［E3 2008＃35］あちこち進化しまくったGTA風クライムアクション「Saints Row 2」のデモを，THQブースでチェック

　クライムアクションと聞いて，老若男女誰もが思い浮かべるのがGrand Theft Autoシリーズだろう。緻密に作られた巨大な街を好きなように歩き回りつつ，大きな声では言えないようなミッションをこなしていくというエポックメイキングなゲームであるGTAシリーズは，今に至るも大ヒットを続けており，当然ながらたくさんのフォロワーが生まれた。
　とはいえ，GTAとはちょっと違ったことをしなくてはと思うのは人情で，多くの場合，その「ちょっと違ったこと」が理由でつまらなくなり，評価に結びつかないようだ。面白いならそのままでいいのにと長らく思っていたが，私と同じように考えた人達が制作した（らしい）直球系のタイトルが，「Saints Row」である。

　2006年にTHQから発売されたSaints Rowは，架空の街Stillwaterで起きるギャング団同士の争いをバックストーリーに，違法公道レースや暗殺といったアクティビティをこなしてリスペクトを溜め，リスペクトに応じてアンロックされるメインミッションをやっつけていくというゲーム。プレイヤーはギャング団の一つSaintsのメンバーとして，街の支配を懸けた抗争に身を投じるのだ。

こちらは初代「Saints Row」（Xbox 360版）。なぜか4Gamerにはレビュー記事がある

　「似すぎ」という意見はあったものの，欧米では大ヒットし，続編である「Saints Row 2」の制作も決まった。と，ここまでは興味深い話ではあるものの，Saints Rowは対応機種がXbox 360版のみだったことから，4Gamerではあまり積極的な記事展開をしてこなかったのも事実。ところが「こちら」でもお伝えしたように，Saints Row 2ではPC版もリリースされるという話になった。PC版の話がちっとも聞こえてこないGTAシリーズ最新作「Grand Theft Auto IV」に対抗するという意味合いもあるようだが，ま，なんにせよ捨ててはおけないので，THQのプライベートルームを訪問したわけである。

THQのRoje Smith氏

　Saints Row 2の制作は，「Red Faction II」「The Punisher」などで知られるTHQ傘下のスタジオ，Volitionが担当している。Volitionは今回のE3 Summit 08に本作のほか，これまた人気作の続編となる「Red Faction: Guerrilla」も持ってきているという忙しさだ。プライベートルームの一角にはデモスペースがしつらえられており，Xbox 360版での紹介が行われていたが，残念ながら画面撮影は禁止だった。

　さて，ゲームの説明をしてくれたRoje Smith氏によると，今回のSaints Row 2は前作終了の5年後からスタートする。以下ネタバレ注意だが，前作最後の大爆発で生き延びた主人公は大怪我を負いながらも生き延び，現在Prison Island刑務所に収監されている。ここで本作の最初のフィーチャーである「キャラクターのカスタマイズ」が紹介された。


　「怪我を負った主人公に整形手術を施す」という設定なのだが，目の色から髪型，顔の形から鼻の高さまで，「Oblivionぐらいのことはできる」と担当者が胸を張るだけあって，用意されたパーツはめちゃくちゃ多彩だ。刑務所の医療施設がこれほど高度な整形技術を持っているとはまったく知らなかった。さらには性転換さえオッケーで，今回は女性キャラクターにもなれるのである。刑務所，おそるべし。声や歩き方などもチョイスできるため，野太い声でしゃべり，ノッシノッシと歩く女性といったミスマッチな主人公にもなれる。


　さらに，刑務所を出てお金を貯められるようになれば，外見にも凝れるとのことで，普通の服装だけでなく，水着から着ぐるみまでなんでもある。さらに，この5年のうちにStillwaterも再開発が進み，前作にはなかったさまざまな地域，例えば大学，原子力発電所，ショッピングモール，地下トンネルなどが増えている。前作にあった地域もほとんどが作り直されており，かつてのStillwaterを知るプレイヤーはその変化の大きさに驚くだろうとのことだった。総じて続編としての量的拡大は十分すぎるほどであり，乗り物系やアクティビティの種類なども，ぬかりなく増えているのだ。

　ちょっと話が先走ってしまったようだ。ともあれ刑務所にいたのではゲームが進まないので，いよいよ脱獄という話になる。本作はマルチプレイ機能もパワーアップしており，ストーリーモードの途中でほかのプレイヤーが飛び込んでくるという，最近ちょっと流行りのCo-opモードが導入されているとのこと。つまり脱獄を図ろうとしているプレイヤーのゲームに別のプレイヤーがジャンプインし，二人で協力してミッションをクリアできるというわけだ。ここで2台のXbox 360が使用され，実際にシーンを見せてもらった。
　次から次へと出てくる刑務官を撃ち倒し，看護士を殴り倒して進んでいく二人のプレイヤー，などと書くとバイオレンス度が高めなのかと思う人も多いかもしれないが，実際はショットガンで撃たれた警官が空中高く飛び上がったり，ほんの数発撃ち込むだけでパトカーが炎上したりと，かなりマンガチック。火薬使いすぎのアクション映画を見るような雰囲気で，殺伐さはほとんど感じられない。本作では，前作以上に派手で強力な兵器が数多く登場し，破壊可能なオブジェクトも大幅増量とのこと。
　二人で協力して戦ったおかげで脱獄は無事成功し，主人公は自由の身になった。ここでもう一人のプレイヤーはゲームを離れ，それぞれがまたそれぞれにゲームを進めることになる。マルチプレイについては，同じプラットフォーム同士ならもちろん大丈夫だが，マルチプラットフォームには対応していないとのこと。

　パワーアップしたカスタマイズ機能やオンラインの協力プレイなど，シリアスなGTAシリーズに比べて遊びの要素をたっぷり組み込んだというSaints Row 2。PC版「Grand Theft Auto IV」の話がまったく聞こえてこない今，肩肘張らない気軽なアクションゲームを楽しみたいという人にはよい選択肢の一つになりそうだ。