男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第424回「自分の時代など一度たりとも来ていなかった」

著者近影

　この連載で何度か言ってきたけど，今年の5月で私，40歳になっちゃうのよ。いや，頭では39歳が40歳になったところで考え方や何かが急に変わることなんてないって，分かってはいるの。
　でも，内面はともかく，響きは変わってくるのよね。
　“ゲイム大好き30代独身ゲイレスラー”と“ゲイム大好き40代独身ゲイレスラー”では，悲壮感の乗り方が違ってくるでしょ？　自分では何も変わっていないのに，肩書が変わることで周りからの見られ方が変わるっていう，いい例よね。

　そういや，小学生の頃の担任の先生の年齢も越しちゃうのよ。思えば，小学校の先生も考え方自体は今の私とさほど変わらなかったかもしれないと思うのよね。でも，子供の目から見ると担任の先生は立派な人格者のような気がしていた。いや，子供に教えるというプレッシャーと戦っているんだから，責任の重い職業だなとは思うわ。立派じゃないって言ってるわけじゃないわよ。
　ここで私が言いたいのは，教師も人間だってこと。正しいこともあれば，間違うこともある。要は年齢であれ職業であれ，いかなる肩書が付こうとも人間は人間なんだってこと。だからこそ，年下は人生経験が自分よりも多い年上に敬意を持ったほうがいいし，年上は年下に対して自分のほうが偉いなんて思い込まずにちゃんと向き合わなきゃいけない。なかなか難しいけどね。
　ほら，自分より社会的に力を持ってる人に対して敬意を持つことは比較的簡単だけど，まだ結果を出していない人に対してもちゃんと敬意を持って接するのって難しいじゃない？　だけど私は，“人を見る”って意味で，そこはとても重要なんじゃないかなって思っているのです。
　世代交代に関してもそうでね。その業界や組織が続く限り必要なことだけど，なかなか上の人がその位置を譲りたがらないからねー。良い意味でも悪い意味でも。若いうちは「組織のために新しい力を」って思って突き上げる。逆に年を取ったら「組織のために経験に基づいて」と思って若い力を抑えつける。何言ってんだか。結局は，自分のためなのよ。別にそれが必ずしも間違いだってわけじゃないんだけどね。結果的に，力のある人が引っ張ればいい。それが本当の意味での組織のためでもあるし，世代交代でもあると私は思う。
　ま，“力のある人が引っ張る”ことができないのであれば，それはその組織が歪むときなんでしょうね。歪んでもちゃんと機能するのであれば，問題ないんだけどね。私達も家電の故障に気付きながら使い続けたりもするんだし。要は，世代交代ってそういうことだと思うのですよ。能力や実績でもって行われるべきだ，という。あくまで理想では，だけどね。

　ところで。この間の日曜日に大阪巡業があったの。基本的に移動はバスだから，携帯ゲイム機を持ち込む選手がまあまあいるんだけど。ある後輩に聞かれたのよね。「『ゼルダの伝説　ブレス オブ ザ ワイルド』（Nintendo Switch / Wii U）ヤってます？」って。もちろんヤってたから，「アレ面白いよね」って答えたんだけど。
　その後輩はついついNintendo Switchをバスに持ち込むぐらいハマっていると。そこで私は言ったの。「バスで大阪に着くまでにかかる時間を考えるとバッテリーが厳しそうだから，私は持ってきてないわ。それに万が一無くして，品薄ゆえに買い直すまでに時間がかかったりするとイヤだし」ということを。そしたら後輩，「そう言われればそうなんですけど。でもまあ会場で充電すればいいと思いまして」って。うんまあ，それもそうだけど……。
　それにしてもこの後輩，品薄なのによく買えたよね本体。ということで，後輩にインタビューしてみた次第であります。


男色：
　それにしてもあんた，そこまでゲイム好きだった？

後輩：
　いや，好きですよ。まあ，予約しなきゃ買えないくらい品薄だなんて知らなかったんですけど。

男色：
　え？　でも予約したんでしょ？

後輩：
　予約っていうか，買ったのは僕じゃないんです。

男色：
　ん？

後輩：
　ある日，ファンの人からカタログを渡されまして。「どれがいい？」って言うから，じゃあゼルダで！　って答えたんですね。

男色：
　……ええっ??

後輩：
　でも，本体持ってないし，あ，その時点ではいつ発売されるかも分かっていなかったというか，もう発売されているもんだと思っていたくらいで。

男色：
　ほうほう。

後輩：
　だから，ソフトだけいただいてもなーって思っていたんですよ。そしたら，試合があった日にやたら大きな箱を渡されて。

男色：
　……えっと，それはもちろん？

後輩：
　本体ですよね〜。それと周辺機器とゼルダが入ってました。あとから聞いたら発売日は予約しないと手に入らなかったんですってね。いやーやっぱ嬉しいもんですね。

男色：
　……だろうね。

後輩：
　あ，こっちから「くれ」って言ったことはないですよ？　無理はしないでほしいんですけどね。でも，一生懸命手に入れてくれた，その気持ちが嬉しいですよね。何度もらっても。

男色：
　……ん？　何度？

後輩：
　あ，僕，プロレスラーになってからゲーム機を自分で買ったことがないんですよ。

男色：
　……!?

後輩：
　なんだかんだでそれぞれ別のファンではあるんですけど，もらっちゃうんですよねー。

男色：
　……あの，お持ちのハードは？

後輩：
　プロレスラーになってからですか？　一般的ですよ。PlayStation 3，PlayStation 4，Wii U，PlayStation Vita，ニンテンドー3DS……。あと，今回のNintendo Switchですね。

男色：
　……それらはもちろん全部？

後輩：
　ファンにいただきました。
　……あ，ニンテンドー3DSだけは違います！

男色：
　だよねー，さすがに自分でもお金を出してゲイム業界に貢献……。

後輩：
　ニンテンドー3DSは友達にもらったんですよ。なんだか結婚式の2次会のくじ引きの景品だったって。ファンからもいる？　って聞かれたけど，もう持ってたんで！

男色：
　貢献……。

後輩：
　男色さんももらうことあるでしょ？　これだけゲーム好きをこれ見よがしにアピールしてるんですから。普通，あれだけアピールしていたらもらえると思いますよ！

男色：
　……ゲイム業界に……貢献……。

後輩：
　こういう人前に出てる職業だったら，何かしらいただいちゃいますよね。でも，こうやって僕に買ってくれることで，ゲーム機が一台売れるわけだし，気は引けるけど僕も嬉しいですし，ファンの方も僕が喜んだらそれで喜んでくれるわけですし。みんながハッピーって，なんかいいですよね！

男色：
　……。

後輩：
　僕らも先輩みたいにもっと頑張って，皆に喜んでもらう試合をすることで恩返ししなきゃですよね！


　……今週は世代交代について語ってみました。40歳前後の，いわゆる中堅層の皆さん，気を付けてください。そろそろ世代交代の時期かもなって思っていたのは……どうやら自分だけで……自分の時代など一度たりとも来ていなかったってケースも……世の中にはあるみたいですよ。
　でも……世代とかそういうのは気にせず……自分のできることを全力でヤっていれば……それはそれで自分の人生をまっとうしたと言えるのではないでしょうか……。他人と比べるからおかしくなるわけで，自分には自分の使命とか，ヤりがいとかが，あるのですから……。
　あまりにも衝撃的だったので，今週は身近にあったゲイムの話題として取り上げてみました……また来週。……までにいいことがあればいいですね……。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「三國志13 with パワーアップキット」
PlayStation Vita：「レイジングループ」
Nintendo Switch：「ゼルダの伝説　ブレス オブ ザ ワイルド」
ニンテンドー3DS：「モンスターハンターダブルクロス」
iOS：「実況パワフルサッカー」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の4月1日，埼玉・春日部ふれあいキューブ大会「さいたまースラム！vol.9」を開催します。この日のディーノ選手は高山善廣選手とのタッグで，HARASHIMA選手＆高尾蒼馬選手，坂口征夫選手＆高梨将弘選手とのユニット対抗3WAYタッグマッチに出場予定。ディーノ選手に本文の内容についての確認を入れたところ，「私の場合，ゲイム機とかゲイムソフトは発売日に手に入れたいから，結局自分で買うのが一番早いっていうのはある。あるの」と自分に言い聞かせるように語っていました。