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SteelSeriesの「Apex Pro」はゲーマー向けキーボードに革命を起こすか? キーごとにアクチュエーションポイントを変更可能
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印刷2019/06/01 00:00

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SteelSeriesの「Apex Pro」はゲーマー向けキーボードに革命を起こすか? キーごとにアクチュエーションポイントを変更可能

SteelSeries
画像集 No.002のサムネイル画像 / SteelSeriesの「Apex Pro」はゲーマー向けキーボードに革命を起こすか? キーごとにアクチュエーションポイントを変更可能
 COMPUTEX TAIPEI 2019に合わせてSteelSeriesは,ゲーマー向けキーボード「Apex Pro」シリーズと「Apex 7」シリーズの計8製品を発表した(関連記事)。その中でも,“世界一多機能”であると同社が主張する「Apex Pro」および「Apex Pro TKL」は,今後のゲーマー向けキーボードにおける1つの潮流を作り出すのではないか,と思うくらい特徴的な機能を搭載している。

Apex Pro。フルキーボードタイプの製品だ
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Apex Pro TKL。見てのとおり10キーレスタイプで,それ以外の特徴はApex Proと同じだ
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 見どころの多いApex ProとApex Pro TKLの特徴を,写真を中心に説明していこう。


磁気ホールセンサーを組み込んだ独自キースイッチで,アクチュエーションポイントを1キーずつ自由に変えられる


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 Apex Proシリーズにおける他社製品にはない特徴を実現しているのが,新型キースイッチ「OmniPoint Adjustable Actuation Switches」(以下,OmniPoint)である。
 SteelSeriesと,中国のキースイッチメーカーであるHuizhou Gateron Electronic Technology(以下,Gateron)の共同開発で実現したOmniPointは,ユーザーが自由に各キーごとのアクチュエーションポイントを変更できるという特徴を備えたキースイッチだ。

 4Gamer読者であれば,普段使っているPCにゲーマー向けキーボードを接続している人は少なくないだろう。しかし,ゲーマー向けキーボードはゲームにおいては適当であっても,日常的なPC使用,たとえばテキストの入力,表計算やプレゼンテーションスライドの作成といった用途には,適しているとは言い難い面もある。
 とくに,アクチュエーションポイントが浅く,軽く指を押し込んだだけで入力となるキースイッチを使ったゲーマー向けキーボードは,日常的な用途に使うとミスタイプが多すぎることもあるだろう。

OmniPointの見た目は,いわゆるCherry MX互換メカニカルキースイッチとよく似たものだ。しかし,中身はまったく違う
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 ゲームにおいてはアクチュエーションポイントを浅く,ゲーム以外のアプリケーションにおいてはアクチュエーションポイントをやや深く変更できるキーボードが欲しい。SteelSeriesが5年もの開発期間をかけて,ようやくこれを実現したのが,OmniPointというわけだ。

 OmniPointは,メカニカルキースイッチでもなければ,静電容量式キースイッチでもなく,磁気ホールセンサーを使ったまったく新しいキースイッチである。あえて言うなら,「磁気ホール式キースイッチ」といったところか
 大雑把に言うと,磁気ホールセンサーとは,磁極の判別や磁力の強さを検知できるセンサーである。スマートフォンが内蔵している磁気センサーとは,ほとんどの場合,この磁気ホールセンサーだ。

 OmniPointは,キーキャップが押し込む軸の下側にごく小さな磁石を取り付けてあり,これが発する磁力の変化を,基板側に取り付けた磁気ホールセンサーで検出できる。つまり,磁力が設定したしきい値を超えた場合,スイッチが押下されたと認識して,キーがオンになったという信号をキーボード内のコントロール用プロセッサに送るのだ。
 しきい値がアクチュエーションポイントとなるので,しきい値の値を任意に変更すれば,アクチュエーションポイントの深さを変えられるという仕組みである。アクチュエーションポイントの設定幅も広く,最も浅い状態では0.4mm,最も深い状態では3.6mmに設定できるという。

デモ用スイッチで,OmniPointの仕組みを見せてもらった。左はキーに触れていない状態で,スイッチの中心に丸い穴が開いている。右はキーを押し込んだ状態で,軸の末端が見えているのが分かるだろう
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 SteelSeriesのエンジニアが,分かりやすい例えをしていたが,ゲーマー向けマウスでトラッキング解像度のDPI値を任意に変えられるように,Apex Proシリーズは,ユーザーの好みやアプリケーションに合わせて,キーボードのアクチュエーションポイントを変えられるわけだ。素早い入力が重要なFPSでは,アクチュエーションポイントをごく浅くしておき,ミスタイプを減らしたいテキスト入力のアプリケーションや用途では,アクチュエーションポイントを深くできるのである。
 あるいは,[W/A/S/D]キーだけはアクチュエーションポイントを浅くしておき,誤爆を避けたい周囲のキー(たとえば「Overwatch」における[Q]キー)は,あえて深く設定するといった使い方も可能だ。

 さて,ここまでの説明を読んでピンときた人もいるだろうが,OmniPointの利点はアクチュエーションポイントが可変であることだけではない。
 まず,入力に対するレスポンスが非常に速いそうだ。Cherry MXシリーズや互換キースイッチの場合,キーがオンになったという信号がPCへ送られるまでのレイテンシが約6msもあるのに対して,OmniPointは約0.7msしかないので遅延を短くできるという。

 それに加えて,メカニカルキースイッチやメンブレンキースイッチのような機械部品がないので,耐久性も非常に高いとのこと。SteelSeriesのエンジニアによると,同社では打鍵回数1億回まで計測できる試験機材を用意しているのだが,OmniPointは測定限界である1億回を超えても,キースイッチが壊れることはなかったという。そのためSteelSeriesでは,OmniPointの耐久性は1億回以上としているそうだ。

 余談気味だが,Cooler Masterのキーボード「MK850」が採用した「Aimpad Technology」の印象を,SteelSeriesのエンジニア氏に聞いてみた。氏によると,OmniPointは,精度を出すためのキャリブレーションが難しいものの,赤外線LEDを使った仕組みは,それ以上にキャリブレーションで苦労するだろうとのこと。伊達に長い時間をかけてOmniPointを開発してきたわけではないという,確かな自信があるようだった。


小型有機ELディスプレイの搭載で,オンザフライでの設定変更やマクロ作成が容易に


Apex Pro TKLのOLED Smart Displayと,スクロールホイール,およびボタン
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 Apex Proシリーズにおけるもう1つの見どころが,盤面の右上にある小型のモノクロ有機ELディスプレイ「OLED Smart Display」と,その右にあるクリック機能付きスクロールホイール,およびボタンである。
 Apex Proシリーズでは,PC用の設定ソフトウェアを使わなくても,OLED Smart Displayに表示される内容を見ながらスクロールホイールとボタンでアクチュエーションポイントを変更したり,それ以外の設定項目を変更したりできるのだ。

OLED Smart Displayとスクロールホイールで,[W]キーのアクチュエーションポイントを変更している様子。白いバーの長さが,アクチュエーションポイントの深さを示しており,浅い状態から深い状態まで,設定ソフトウェアを使うことなく変更できる
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 そのほかにも,OLED Smart Displayはオンザフライでのマクロ登録時に入力した内容を表示できるし,設定を保存したプロファイルをキーボード内のストレージに書き込んだり,読み出したりもできる。ゲーマー向けメッセンジャーアプリ「Discord」の通知を表示することも可能で,モノクロであるが,GIFアニメーションを表示することもできるという。

OLED Smart Displayで設定できる項目をいくつか紹介しよう。左はアクチュエーションポイントの設定で,右は各キーのカラーLEDイルミネーションを設定する項目だ
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左はオンザフライでのマクロ登録,右はプロファイル関連の設定を行う項目である
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SteelSeries Engine 3におけるアクチュエーションポイントの設定。スライダーを動かして,キーごとに好みのアクチュエーションポイントを割り当てできる
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 もちろん,これらの設定は,SteelSeries製品の統合設定ソフトウェアである「SteelSeries Engine 3」(※バージョン3.15以上)で行うことも可能だ。キーボード全体の設定はPCソフトウェアで行っておき,ゲームのプレイ中に「ちょっとだけ設定を変えたいな」というときには,OLED Smart Displayとスクロールホイールで調整するという使い方が便利そうに思える。

 外観やそれ以外の機能についても,簡単に説明しよう。
 Apex Proシリーズには,着脱可能なパームレストが付属しており,キーボード本体とは磁石で簡単に付け外しできる。

着脱可能なパームレストは,柔らかいゴム系の素材で表面を覆っていた(左)。右はパームレストの裏面だ
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 キーボードのデザインには,天板上にキースイッチを並べたフローティングデザインを採用しており,各キーに内蔵したカラーLEDイルミネーションの光がよく見えるようになっていた。
 また,キーボード背面の左側には,USBパススルー用のUSB 2.0 Type-Aポートが1つある。USBポート内に白色LEDを内蔵しているため,光らせておけばいちいちキーボードの背面を手で探ったり,キーボードを持ち上げてUSBポートの位置を確認したりすることなく,接続したいUSB機器を簡単につなげられるというわけだ。

いわゆるフローティングデザインを採用しているので。LEDの光が天板上に漏れて,かなり目立つ(左)。背面左側のUSBポートは,LEDで場所を示す機能がある(右)
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 新しいセンサーと有機ELディスプレイを使った設定機能といった特徴を盛り込んだだけに,メーカー想定売価もそれなりで,フルキーボードタイプは199.99ドル,10キーレスタイプは179.99ドルになる予定とのこと。すでに日本語配列モデルの投入も予定にあり,2019年秋の終わり頃には発売できるだろうとのことだった。

Apex Proにおける日本語配列モデルのイメージ。[Space]キーは長めとなっているようだ
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 最後に,Apex 7シリーズについても簡単に触れておこう。
 Apex 7シリーズとApex Proシリーズの違いは,採用するキースイッチにあり,SteelSeries独自のメカニカルキースイッチである「QX2 Linear Mechanical RGB Switch」を採用しているとのことだ。
 デザインは共通で,10キーレスモデルを用意していることや,OLED Smart Displayによる設定機能なども同様である。

フルキータイプのApex 7(左)と,10キーレスタイプのApex 7 TKL(右)
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 メーカー想定売価は,フルキーボードタイプが159.99ドル,10キーレスタイプが129.99ドルとのことだ。

SteelSeriesのApexシリーズ製品情報ページ(英語)

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