画像集#004のサムネイル/[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図

 Gears of War 2の開発にあたって,キャップス氏らEpic Gamesの開発メンバーが心掛けたというのが,「New,Better,More」という標語だ。つまり,続編は前作よりも新しい要素を取り入れ,改良できるものは改良し,さらに多くのコンテンツを盛り込むという意味だが,これは何もGears of Warシリーズに限ったことではなく,Epic Gamesのほかの作品でも同じだろう。
 Epic Gamesでは,Gears of War 2の企画において,まず前作のグラフィックスや操作性,モンスターや銃器アイテムなど16種の要素にゲームを分解し,一つ一つに焦点を当てていくことでゲームを煮詰めていったという。すべての要素をNew,Better,Moreにするのではなく,必要のない部分は切り取り,良い部分にはさらに焦点を当てていったのだ。キャップス氏は,「Epic Gamesの得意分野だと思っていた要素を再考するのが,一番難しかった」という。

キャップス氏の背後のスライドでは,Nightmarish Horrorという標語もあるが,これは今では多くのゲームに多用され過ぎて魅力のないものになったと,赤いバッテンマークが付けられた
画像集#003のサムネイル/[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図
 Epic Gamesの専門分野といえば,やはりグラフィックスやオンラインモードのことだろう。グラフィックス面では,2では「群集システム」が新たに追加されている。前作は,主人公が「人類最後の砦」というわりには,敵の数が多くもなく,狭い路地で向かってくる数匹のモンスターを撃ち殺す程度という趣向だった。そのため,「2」ではゲームエンジンに新機能をフィーチャーし,100匹以上のモンスターを表示できるようにすることで,人類の存亡をより鮮明に浮き出さそうとしているわけである。
 また,美しい世界が破壊されてしまうというのもGears of Warの世界感の特徴ではあったが,その景観はほとんど敵の手によって既に破壊されていたものであり,プレイヤー自身が関わっているわけではなかった。今回は,樹木のリアルさやテクスチャの細かさなどがチューニングされており,さらに建物など多くの部分をプレイヤー自身が破壊でき,その面白さが追及されているという。このように,先端技術をただの見世物にするのではなく,ゲームデザインと共生するよう並行開発していく,というのは確かに非常に繊細で難しい部分であるのは想像に難くない。

おそらく,Co-opのHordeモードと思われる画像。無数のモンスターはすべてAIや物理演算でコントロールされている
画像集#005のサムネイル/[GC 2008#01]Epic Games社長が明かす「Gears of War 2」の制作意図

 Gears of Warは元来,4人の精鋭部隊が助け合いながら進んでいくというCo-op的なゲームシステムであったが,「2」のシングルキャンペーンのストーリーも,それを中核に構成されている。マルチプレイモードにおいても,仲間達で協力し合うことを強調したゲームモードが採用され,何十人ものマーカスやドミニクが撃ち合うようなデスマッチは考慮されていない。
 その代わり,「Unreal Tournament 2003」で人気を博した「Invasion」モードのような,「Horde」モードというものが追加され,次々と味方の陣地に押し寄せてくる敵を一定時間防ぎ続ける,マゾ的な協力プレイが楽しめることになりそうだ。また,キャプチャー・ザ・フラッグもGears of Warの世界感に合わないことから変形され,「Submission」モードという人質を取り合うようなゲームモードが紹介された。これは,以前は「Meat Flag」と呼ばれていたもので,NPCキャラクターを楯にすることで相手の攻撃を避けるゲームプレイを,マルチに利用したものと考えれば良い。

 基調講演の最後には,E3 2008で紹介されたのと同じ「Sinkhole」というマップでのライブデモが行われた。それほど目新しい内容ではかったものの,今回は敵キャラであるモーラーの持つシールドの使い方や,いくつかのフィニッシュムーブ,チェーンソーを合体させたランサー・アサルト・ライフルによる攻撃なども公開された。
 このチェーンソー付きランサーは,すでに実物大の模型がAmazon.comで140ドル(約1万5400円)で発売されているなど,Epic Gamesは話題作りにも余念がない。同社は,Gears of War 2ばかりでなく,傘下に収めたばかりのポーランドのPeople Can Flyの開発による新作ゲーム(詳細未発表)をElectronic Artsから販売させることを発表するなど,これまで以上に注目していく必要がありそうだ。

あの赤いドクロのマークも,Gears of Warのシンボルの一つ。勝手にファッションシューズのロゴに使用されてしまったケースもあるらしい
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