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  • 発表日:2008/06/04
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順当な性能向上。MSI製のIntel P45マザー「P45 Platinum」を試す
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印刷2008/05/16 23:17

テストレポート

順当な性能向上。MSI製のIntel P45マザー「P45 Platinum」を試す

 Intelは次期主力チップセットとして,「Intel P45 Express」(以下,P45)を準備中だ。既存の「Intel P35 Express」を置き換えるべく――具体的なスケジュールは明らかになっていないものの――そう遠くない将来に正式発表される見込みだが,今回4Gamerでは,MSIから搭載マザーボード「P45 Platinum」の量産前サンプルを入手したので,そのポテンシャルをチェックしてみたいと思う。

P45 Platinum
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン
価格:未定
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PCI Express 2.0に対応し,ICH10とセットになるP45

P45 Platinumは省電力を指向


「CPU-Z」(Version 1.45)を実行すると,P45+ICH10Rという構成になっているのを確認できた
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 正式発表前ということで,P45の詳細なスペックは明らかになっていないが,業界筋によれば,PCI Express 2.0をサポートすることと,2本のPCI Express x16スロットを8レーン×2という構成で利用できるようになったのが,P35に対するP45のメリットである。P35では,2-way ATI CrossFireX(以下,2-way CrossFireX)構成時に16+4レーンという構成になってしまい,パフォーマンスの向上を阻害する要因となっていたので,この変更は大きい。
 一方,FSBクロックが1333MHzまでのサポートになることと,メモリコントローラがDDR2,DDR3両対応で,DDR2 SDRAMはPC2-6400 DIMM,DDR3 SDRAMはPC3-10600までのサポートになることは,P35と同じだ。

 組み合わせられるサウスブリッジは「ICH10」「ICH10R」。ICH9世代から「1」上がっているが,Serial ATAやUSBのポート数にICH9から変化はない。開発コードネーム「Danbury Technology」と呼ばれる,ハードウェアレベルでのHDD暗号化機能が追加されているようだが,ゲーマーからすると,まあ,あまり関係はないのではなかろうか。

派手な概観のCircu-Pipe 2を搭載
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 さて,今回入手したP45 Platinumは前述のとおり量産前サンプルだが,エンジニアリングサンプル版のP45と,「SECRET」刻印入りのICH10Rを搭載。メインメモリとしてはDDR2 SDRAMをサポート。「遊園地」の愛称(?)で知られるMSI独自の冷却機構「Circu-Pipe」は,「Circu-Pipe 2」へと進化して健在だ。
 機能面では,CPU規定のFSBクロックに関係なくユーザーが任意にクロック種別を設定できる「OC Jumper」を用意するのがユニークなところだが,それ以上にMSIが強くアピールしているのが,「DrMOS」や「Green Power」といった省電力を指向する新機能群である。これらについては後述したい。

P45 MCH(左)とICH10R(右)。CPU-Zの表示内容からすると,試用した個体が搭載するP45チップセットはA2リビジョンのようだ
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8レーン×2のデュアルグラフィックスカードを想定して,PCI Express x16スロット間は2スロット空けられている。空いたスペースに置かれているジャンパ×2がOC Jumperだ
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 というわけで,今回はこのP45 Platinumを使って,P45チップセットのポテンシャルを探るわけだが,比較対象としてはASUSTeK Computer(以下,ASUS)製のP35マザーボード「P5K Premium/WiFi-AP」を用意。「ATI Radeon HD 3850」搭載グラフィックスカードのシングルカード構成時と2-way CrossFireX構成時で,ゲームにおけるスコアの違いをチェックする。

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EAH3850/G/HTDI/512M
オリジナル仕様の静音クーラーを搭載したリファレンスクロックモデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
実勢価格:2万3000円〜2万9000円(2008年5月16日現在)
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ULTIMATE HD 3850 512MB GDDR3 PCI-E
ファンレス仕様のHD 3850カード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:アスク(販売代理店) [email protected]
実勢価格:2万〜2万6000円(2008年5月16日現在)

 このほかテスト環境はのとおりで,テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠となる。ただし,テストスケジュールの都合により,「Unreal Tournament 3」と「Half-Life 2: Episode Two」のテストを省略している点は,あらかじめお断りしておきたい。

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 なお以下,グラフ中は2-way CrossFireXを[CF]と表記する。


CrossFireX構成時はP45が圧倒的優位

シングルカードでも優勢


 さて,まずグラフ1,2は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)のテスト結果である。シングルカード構成時は,PCI Express 2.0接続のメリットが出た,とまでは断言できないものの,わずかではあるがすべての条件でP45がP35よりも高いスコアを出している。
 さらに,圧巻は2-way CrossFireX構成時だ。16レーン+4レーンという,バランスの取れていないP35に対して,8レーン×2となるP45のメリットは明らかだ。

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 同様のことは,FPS「Crysis」でも見て取れる(グラフ3,4)。「標準設定」は,3DMark06の結果を踏襲したものになっているといっていいだろう。
 しかし,「高負荷設定」だと,2-way CrossFireXのパフォーマンスが今一つ出ない。シングルカード構成時よりスコアが下がっているP35と比べれば“マシ”だが……。

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 TPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)から,実際のゲームシーンに近いSnowにおける平均フレームレートまとめたものがグラフ5,6。ロスト プラネットでも,標準設定ではシングルカードでわずかにP45が優位,2-way CrossFireX構成時は圧倒というスコアになっている。
 問題は高負荷設定で,P45における2-way CrossFireX構成のスコアがシングルカード構成時のスコアを下回っているのはいただけない。P45だけでなくP35のスコアも悪いので、ATI Catalyst 8.4の問題と考えるのが妥当だろう。

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 最後にRTS「Company of Heroes」の結果をグラフ7,8に示すが,Company of Heroesでは,高負荷設定においても2-way CrossFireXのスコアはP45がP35を圧倒。P45のPCI Expressレーン仕様が十分なメリットをもたらしている。

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 最も2-way CrossFireXのスコアが伸びたCompany of Heroesで,解像度ごとにシングルカード構成と比べて何%のパフォーマンス向上を示したかをまとめたのがグラフ9。あくまでベストケースのデータであることに注意は必要だが,P45の登場により,Intelプラットフォームのミドルレンジ向けチップセットでも,2-way CrossFireXのパフォーマンスを期待できるようになった点について,憶えておいて損はなさそうだ。

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消費電力の低減に効果を発揮すると謳われる

DrMOSとGreen Powerの実力は?


P45 Platinumの上位モデルとなる「P45 Diamond」を手に,DrMOSの解説を行うEric Chang氏(Project Assistant Vice President, DPS PM Department 1, MSI)
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 さて,MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンは,2008年5月16日に都内で「DrMOS」に関する報道関係者向け説明会を行った。
 一言で説明するなら,DrMOSは,電力の高効率化機能である。MSI本社のEric Chang(エリック・チャン)副社長は「DrMOSでは,従来のマザーボードで利用されていたMOSFETやドライバICをワンパッケージに統合することで,MOSFETのオン/オフ切り替えをよりシームレスに行うことを可能にし,かつリーク電流を減少させる」と,DrMOSのメリットをアピールする。

説明会で示されたDrMOSの概要とメリット。Chang氏は,「CPUをオーバークロックして,さらにフルロードの状態にしても,DrMOSの温度は70℃を超えない。他社のMOSFETは触るとやけどするが,MSIなら大丈夫」と,繰り返し強調していた
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P45 Platinumの電源周り。DrMOSチップを5個搭載する
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 DrMOSというのはMSI独自の呼称で,実際のところはハイエンドのサーバー機器で用いられている「Driver-MOSFET」の第2世代品。別に,MSIの“専売特許”というわけではないが,これまでハイエンドのサーバー機器でしか用いられてこなかったDriver MOS=DrMOSを,一般ユーザー向けのマザーボードで採用した点に価値があるとChang氏。他社のマザーボードが持つ省電力機能はDrMOSに比べると十分なものではないとして,「他社は嘘つきだ」と切って捨てた氏は,今後はP45 Platinumより下位のマザーボードにも,消費電力と発熱の低減に効果が大きいDrMOSを順次搭載していく計画であることも明らかにした。

P45 Platinumは,ルネサス テクノロジ製のDrMOSチップ(=Driver-MOSFET)「R2J20602NP」を搭載(左)。右は説明会で公開されたDrMOSチップだ。TopとBottomのMOSFET,ドライバICの三つが集積されているが分かる
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P45 Platiumは利用中のVRMフェーズ数をLEDの点灯数で通知する機構が用意されている。写真の例では,1フェーズが動作しているので,一つだけ点灯中
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 そして,このDrMOSを活用する機能が「Green Power」だ。本機能は独自の設定ツール「Green Power Center」から利用可能となる。Green Power Centerは,従来のMSI製マザーボードでも用意されていたユーティリティソフト「Dual Core Center」の1機能として提供され,有効化するとアイドル時にはVRMのフェーズ数が減少し,消費電力を低減できるというのがウリ。また,Green Powerでは,メモリモジュールやP45チップセット(=MCH)への電源供給回路フェーズ数も制御可能になっている。

Green Power CenterのUI(左)。電源フェーズ数を手動でも設定可能だ(右)
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 実際のところはどうだろうか。まずはGreen Powerを無効化した状態で,OSの起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,3DMark06を30分間リピート実行し,最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」とし,各時点におけるシステム全体の消費電力をまとめたのがグラフ10だ。
 もちろんP45 PlatinumとP5K Premium/WiFi-APでは搭載するオンボードデバイスが異なる。そのため,100%横並びの比較にはなっておらず,今回の結果をもってDrMOSの有効性を断じることはできない。この点は注意してほしいが,高負荷時の消費電力を比較したとき,P45 PlatinumのそれがP5K Premium/WiFi-APを下回るのは確かである。

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 続いて,P45 PlatinumでGreen Powerの有効/無効を切り替え,同様のテストを行った結果をグラフ11に示す。Chang氏が強調するほど明確なメリットは感じられないスコアで,誤差とも取れる範囲だが,わずかに下がり気味な傾向は見て取れる。このあたりは,量産品であらためてテストする必要があるかもしれない。

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価格次第だがパフォーマンスでは及第点

P35を置き換えるチップセットとして期待できる


P45 PlatinumのI/Oインタフェース
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 2008年後半以降に予定されているIntelのロードマップを見る限り,P45は向こう1年以上に亘(わた)って長く使われるチップセットになるはずだが,P45 Platinumの量産前サンプルが示したスコアは,P35を置き換えるチップセットとして十分期待できるものだ。スペック的にも,IntelのミドルクラスチップセットがPCI Express 2.0をサポートし,さらに2-way CrossFireX構成時にも“融通が利く”ようになるのは歓迎できよう。
 現時点ではマザーボードの登場タイミングと価格が分からないので,これ以上の言及は行えないが,少なくとも,近いと思われる正式発表を待つだけの価値はありそうである。

ところで説明会では,Chang氏いわく「世界初公開」のDDR2/DDR3コンボマザーボードが披露された。P45 Platinumでは「マーケティング的な事情で」(同氏)Circu-Pipe 2を採用したが,DrMOSを採用すれば,それほど大がかりな冷却機構は必要ないと強調する
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VRM部の「TOUCH」は,「触っても熱くない」アピールで,MSIはDrMOSにかなりの自信を持っているようだ。なお,製品名が明らかになっていない同製品では,より高品位なHigh-c(Highly-conductive polymerized Capacitor)を電源部に搭載する予定
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MSIは説明会で,同社が「Hybrid Freezer」と呼ぶ独自の冷却機構を備えたGeForce 9600 GT搭載グラフィックスカード「N9600GT Hybrid Freezer」の動作デモも行った。2Dモードでは完全にファンを停止,3Dモード時もGPU温度が90℃を超えるまではファンを動かさないことにより,高い静音性を発揮するという
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