連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第182回「カードこそがゲイム?」
……突然でアレか。ついに私の頭がアレしたとでも? すまんな。まだ大丈夫よ。ただ最近,ゲイムについて考えていると,どうしても「カード」にたどり着いてしまうのよ。それでつい冒頭でぶっ放しちゃった。
ニンテンドー3DS用の競馬シミュレーションゲイム,「G1グランプリ」をプレイしながら,そんなことを思ったものでね。って,この連載にしては珍しく,冒頭からいきなり新作ゲイムの話題ですよー。
G1グランプリは,ホントにオーソドックスな内容の競馬ゲイム。馬を育てて,配合して,レースに出して,お金を貯めて,施設を買って……っていうね。こうして文字だけで要素を並べてみると,目新しさは無いわ。でも,このゲイムのいいところは,ゲイム的な味付けが今までの競馬ゲイムに比べて多いという点。
具体的には,レースに勝ったらご褒美としてカードがもらえるのよ。種牡馬か繁殖牝馬のカード。そう。G1グランプリは,配合をカードで行うの。今までの競馬ゲイムだと,いい配合を見つけると,毎年その配合ばかりをくり返しがちになったし,実際それで良かったんだけど,このゲイムの場合,牡馬カードも牝馬カードも,一度使えば無くなってしまう。つまり,配合が一期一会になるわけ。で,生まれてくる仔馬に対して,緊張感と期待感が増すのね。結果,自分の作った馬に対する感情移入度が高まる,と。
さて,ここで一つポイントがあるわ。それは,このG1グランプリの作り手が,馬の配合をなぜカードにしたか,という点。競馬ゲイムだけでなく,ほかのスポーツゲイムもそうなんだけど,実在するスポーツをゲイムに落とし込む場合,どこまでリアルにするか,しないかっていうのは非常に難しい問題だと思うの。
この連載でずっと言ってきているけど,ゲイムである以上はどこかで嘘をつかなきゃいけない。嘘っていうと聞こえが悪いのであれば,ショーアップと言い換えてもいいわ。ゲイムである以上,どこかでショーアップしなければならない。
ちなみに,私はプロレスとゲイムの類似点もそこだと思ってるわ。誤解を恐れずに言えば,プロレスはケンカをショーアップしているもの。それと同じように,サッカーゲイムはサッカーの試合をショーアップしたもので,競馬ゲイムはレースを含む競馬の世界をショーアップしたものなのね。
考えてもみなさいな。世の中って世知辛いじゃない。それはきっと,サッカー選手も競馬関係者も同じ。その世界に携わっていると,面白いことや良いことばかりじゃないはず。絶対に。でも,ゲイムではその世知辛さを必要以上には表現してはいけない。っていうか,表現しても面白くならない。
エンターテイメントが娯楽である以上,面白くならないものを表現として残すことはなるべく避けなきゃいけないからね。そこに意味がある場合を除いて。だから,自分に合う合わないはあるとはいえ,世の中のエンターテイメントが基本的に面白いのは,そういう理由があるんだと思う。だって面白くないものを,最初から省いてるんだもん。
話を戻しましょうか。G1グランプリが,なぜ配合をカードにしたかという点について,私の勝手な妄想だと,作り手は「競馬ゲイムにおいて配合が一番面白い」と判断したんじゃないかと思うの。つまり,ショーアップすべきはここだ,と。私流に言えば,嘘をつくのはここだ,と。
だから,種牡馬と繁殖牝馬をカードにしてマンネリ化を防いだ。つまりこれは,シミュレーションゲイムがよく陥る「作業化」に対する対策なんでしょうね。おかげさまで,毎年緊張感のある配合を楽しめておりますよ。まあ,実際のところ私って,馬の血統とかまったく分からないし,むしろ馬並という言葉についつい反応しちゃうタイプなんだけども。
でも,カードで配合を表現している分,結果的にライトな感覚で種付けできるのがいいわ。面白いわよ。3DS初の本格競馬シミュレーションゲイムとしては,しっかり楽しめる内容だと思う。あとは,待てるかどうか。
内容はとても面白い。競馬ゲイムが好きな人はプレイしておいたほうが良いと思う。化ける可能性あるわよ,このシリーズは。ただ,残念ながら,万人にはオススメしづらい。なぜなら,レースシーンが飛ばせないから。
これは,競馬シミュレーションゲイムの抱える一つの課題だと私は思ってる。だから私は,レースシーンをスキップできる「ウイニングポスト」シリーズが好きなのね。ウイニングポストシリーズでも,レースの処理にはちと時間がかかるけど。
サクサク進めてどんどん配合したい,でもレースを見なきゃいけない。そういうプレイをした場合の面白味やバランスを含め,この部分さえクリアすれば競馬ゲイムってもう少し世に普及するんじゃないのかなーって,スーパーファミコンのウイニングポストから競馬に興味を持った私は思う次第であります。いや,面白いんですよ競馬の世界って。
で,冒頭で述べた「カードこそがゲイム」なんだけど,これはG1グランプリがゲイムらしさを出すために,種付けにカードという演出を採用したんだろうなーと思ったことから,発展させて考えてみたことね。
今話題の「コンプガチャ」に関してもそうだし,ソーシャルゲイムでもだいたいがカードものだし,今やゲイムセンターもカードものが幅を利かせているし,それを言い出したらトランプだって花札だってカードだし,ゲイムとカードは切っても切り離せない関係にあるのかもしれない。
集める,パワーアップさせる,役を作る,数字の大小を競う,同じルールで相手を上回る,場を読む,戦略を立てる,そして実力と運とのバランス……ゲイムの面白さってそのほとんどがカードで表現できちゃうの。今は逆に,カードをゲイムで表現できる時代だからそうなってはいるけれども。
ということを踏まえると,カードってゲイムのアイコンなのかもしれないわね。つまり,カードで表現できる楽しさを突き詰めれば,新しいゲイムがまだまだ生まれるのかもしれないなぁとも思ったり。漠然とした考えだけども。でも,少なくともその発想で,私はプロレスにもアプローチしていこうと思うわ。なにぶん私,ゲイムが好きな人に好まれるプロレスを目指しておりますので。ここだけの話。
てなわけで,今週はG1グランプリについてと,ついでにカードとゲイムの因果関係を考えたわけですが。そろそろG(ゲイ)1が開催されてもおかしくないと思うのですよ。内容までは考えてないけど。という,どうでもいい話で今週は〆させていただきます。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2012」
PlayStation Vita:「プロ野球スピリッツ2012」
PSP:「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」
Wii:「いただきストリートWii」
ニンテンドー3DS:「G1グランプリ」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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