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ドイツ軍シナリオも入った「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」のレビューを掲載
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印刷2007/12/28 23:32

レビュー

ついにドイツ軍シナリオも収録,電撃戦をも再現するRTS

カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント 日本語版

Text by 徳岡正肇

»  シングルプレイでドイツ軍,そして新たにイギリス軍がプレイできるようになった,「カンパニー・オブ・ヒーローズ」の拡張パック「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」。秀作ゲームとして海外での評価はつとに高いものの,日本ではなぜかぱっとしないこの作品を,ストラテジーゲーム全般に強いアトリエサード 徳岡正肇氏があらためて講評する。


マーケットガーデンといえばエリア制ですよ。あなた


画像集#001のサムネイル/ドイツ軍シナリオも入った「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」のレビューを掲載
 「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」(以下,OF)は,第二次世界大戦をテーマとしたRTS「カンパニー・オブ・ヒーローズ」(以下,CoH)の,スタンドアローン拡張パックだ。本作ではアメリカ軍とドイツ軍に加えて,新たにイギリス軍およびドイツ軍パンツァーエリート(教導戦闘団)が単体の陣営として追加されたほか,シングルプレイシナリオで,教導戦闘団を担当するシナリオ,イギリス軍を担当するシナリオが1本ずつ付属する。
 スタンドアローン,つまりは単体で動作する本作であるが,前作に収録されたシナリオは再録されていない。前作に登場したアメリカ軍/ドイツ軍(こちらはマルチプレイのみ)をプレイするには前作が必要となる。

前作のシナリオをプレイするには前作が必要
画像集#002のサムネイル/ドイツ軍シナリオも入った「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」のレビューを掲載
 基本的なシステムは前作のものを引き継いでいる。天候条件が追加はされているものの,これはもっぱら見た目の演出だけのようで,大幅なシステム変更が行われているわけではない。そんな関係で,RTSの華というべきオンライン対戦モードでは,前作/本作の区別なくプレイヤーが参戦できる。

 そうしたわけで,システムの概略については前作のレビューを見ていただくのがよいだろう。ここでは,RTSの進化史とは別の視点で,シリーズ最新作たるOFが持つ「ミリタリー・ストラテジーゲーム」としての魅力を,あらためて確認したい。

シナリオ開始時のムービー。といってもゲーム内のオブジェクトをそのまま使用している。影の表現に不満が残るが,まあゲーム性には関係ないということで
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占領と補給線で,電撃戦をも再現


占領目標地点(中央の旗)をめぐる戦闘。一昔前のFPSとまったく変わらないクオリティである
画像集#005のサムネイル/ドイツ軍シナリオも入った「カンパニー オブ ヒーローズ:オポージング フロント」のレビューを掲載
 CoHでまず注目すべきシステムといえば,「占領地」の概念であろう。Age of EmpiresシリーズやWarcraftシリーズなどと異なり,本作には資源を“採取”するユニットが存在しない。ただし,生産や技術開発といった要素はあって,それらは資源(マンパワー,弾薬,燃料)の支払いによって達成される。
 ではその資源はどこからやってくるかといえば,マップ上の占領地から自動的に流れ込んでくる。マップは複数のエリアに区切られており,それぞれのエリアにはFPSでいう「旗」が立っている。この旗を一定時間歩兵で支配すれば,そのエリアを占領できるという仕掛けだ。

 問題は,占領したエリアから資源を得るためには,そのエリアと自陣営の司令部があるエリアの間が,連続した占領エリアで結ばれていなくてはならないということだ。おいしいエリアがあるからといって,ゲリラ的に突入&占領しても資源は得られないし,そういったエリア目指して細い占領地を伸ばしていっても,敵に根本を押さえられ,占領地の連続性を断たれてしまえばそこまでだ。

たこつぼ壕を掘って耐える英軍,蹂躙しようとするドイツ教導戦闘団の機甲部隊。このままだと戦車有利だが,膠着したらイギリスには砲兵支援がある
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このように自軍支配地が連続性を保てていない場合,孤立しているエリアからの資源収入はない
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 敵陣営の防衛ラインを突破できた場合,このシステムによって二つの選択肢が生まれる。一つは,そのままそのエリアを占領することだ。そしてもう一つが,立ち止まることなく前進して,敵陣営の占領エリアを分断することである。
 前者の目的は,自陣営の補給状態を改善し,長期的な優勢を確保すること。対して後者では,占領地から得られるものはないが,それ以上のものを敵軍に失わせられるかもしれない。

 後者の思想は,いわば「電撃戦」である。これを有益なプレイメソッドとして採用し得るシステムがRTSに載っているというのは,非常に面白い。「土地の支配権を奪い合う」という,いわば戦争の基礎をゲームシステムに取り込んだことで,ゲームのストラテジー性は大幅(かつロジカル)に向上したといえる。
 CoHというと,Havok物理エンジンを駆使したリアルで緻密なRTSという印象が強いが,おそらく本作最大の特徴は,陣取りというマクロな視点を取り込んだことではないかと思う。


全滅するまで戦う部隊など(普通)ない


情勢が悪化したら,迷わず撤退ボタンをクリック。通常よりも速い速度で後退を始める。生存率もなかなかのもので,非常に重要なボタンだ。画面で頭上に「!」マークが付いているのが,撤退中の部隊
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 一方でミクロなレベル,つまりユニット単位での管理や機動に関しても,本作ではさまざまに面白い試みが見られる。とくに興味深いのが,RTSにおける「ヒーローユニット以外は基本的に消耗品」という常識への挑戦である。

 本作のユニットはなかなかにしぶとく,また迅速な撤退の指示がショートカットキーでできるくらい,撤退の持つ意味が大きい。生産コストよりも補充/修理コストのほうが低いので,原則として部隊は使い捨てではなく,損害が大きくなった部隊は後方に下げて再編成(車両なら修理)し,再び前線に投入するのが最善手だ。部隊は経験を積んで強くなるし,戦場に遺棄された兵装を拾って強化できる場面が多いことも,「部隊を使い潰さない」ことの大切さを強調する。

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イギリス軍のたこつぼ壕は,なかなかに凶悪である。もっとも,追い出されて敵に利用されるなんていう間抜けな状況も,ないではないのだが
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戦闘でユニットを破壊したりされたりすると経験点が入り,一定以上蓄積されると,特殊効果が利用可能に。AoE3のカードに近いニュアンス

 一方これはプレイヤーに,またしても重大な選択を迫る。質に優れた歴戦の部隊が守る拠点に攻撃が集中し始めたとき,部隊を守るのか,地歩を守るのか? 攻撃時とて同じことで,占領地の拡大を狙うのか,敵部隊への打撃を優先するのか?
 いま自分が何を狙っていて,そのために,何をどこまで使ってよいかをきちんと認識しておかなくては,勝利はおぼつかない。これはRTSに限らずストラテジーゲーム全般に共通する課題だが,本作ではこの認識が,とくに厳しく問われるように思う。それが本作独特の難しさでもあり,また面白さでもある。


妙に人間くさい,ユニットの挙動


視点をぐっと低くして,できる限りユニットに寄ってみたところ
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 部隊の挙動も面白い。本作では,銃が戦場の主役となった時代の戦争にふさわしく,とにかく遮蔽を確保することが重要だ。どんなにほかの観点でポジション的に優れていても,大通りのど真ん中で仁王立ちして攻撃を続けるのは,断じて得策ではない。
 歩兵に遮蔽を取らせるには,遮蔽物となりそうな任意の場所をクリックしてやるだけでよい。ポインタを合わせると,そのオブジェクトが遮蔽物としてどれくらい有用かが表示されるので,あとは移動を指示すれば,AIが自動的に遮蔽を取って展開させてくれる。

 このとき,歩兵は基本的に複数名を1チームとした,チーム単位で行動する(単独行動するスナイパーは例外)。彼らはちゃんとチームとして行動してくれるのだが,戦闘が過熱してくるなかでポジション変更を行ったりすると,ときどきそのうちの1名くらいが,どう見ても遮蔽効果のないところで立ち往生したりする。本作には,いわゆる「制圧状態」があり,激しい攻撃を受けると勝手に匍匐散開してしまうことはあるが,それとは別に,「なんでそっちに行くんだ!」と思うシーンも稀に発生する。
 一見遮蔽効果を得ていないように見えるが,実際には得ているから大丈夫とか,理由はいろいろ考えられるものの,それはそうと,筆者的にはこれは格別不自然な挙動とは思わなかった。そも,戦場とはそういう行動を誘発しやすい場所ではないだろうか?

イギリス軍のたこつぼに対して,ハーフトラックから迫撃砲で攻撃をかけているところ。英軍の砲兵支援のような威力はとうていないが,機動性とハンディさでは大いに勝る
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 車両の扱いもしっかりしている。車両(および大型火器)にはきちんと「方向」があり,攻撃を受ける面によって装甲の厚さも異なる。なんの遮蔽もない野原では,文字通り戦車は戦場の王だが,建物が入り組んだ市街地となるとそうはいかない。対戦車装備を持って建物に潜んだ歩兵や,巧みに配置された対戦車砲は,いともたやすく戦車を食ってしまう。
 では戦車が弱いかといえば,決してそんなことはない。戦車は迅速に移動可能な砲台であり,その主砲は歩兵が隠れた建物や,スナイパーが潜んだ塔を,その建造物ごと破壊するだけの火力を持っている。要は使い方次第である。


巨視的/微視的両方の視野が求められる


ミッションをクリア。単にクリアする以上の追加目標があったりもするので,やりこみ要素は大きい
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 さまざまな戦術要素が盛り込まれたがゆえに,本作に初めて接すると「できること」「やらねばならないこと」の多さに圧倒されるかもしれない。なにしろ戦闘全体の流れを構想することから,機関銃座の方向決定まで,すべてがプレイヤーの操作に委ねられているのだ。
 正直に言えば,本作はある程度まで予習が必要なゲームである。事前に自陣営の陣容の最終形を,ある程度頭に思い描けるようでないと,すさまじい泥沼に引きずり込まれるか,あっさりと突破を許しかねない。RTSにもいろいろあって,やりながらでもなんとかそのあたりが分かってくる作品もあるが,本作では「とりあえず死んで覚えた」あとで,多少頭の整理をするほうが楽だろう。

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スカーミッシュの陣営設定画面。当然だが同じチームには,大戦中同じ陣営に属していた勢力しか参加できない
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スカーミッシュのプレイ風景。マップに個性がかなりあるので、マルチプレイの前に一度様子を見ておくことを強くお勧めする

スカーミッシュの終了画面。30分ちょっとで1ゲームが確実に終わるのは,なかなか手軽でよい感じ
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 あくまでも個人的な感覚だが,本作は小さな勝利を積み重ねるだけでは,あまりにも最終勝利が遠い作品のように思える。戦場全体をきちんと把握し,その流れを掴んだうえで,どうしても必要となる細部の調整を行う……方針としてはこれが最も堅実なようだ。本作は,あくまでもストラテジーゲームなのである。
 ただし,「この建物の2階に重機関銃を設置すれば,この街道を抜けようというヤツはみんな蜂の巣だぜ!」とか意気込んだあげくに,肝心の建物に通りに面した窓がなかったりすると,ミクロレベルの失敗が,きちんとマクロレベルでの崩壊につながるので要注意。こればかりは,射撃範囲を色分けとかして,もうちょっと精密に表示してくれる機能があってもよかったんじゃなかろうかと……。

普通にプレイしているとユニットを見失うこともしばしば。戦術マップ上でも移動を指示できるので,積極的に活用したい
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RTSとしてまとめたがゆえの限界もあるが,プレイは快適


いまから眼前に広がる丘陵を攻略する。高地攻略はどんな時代でも厳しい戦闘である
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 意欲的な試みが多く見られる本作だが,その意図するレベルでの疑問点がないというわけではない。最大の疑問点は,グラフィックス表現の緻密さと,ゲームシステムとして組み込まれた抽象性が,一部で乖離を起こしているように思えることだ。
 高度なグラフィックスエンジンで描き出された戦場には,非常にリアリティがある。例えば建物にしても,ただ壊れるのではなく,壊れた残骸を歩兵が遮蔽物として利用できる。建物の耐久力がなくなったから,その地域は「更地」データに置換される,というのとは,まるで話が違う。
 このレベルのリアリティに引き比べて,ではいったい「資源」とは何なのか? 例えばそれは,その地域に保管されていた燃料や弾薬であるのかもしれない。だが本作においては,占領エリアが連続しているだけで,それらの資源が司令部へと運び込まれることになる。一体,誰がどうやって運んでいるというのか?

イギリス軍の猛烈な砲兵支援。この影響範囲にいた日には,あなた……
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 地域を制圧したことによって,前線司令部にさらなる戦域拡大を行う許可が下りているという解釈も可能だが,軍司令部は前線での活躍に応じて補給キップを切るのではなく,事前に必要と判断されている部隊に対して,事前に必要と判断された量の補給を送るものだ。絶対に負けてはならない戦線であれば,形勢が不利になったからといって急に補給を出し渋るようになったりはしない。少なくとも,補給量が減る前に撤退命令が出るはずだ。
 こういった現実的な側面と,ゲーム的な側面の間に,少なからぬ溝が生じているのは否定できない。そもゲームは,ゲームとして成立させるために,どこかである程度までの抽象化や省略を行わねばならないものだ。本作では,そこでなされたゲームのための抽象化が,際立った画面のリアリズムとの間に,微妙なミスマッチを生じさせている。

 とはいえ,これが本作の大きな瑕であるとは言い難い。正直,そんなことをあえて気にするのは筆者ぐらいなんじゃなかろうか。仮に補給物資を本当に手で運ばなくてはならなくなったら,操作量的に破綻してしまう。理念上優れているがプレイ不可能な作品と,理念に若干の妥協はあってもゲームとして面白い作品とを比べるならば,筆者としては後者を推したい。そして,CoH/OPはそういう種類の作品なのである。

シナリオの合間にはミッションブリーフィングが入る。この指示にそのまま従ってよいくらい,地形関係の再現度は高い
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ついにドイツ軍をシングルでプレイ可能に


「地獄のハイウェイ」で有名な,あのハイウェイ69
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 本作ではシナリオも非常に面白い。教導戦闘団が主人公のシナリオがマーケットガーデン作戦(戦争末期にイギリス軍主導で行われた大規模空挺降下作戦。映画「遠すぎた橋」などで有名。いくつかの幸運と不運が交錯した結果,連合軍は攻勢に失敗するが,これが成功していればドイツが戦後東西分断されることはなかっただろうという観点に立つと……)で,イギリス軍が主人公のシナリオがカーン解放(ノルマンディ上陸作戦直後のフランスでの戦い。基本的に連合軍が圧倒的に優位な戦域ではあったが,局地戦は熾烈を極めた)というのは,まあ妥当な選択というべきだろう。どちらも史実で勝った側が,プレイヤー担当である。

戦局全体の推移が見れるミッション間ムービー。勝ち戦ばかりでちょっと残念
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 もっとも,どちらのシナリオもヌルくはない。とくに個人的にはドイツ側のシナリオにおいて,「敵は英国空挺部隊,こちらは一握りのパンツァーレーア(戦車なし)と,寄せ集めの国民擲弾兵」というシチュエーションは,「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」の読者や,「バルジ大作戦」のパンツァーリート合唱シーンが好きな人にはたまらないと思う。まあシナリオが始まれば,寄せ集めの国民擲弾兵にもちゃんと強力なStg-44アサルトライフルが支給されるわけだが。

 また個人的には,ドイツ軍なら1944年冬のバストーニュ前や1945年のレマゲン鉄橋あたりから始まって,ベルリンまで後退していく話とかいうのがぜひやってみたかった気がする。それくらい,本作は勝っても負けても楽しいゲームだと思うのだ。
 いずれにしても,必ずしも対戦主体でない日本人RTSライトゲーマーにとって,シングルプレイシナリオが面白いかどうかは,第一に重大なポイントだと思われる。本作のシナリオは,いわゆるやりこみ要素も持っているが,それ以上にテーマの取り上げ方と演出方法において,とくにミリタリーファンには強くお勧めできる。

鉄橋の支配をめぐるシナリオ。チューリップ畑を血に染める戦いが始まる
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工兵は落ちた橋を架けなおすこともできる。もっとも,落ちたままのほうがよいこともあるので,そこは要注意
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今回の設定。普通にゲームをプレイするぶんに支障は感じない。というかもっと設定を下げてサクサク動かすほうがいいかも
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 本作は,歯ごたえのある作品を求めるRTSファンには躊躇なくお勧めできる。また,シングルプレイに焦点を絞れば,ミリタリー・ストラテジーファン全般にアピールできる完成度を持つ。これは決して対人戦のクオリティが低いというわけではなく,対人戦を存分に楽しむには,ある程度やり込みが必要というだけのことだ。

 DirectX 10に対応したパッチが存在すると聞くと,いかにもハイスペックマシンで楽しむべきゲームであるように思えるが,AGP時代のグラフィックカード(GeForce 6800クラス)にPentium 4でも,ゲームを楽しむぶんにはまったく問題なかった。ハイスペック要求部分は,あくまでも「さらなるお楽しみ要素」と考えておいたほうがよいだろう。

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マルチプレイのロビー。参加するにはまず腕を磨く必要があるものの,日々盛んに対戦が行われている
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プレイ画面そのままで戦場を見渡せる。まあプレイ中には,あまりこの角度に視点を持ってくることはないが
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