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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」
そういえば私,文章を書く職業に就きたかったのよ。昔から。具体的には高校生くらいから。で,印税生活で働かなくても生活できるようになりたかった。そう思って生きていたら,縁あってたまたま大学で学生プロレスを始めてしまった。そして大学を6年かけて卒業したんだけど,そのタイミングで思ったのよ。このまま大阪にいたらプロレスを続けちゃうなって。だから,一度人間関係をリセットするために身寄りのない東京にやってきたのよね。
そしたら,ある雑誌の編集の人が小さなプロレス団体の関係者で,「学生プロレスをヤっていたなら,練習に出てみない?」って誘われて。少し運動でもするかぐらいの気持ちで練習に出てみたところ,気付けばその団体の大会でカードが組まれていたっていう。
結局,そのままプロでヤっていくことになるんだけど,その時期に考えたのよね。夢の印税生活をするには,文筆の世界で一から積み上げていくよりも,プロレスである程度有名になってから文章を書くほうが,むしろ近道なのではないか,と。そんなこんなで今に至るんだけど,結局東京に来て20年近く経って,別の部分で気付いちゃうわよね。私には才能がない,という事実に。
おかげさまで,こうやって長らくプロレスラーという立場で4Gamerで文章を書かせてもらっているから,ある種物書きで生活するということはできているんだけど,これって結局いわゆるコラムサイズの文章なわけで。印税生活に必要なのは本一冊分の文章を書く力。その力が私には圧倒的に足りていない。なので,私は“商品となる文章”にすごく憧れを抱いているのよね。では,商品となる文章とは何か。
で,今回紹介するデスマッチラブコメ!は,レイジングループの作者が以前手掛けた「D.M.L.C.-デスマッチラブコメ-」(iOS / Android / Wii U)をリメイクしたものらしいのよ。そりゃまあプレイしてみるわよね。
まだ序盤もいいところだから内容の良し悪しまで触れられないんだけど,少なくとも「ああ,商品になる文章ってこういうものなんだな」とは思ったわ。どういうことかと言うと。この手のテキストアドベンチャーって,一つの画面ですんなり読める文字量ってせいぜい3行くらいなのよ。テキストとサウンドを重視した作品の場合は,その限りではないんだけど。
映像を見せながら読ませていくタイプの作品の場合は,その3行で今の状況を伝えないといけない。もちろん長文になると行送りもできるんだけど,逆に言うと行を進めてしまうと今度は前に出していた3行が消えてしまうわけだから,すぐ忘れられちゃう。なので,できるだけ3行を細かくつないでいって物語を展開しなければならない。
それでいて,あまりにも意味のありすぎる文章が続くと,これまたプレイヤーの集中力がもたなくなってしまう。だから,読み流させるべきところは読み流させる必要がある。結局のところ“商品になる文章”って,読まれてナンボではありつつも,一番伝えたいところを伝えなければならないという難度の高い文章のことなのですよ。まあ,これにはターゲット層という要素もあって,一概には言えないところではあるんだけど。
例えば,好きなアイドルが書いた文章って,どんなに読みづらくても集中して読むでしょ? それはそれで“商品になる文章”なのですよ。ファンに向けて書いている目的であればね。
ゲイムについて触れていない気がするけども,テキストアドベンチャーって目玉焼きみたいなもんで,卵の品質こそがおいしさのほとんどなのですよ。もちろん,まずくすることはいくらでもできるけども,逆においしいと思わせるポイントはシンプルなのよね。ズバリ,その卵がおいしいかどうか。テキストアドベンチャーで言うところのテキストが面白いかどうか。
なので,最後までプレイできるかどうかがこのゲイムが面白かったかどうかの基準になるんだろうなと思うわけです。今のところ,私は引き込まれているという情報はお伝えしておきます。
というわけで,今週はデスマッチラブコメ!を紹介しつつも,テキストアドベンチャーにおける文章について考えてみました。あと,本も買いました。読書したい気分なのかしら? 一人になりたいのかな? もともと一人だけども。そんな感じで,読むという行為に興味があるならば,ぜひ試してほしい作品だと思います。そんな感じでまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ドアズ・アンド・ルームズ」
Nintendo Switch:「デスマッチラブコメ!」
iOS:「龍が如く ONLINE」
iOS:「ハンドレッドソウル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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