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海外ゲーム四天王 / 第25回:「Shattered Horizon」
今から40年後,月の豊富な鉱物資源を発見した人類は,月面に巨大な採掘施設を建設し大規模な採掘を行っていた。だがある日,鉱山で発生した爆発事故は瞬く間に連鎖反応を起こし,ついには月そのものを破壊してしまうという,人類史上空前の大災害となってしまった。
破壊された月の破片は地球と月の間に無数に散らばり,アーク(Arc)と呼ばれる小惑星帯を形成。そのため,鉱山にわずかに生き残った作業員と,国際宇宙ステーション(ISS)で研究活動を続けていたインターナショナル・スペース・エージェンシー(ISA:International Space Agency)の科学者達の帰還を不可能なものとしてしまった。
地球へ帰るすべを失った鉱山作業者達と科学者達は,それぞれ二つの勢力に分かれ,わずかに残った物資を求めて,生き残りをかけた凄惨な戦闘を開始したのである。
今回紹介する「Shattered Horizon」は,そんなバックストーリーを持ったマルチプレイ専用FPS。オフラインのシングルプレイモードは用意されておらず,インターネットまたはLANによる最大32人のプレイヤーによる対戦が可能となっている。
※2009年12月8日追記
初出時,記事内容に誤りがありました。収録されたマップは4種類で,ゲームモードは3種類が用意されています。お詫びして訂正いたします。
さて,本作最大の特徴は,無重力の宇宙空間における戦闘だ。3D空間を自由自在に飛びまわれるので,プレイヤーは左右や背後に注意を払うだけでなく,頭の上や足の下にまで気を配らねばならない。
敵はあらゆるところに隠れており,思ってもみないような場所から出現して,こちらを攻撃してくる。無重力の宇宙では上下という概念がないので,二人の敵が宇宙を漂う岩のカケラの表側と裏側にすっくと立っている,などといったちょっと不思議な光景も見られる。慣れないうちは,自分がどこから撃たれているのかも分かりにくく,このへん,重力のあるほかのゲームとは違う新鮮な感覚を味わえる。
ジェットパックを使った移動には慣性があるので,例えば前進しているときにキーを離しても,その場でピタリとは止まらず,何かにぶつかるか,あるいは別の方向へ移動しない限り,そのままどこまでも飛んで行ってしまう。そのため思ったように動くことが難しく,FPSに慣れたベテランプレイヤーでも,本作で自由自在に動き回れるようになるには多少の時間がかかるだろう。
もちろん空間を飛んだり漂ったりするだけでなく,コンテナの上や宇宙ステーションの外壁といった場所では,足を地面につけての歩行もできる。Shiftキー(デフォルト)を押すと自動的に降下し,足が地面に触れると,鉄が磁石に吸い寄せられるようにピタリと着いてくれるのだが,一般のFPSと違って,走る動きがほんの少しだけゆっくりしたものに調整されており,まさに「宇宙服を着て歩くとこうなるのかもしれない」と思わせるような感覚である。いや,宇宙服を着たことはないので,どのくらいリアルかと聞かれても困るが。
グラフィックスの美しさも特筆すべきものだ。戦闘の舞台となるのは,地球の衛星軌道上に漂う無数の岩のかけらや宇宙ステーションなどで,岩の質感や,ステーションの太陽電池パネルの光沢,そして岩塊の向こうから顔を出す太陽の眩しさなど,どれも息を呑む美しさだ。
青い地球はさらに魅惑的で,テレビのニュース映像で,スペースシャトルなどから撮影された地球の写真を見たことのある人も多いと思うが,まさにそのままの光景が眼前に広がっている。ああ,地球に帰りてえなあ,かあちゃーん! とか叫べば気分も高まるはずだ。とはいっても戦闘中はそんな美しい光景を堪能しているヒマはない。どうしても見たいなら無人のサーバーか,練習用サーバーに入ってじっくり眺めてほしい。
本作を開発したのは,フィンランドに本拠を置くデベロッパFuturemarkが本作のためにわざわざ設立したFutureMark Game Studioだ。ご存じのように,Futuremarkは,3DMarkシリーズやPCMarkシリーズといった,ベンチマークソフトを開発しているメーカーである。
ベンチマークソフトとは,PCのCPUやHDDの性能などを調べるツールであり,PC自作マニアなどがいろいろ世話になっているはず。その中でも3DMarkシリーズはゲーム御用達の定番ツールとして有名だ。
もともとFuturemarkは,Max Payneシリーズで知られるRemedy Entertainmentが,自分達の作ったベンチマークソフト,「Final Reality」のサポートをするために設立したメーカーなので,ゲームとの親和性は非常に高い会社。いつか何かを作ってくるだろうと予想していたPCゲーマーも多く,それが本作「Shattered Horizon」だったわけだ。
現在のところデモ版が用意されていないため,購入する以外に本作を体験できないのが残念だが,対戦モノのFPSが好きで,目新しいタイトルをプレイしたいというのなら,考慮の対象にしてもいいだろう。
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