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[GC 2008#49]スチームパンク風アクションアドベンチャー,「Damnation」が一般公開
歴史は微妙に歪んでおり,約40年の戦乱の末,国内は北軍(Union)と南軍(Confederacy)ではなく,NationalistとCoalitionとの戦いに変わっている。さらに,W.D. Prescott率いるPrescott Standard Industries(PSI)が,自らの覇権を打ち立てるために作った軍隊によって人々の暮らしを脅かしているという状況だ。
主人公のCaptain Hamilton Roukeは,そんなPrescottに対抗するゲリラ組織,Peacekeepersのメンバーで南北戦争の英雄。黒ずくめの服を着て黒いテンガロンハットをかぶったマッチョな男で,婚約者をPrescottに殺されたことから,個人的な復讐のためにもPrescottの軍に戦いを挑むのである。
西部劇とSFという,なんとなく相性が悪そうな二つの要素をくっつけたサイバーパンク調のストーリーはいかにもB級映画風で,なかなか心を躍らせるものがある。
デベロッパはアメリカのBlue Omega Entertainmentで,映画制作会社のゲーム部門として2003年に設立された同社の最初の作品が,このDamnationになるらしい。GCでは,「Operation Flashpoint 2: Dragon Rising」と同様,一般の観客をブースに入れ,開発者が直接紹介を行うというスタイルが取られていた。説明はBlue OmegaのLead Game DesignerであるJacob Minkoff氏が行った。
Jacob Minkoff氏 |
Roukeはジャンプや壁登り,ぶら下がりといったさまざまなアクションが可能で,その能力を使って戦略的に都合のよい位置に移動して戦うことがゲームの基本になる。例えば,PSI兵士の中には分厚い装甲服を着込んだ連中がおり,持っている武器も強力なので,正面から戦えばまず勝ち目はない。ではどうするか? Jacob氏が操作するRoukeは,はしごを登り,窓ガラスを破って建物の中に飛び込み,ロープを伝ってとある建物の屋上に出た。そこからは下を歩く敵の装甲歩兵の姿が見える。彼らの弱点は背中にしょったスチームのボンベで,真上から銃弾を撃ち込めば簡単に破壊できるのだ。
こういった感じで,高さを利用した仕掛けがあちこちにあり,それらを用いて有利に戦闘を進めることが必要になる。また単純に,ルートをなんとか見つけだし,およそ行けなさそうなところに行かなければならないという場合もある。
高度の表現は,それに重点が置かれているだけに非常によく,Roukeが上へ上へと向かうにつれ,視界が開け,やがて地平線の彼方まで土地が広がっているように見えるなど雰囲気抜群だ。アメリカ西部というだだっ広いロケーションも,そのムードを高めるのに役立っている。
高所恐怖症気味の人は避けたほうがよさそうなほどだが,グラフィックス全体はそれほどハイレベルというわけではない。ただこれは,あくまでデモに使われたのがコンシューマ機版だったということで,高解像度での表示が可能なPCでどうなるのかは不明だ。
Jacob氏は,戦闘もハイテンションなものになり,プレイヤーのアクションスキルが要求されるとしているが,デモを見る限りAIの挙動はそれほどでもないような印象。正しいポジションを見つけられれば戦闘がかなり有利になるので,戦いに自信がないプレイヤーはパズルに挑み,自信があれば撃ち合いに挑むというゲーム性になるのだと思われる。
また,マップの攻略方法は一つではなく,必ず複数の攻略ルートが用意してあるというが,こちらもデモを見る限り,リニアな一本道のように思えた。このへんは,もっと情報が出てこないと分からない。
広大なマップを自由に行き来して戦うというのがFPSジャンルにおける一つのトレンドになっているが,アクションアドベンチャーでは,それに高さの要素を加えたタイトルが増えつつあるような気がする。Electronic Artsの「Mirror's Edge」や,Eidos Interactiveの「Tomb Raider: Underworld」あたりがライバルになりそうで,ミッションのバラエティをどれほど増やせるか,どんなキャラクターが出てきてどのようなストーリー展開になるのかなどが成功の鍵となるだろう。
小粒な感じは否めないタイトルだが,発売時期によっては大化けする可能性もある。発売は2008年冬となっており,対応機種はPCのほかXbox 360とPLAYSTATION 3だ。
- 関連タイトル:
Damnation
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