レビュー
光学センサー搭載で,DHARMA TACTICAL MOUSEは何が変わったのか
DHARMA TACTICAL MOUSE OPTICAL(DRTCM02)
» DHARMAPOINT第2弾となるワイヤードマウスのレビュー記事をお届けしたい。第1弾製品のマイナーチェンジではあるが,レーザーから光学へと,キモのセンサーが変更されており,気になっていた人は多いと思われる。果たしてfumio氏は,新製品の使い勝手をどう評価しただろうか。
その名も「DHARMA TACTICAL MOUSE OPTICAL」(型番:DRTCM02,以下型番表記)で,その名のとおり,光学センサーを搭載するのが最大の特徴だ。一方で,本体デザインはマイナーチェンジに留まる本製品だが,キモとなるセンサーの仕様変更によって,その実力はどう変化したのか。じっくり検証してみよう。
引き継がれた軽量かつ小ぶりなデザイン
本体側面の質感とホイールに変化が
そのため,基本的な仕様についてはDRTCM01のレビュー記事を参照してもらうとして,本稿ではDRTCM01との違いを中心に触れていきたい。
さて,DRTCM02を持ってみてまず気づくのが,本体両サイドの材質である。
DRTCM01ではザラザラ加工の施された樹脂が採用されていたのに対し,DRTCM02ではラバーコーティング加工へと変更されている。微妙な変更であるうえ,最終的には個人の好みに依るところが大きい部分なので優劣はつけがたいが,指の滑りにくさではDRTCM01,フィット感ではDRTCM02が優れている印象を受けた。
もっとも,違いは「両者を左右の手で持ち比べると,DRTCM02のほうがほんのわずかに重くなったような感じを受ける」程度。実際に使う分には,まったく気にならない。
“誤爆”しやすい,右サイドボタンも,DRTCM01と同じだ |
スクロールホイールの変更は,意外にも,使い勝手にかなり大きな違いをもたらした |
そんななか,変更があったのがチルト機能付きのスクロールホイールで,DRTCM01では,刻みがなく,丸みを帯びて中央部分が盛り上がったものを採用していたのに対し,DRTCM02では,細かい溝が刻まれた,起伏のないものに入れ替わっている。部品の変更に伴って,DRTCM01よりも軽い力で回せるようになっており,ノッチ引き込みの感触もよくなったのは好印象だ。
半面,ホイールクリック時に,力の入れ方次第で意図せずチルトが入力されてしまったり,中指をスクロールホイール,薬指を右メインボタンにあてがう持ち方では,チルトさせようとしたときに指が滑りやすかったりしており,これらは少々気になった。チルトホイールによく使うキーを割り当てる場合は,注意して操作する必要がある。
スペックシート上の性能は低下したが
光学センサー化で,より精密な操作に対応
ではなぜ,ゲーマー向けブランドを謳うDHARMAPOINTは,第1弾製品にレーザーセンサーを採用したのか。
その理由は,DRTCM02の製品マニュアルにある「プロダクションノート#006」に詳しく書かれているのだが,一言でまとめると,
「処女作に『光学センサー搭載ワイヤードマウス」のような(一般市場からすると)ニッチで,時代遅れとも取られかねない製品を発売するのはリスクが高く,関係者を説得できなかった」
ため。だがDHARMAPOINTとしても,高性能な光学式モデルを出したいという気持ちは強く,第1弾製品の成功をもって,ようやくリリースにこぎつけたというのが真相だそうだ。
以上を踏まえ,実際の挙動をチェックしていこう。テスト環境は表2のとおり。
さっそく,気になるDRTCM02の追従性から見ていくが,今回は,レポートレート125Hzおよび500Hz,トラッキング解像度1600cpi,リフトオフディスタンス調整機能無効という条件で,
- ゲームを起動し,アイテムや壁の端など,目印となる点に照準を合わせる(※筆者は「Warsow」と「Quake 3」を用いた)
- マウスパッドの左端にマウスを置く
- 右方向へ30cmほど,マウス本体がマウスパッドから浮いたりしない条件で可能な限り全力でマウスを振る
- なるべくゆっくり,2.の位置に戻るようマウスを動かす
というテストを行った。試用したマウスパッドと,その結果は以下のとおりだ。
- DHARMA TACTICAL PAD[HARD TYPE](DRTCPW40H/DRTCPW30H):ポインタが飛ぶのを確認
- DHARMA TACTICAL PAD[SOFT TYPE](DRTCPW40S):問題なし
- Icemat Purple 2nd Edition:ごくわずかながらネガティブアクセルが発生
- Razer Destructor:問題なし
- Razer eXactMat Control:問題なし
- Razer eXactMat Speed:問題なし
- Razer Mantis Speed:問題なし
- SteelSeries QcK mass:問題なし
そのほかも,DRTCM01では動作が怪しかったマウスパッドとの組み合わせでも正常に読み取ってくれるあたり,さすが「光学式の頂点を極めたセンサー」(プロダクションノート#006)を搭載するだけのことはある。念のため,ほかのレポートレートに変更してみたりもしたが,それによって相性問題に変化が生じたりもしておらず,安定度は高い。
そんななか,意外な結果となったのが,DHARMA TACTICAL PAD[HARD TYPE]だ。筆者手持ちのDRTCPW40Hが摩耗しつつあったので,新品のDRTCPW30Hも用意してみたのだが,結果は同じだった。この点は記憶に留めておいたほうがいいかもしれない。
■操作感そのものはDRTCM01とほぼ同じ
次に,センサーの変更によって操作感に違いが生じるかどうかを確かめるべく,Warsowでテストプレイを行ってみよう。DRTCM01/02は,“マウスの性能を引き出すドライバソフトウェア”を持たず,「OS標準ドライバ」ことUSBクラスドライバで動作する。そのため,テストに当たっては,Windowsのコントロールパネルを中心にいくつか設定を行っている。マウスパッドは愛用のIcematを使いたいところだが,IcematとDRTCM01の相性がよくないため,今回はRazer Destructorを用いた。
- トラッキング解像度:1600cpi
- コントロールパネル:「ポインタ速度」のスライダを左右中央,「精度を高める」オプションをオフ
- Warsow側オプション設定:「Sensitivity」を3.0
- 使用マウスパッド:Razer Destructor
動作検証のため,高速で動かしたりすると,追従性には明確な違いが現れる――言うまでもなく,DRTCM02のほうが優秀だ――のだが,やや高めのマウス感度でプレイする筆者の場合,DRTCM01でも支障が出たりはしていない。筆者と同じような設定を好むプレイヤーにとって,DRTCM02とDRTCM01の操作感の違いは,ほとんど無視できるレベルだ。
ただこれは逆にいうと,ローセンシで勢いよく振り回すタイプのプレイヤーだと,違いがはっきり分かる可能性が高いということでもある。その意味では,DRTCM02のほうがユーザーを選ばないマウスだといえるだろう。
DHARMA CONTROLはDRTCM01/02両対応
インタフェースに目立った変化はなし
ダーマコントロールの概要はDRTCM01のファーストインプレッションを参考にしてほしいが,DRTCM02のそれは,DRTCM01と完全に共通。DRTCM01にリフトオフディスタンスの調整機能をもたらすものとして話題になった,原稿執筆時点での最新版であるバージョン2.0.8bは,DRTCM02でもそのまま利用可能だ(※ちなみにテストしたDRTCM02のファームウェアバージョンは0.46だった)。
リフトオフディスタンスとは,マウスを持ち上げて移動させるようなときに,センサーが反応しなくなる距離のこと。DRTCM02の場合,デフォルト値がは4638で,この値が小さいほど,マウスをあまり持ち上げずに移動できるようになるが,マウスパッドによっては,調整次第で「底に1円玉1枚を挟んだだけで反応しなくなる」程度にまで追い込めた。これは素直にすばらしい。
あまりに低い値を設定すると,高速で操作したときの挙動が怪しくなったり,そもそもマウスが反応しなくなり,別のマウスを用意して設定をやり直す必要に迫られたりするので,余裕を持って調整しよう。
DRTCM01の購入を考えている人には迷わずお勧め
安くはないが,軽量のゲーム用マウスが欲しいなら
また,実勢価格1万円以下のゲーマー向けマウスとして見ても,性能,機能面で他社製品に引けを取るような点はなく,軽量のマウスを好む「つまみ持ち」派にとって,DRTCM02は現実的かつ有力な選択肢であるといえる。マウスに7〜8000円払えるなら,一考の価値がある製品だ。
今回は機材をDHARMAPOINTから入手したのだが,同じタイミングでマウスソール「DHARMA SMOOTH FEET」シリーズ4製品も提供してもらえたので,軽く触れておきたい。
本シリーズは,DRTCM0シリーズ専用と汎用の円形,二つの形状それぞれに超高分子量ポリエチレンとフッ素樹脂の2素材が用意されており,選択肢としては4製品となる。これまでDRTCMシリーズ用の交換用ソールは存在していなかったので,DRTCM01/02のヘビーユーザーには待望の製品といえそうだ。
DRTCM0シリーズ専用となるDRMFPTA(左,フッ素樹脂)とDRMFHPA(右,超高分子量ポリエチレン)。製品パッケージには各1セットずつ封入される 汎用のDRMFPTR(左,フッ素樹脂)とDRMFHPR(右,超高分子量ポリエチレン)。こちらは16個1セットで封入となる
DRTCM0シリーズのマウスに標準添付されているソールは,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)というフッ素系樹脂製だが,DHARMA SMOOTH FEETのフッ素樹脂は,また異なる性質だ。専用ソールはDRTCM02デフォルトのソール,円形タイプは交換用ソールの定番である「Hyperglide」から,円形タイプの「MX-2」と比較してみたところ,滑りやすさは,
DRTCM01/02の製品ボックスには,替えのPTFE製ソールが1セット同梱されている
専用形状:
白(フッ素樹脂)>デフォルト(PTFE)>黒(超高分子ポリエチレン)
円形状:
Hyperglide>白>黒
といった感じだった。
なお,超高分子ポリエチレン製となる黒タイプは,耐久性の高さが謳われているが,Icematのような,ソールがある程度削れて,馴染んでからようやく適度な滑りを得られるパッド上で長時間振り回していても馴染む様子が見られなかったので,耐久度はかなり高いと見られる。
- 関連タイトル:
DHARMAPOINT
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