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SteelSeries「Rival 600」ミニレビュー。深度センサー搭載のワイヤードマウスは,リフトオフ周りに圧倒的な安心感をもたらす
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印刷2018/03/05 00:00

レビュー

深度センサー搭載ワイヤードマウスは,リフトオフ周りに圧倒的な安心感をもたらした

SteelSeries Rival 600

Text by BRZRK


 2018年3月2日,SteelSeriesの新しいゲーマー向けワイヤードマウス「Rival 600」がAmazon.co.jp先行発売となった(※リンクはAmazonアソシエイト)。正式発売は3月16日の予定である。

Rival 600
メーカー:SteelSeries
問い合わせ先:問い合わせ先:ゲート(販売代理店) 03-5280-5285
実勢価格:1万1880円(2018年3月5日現在,Amazon.co.jp先行販売中)
画像集 No.002のサムネイル画像 / SteelSeries「Rival 600」ミニレビュー。深度センサー搭載のワイヤードマウスは,リフトオフ周りに圧倒的な安心感をもたらす

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 右手用マウスであるRivalシリーズの新作は,先行して市場投入されている下位モデル「Rival 310」と同じ「TrueMove3」光学センサーを搭載しつつ,新たにリフトオフディスタンス調整のための深度計測用光学センサー「Depth Sensing Linear Optical Detection」(もしくは「Lift-off Sensor」)も搭載する,「TrueMove3+ Dual Sensor System」(以下,TrueMove3+)仕様になっているのが最大の特徴だ。

 4Gamerでは,そんなRival 600の発売に合わせて実機を入手できたので,まずはセンサー性能に絞ったミニレビューをお届けしたいと思う。
 なお,それに先だってお伝えしておくと,Rival 600の主なスペックは以下のとおりとなる。

●Rival 600の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤードタイプ
  • 搭載センサー:PixArt Imaging「TrueMove 3」,PixArt Imaging「Depth Sensing Linear Optical Detection」
  • ボタン数:7(左右メイン,センタークリック機能付きスクロールホイール,スクロールホイール手前×1,左サイド×3)
  • 最大トラッキング速度:350IPS
  • 最大加速度:50G
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:100〜12000 CPI(100 CPI刻み)
  • ポーリングレート(USBレポートレート):125/250/500/1000 Hz
  • オンボードフラッシュメモリ:搭載(容量未公開)
  • データ転送フォーマット:未公開
  • リフトオフディスタンス:0.5〜2mm(※公称値,実際には刻み単位不明8段階スライダーで調整する)
  • LEDイルミネーション:搭載(※約1677万色から選択可能。8か所)
  • 実測本体サイズ:約69(W)×131(D)×43(H)mm
  • 実測重量:約97.5g(※ケーブル抜き),140g(※ケーブル込み)
  • マウスソール:PTFE(マニュアルに記載あり)
  • 実測ケーブル長:2m
  • 対応OS:Windows 10・8x・7
  • 保証期間:1年間


Rival 310と比べてぐっとメカメカしくなったRival 600


 テストの前に,少しだけ外観の話をしておこう。
 Rival 600の形状はRivalシリーズらしい「IntelliMouse Explorer 3.0」クローン型だが,ならRival 310にそっくりかと言うとそうでもなく,全体的に角張ったところの増えた,メカメカしいルックスになっている。LEDイルミネーションのラインが2本走ったりもしているので,Rival 310とはかなり異なる印象と言ってもよさそうだ。

どこか近未来的な,そしてどこかオモチャ的なデザインだ。よくも悪くも,従来のRivalシリーズとは一線を画している
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底面部はひょうたん型をしたマウス本体奥側(=ケーブルの付け根側)に弧の形をした大きいソールを1枚,手前側(=後方側)にそれぞれ微妙に大きさの異なる三角形ソールを計2枚搭載している。中央にある穴は光学センサーのためのもので,写真でその左に見えるのが深度センサー用の穴だ
画像集 No.006のサムネイル画像 / SteelSeries「Rival 600」ミニレビュー。深度センサー搭載のワイヤードマウスは,リフトオフ周りに圧倒的な安心感をもたらす
 Rival 600の底面部を見ると,いわゆる光学センサーよりも奥,よりケーブルの付け根に近いところに横長の穴が空いているのが分かるが,ここにあるのが深度センサーだ。マウスを持ち上げたときにメインセンサーの出力をカットさせるにあたり,マウスとサーフェス間の距離を正しく計測するのに使っていると,SteelSeriesは謳う。

 CTO(Chief Technology Officer,最高技術責任者)であるTino Soelberg(ティノ・ソルバーグ)氏は,公式ムービーの中で,マウスにとって最も重要なことの1つが,手の動きを捉えて(データに)変換することであるとしている。その点,Rival 600は,マウスが持ち上がったかどうかだけを判別するセンサーを搭載することで,ユーザーは,「クレジットカードよりも薄い,0.5mm未満のマウス持ち上げでもセンサー出力をカットできるため,圧倒的にぶれない」(Soelberg氏)挙動が得られるという。


カバーの形は左右非対称。左サイドが若干凹んでいて右サイドは少し膨らむ,Rivalらしいものだが,マグネット固定式なのは共通だ
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 側面カバーはそれぞれマグネット2個で本体と固定するタイプで,底面にある溝に指を引っかけるようにして引き剥がすと,簡単に分割できる。
 カバーを外すと,本体両側面に4つずつある溝を確認できるが,これは標準で付属する重量4gの錘(おもり)を取り付けるためのものだ。「錘を取り付ける場所と数」を調整することにより,重量だけでなく重量バランスも自分好みにできるというわけである。
 筆者個人としては「せっかくの軽量マウスを重くする理由はない」というのが正直なところだが,「重量バランスを調整できる」点に惹かれるなら,試してみるのもアリだろう。ただ,せっかく重量バランスを細かく調整できるようにするなら,異なる重量の錘もあったほうがいいのではないか,という気はしないでもない。

錘を填め込むための溝はゴム製。この溝に錘の突起側を差し込むことで半固定できる。この状態では指で横から力をかけると簡単に外れるため,左右側面カバーを使って完全に固定する形だ
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Engine 3からRival 600の設定項目を開いたところ。フルHDクラスのデスクトップ解像度があれば,設定項目は1ウインドウ上ですべて確認できる
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 さて,テストである。
 Rival 600はWindowsのクラスドライバで動作する仕様だが,センサーやボタンの設定を細かく行うためには,統合ソフトウェア「SteelSeries Engine 3」(以下,Engine 3)を導入する必要がある。
 4Gamer読者の多くには釈迦に説法だが,Engine 3を導入しなければ追加機能は何も利用できないので,Rival 600の利用にあたっては,マウスの設定を細かく設定するこだわり派であろうとなかろうと,Engine 3は必ずインストールしておきたいところだ。

 それを踏まえて続けると,テスト環境,そしてEngine 3などを用いて行ったテスト時のマウス設定は以下のとおりとなる。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 7820X(8C16T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ容量11MB)
  • マザーボード:MSI X299 TOMAHAWK(Intel X299)
    ※マウスのケーブルはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×4
  • グラフィックスカード:MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G(GeForce GTX 1080,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:Intel SSD 600p(SSDPEKKW128G7X1,NVM Express 3.0 x4,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定
  • ファームウェアバージョン:2.49.0.0
  • Engine 3バージョン:3.11.13
  • CPI設定:100〜12000 CPI(※主に800 CPIを使用)
  • レポートレート設定:125/250/500/1000Hz(※主に1000 Hzを使用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効


深度センサーはマウスの上げ下げに圧倒的な安定をもたらす


 ここまで繰り返しているとおり,Rival 600における最大の特徴は,深度センサーを組み合わせたTrueMove3+システムである。というわけでまずは深度センサーの効果を見るべく,リフトオフディスタンスの検証から始めてみたい。

Engine 3にあるリフトオフディスタンス調整スライダー,その名も「リフトディスタンス」。今回は工場出荷時設定である左から5つめと,左端の最小設定,右端の最大設定でテストした
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 そのテスト方法はシンプルで,厚みの異なるステンレスプレートを重ねていき,マウスカーソルの反応が途絶した高さを0.1mm単位で割り出すというものになっている。テストにあたってはマウスパッドを交換するごとに前述したリフトオフディスタンスの再設定を施し,さらにEngine 3側でリフトオフディスタンスの設定スライダーを使い,デフォルト値である「左から5段め」と,左端に寄せた最小設定,そして右端に寄せた最大設定の3パターンを用いているが,その結果がだ。
 SteelSeriesの公称値だとリフトオフディスタンスの幅は0.5〜2.0mmだが,「PROPUS 300」を除き,最小値は0.2〜0.6mmという非常に低い値を示した。そもそも工場出荷時設定でも0.9〜1.4mmなので,優秀だ。深度センサーは仕事をしていると言っていいのではなかろうか。

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 もう1つ,マウスがサーフェスから離れたときに正しくセンサー出力を無効化し,接地したらセンサー出力を有効化させる機能だが,これはなかなか気付きにくい。というのも,マウスを上げ下げしたとき,適切に無効/有効の切り換えを行えていればいるほど,自然すぎて気付きにくくなるからだ。
 そこで今回は,筆者がマウスを上下に動かし,そのときにカーソルがどのような挙動を示すか,Rival 600とRival 310,そして競合の「Pro Gaming Mouse」と「Razer DeathAdder Elite」(以下,DeathAdder Elite)を比較してみた。その結果が下にまとめたムービーである。

 機械式のテストではなく,挙動には手ブレの結果を含むため,カーソルの運動量にのみ注目してもらえればと思うが,比較してみると,Rival 600の運動量は比較対象と比べて明らかに少ない。Rival 310とDeathAdder Eliteを圧倒し,Pro Gaming Mouseと比べても優勢だ。ゲームのプレイ中にマウスを上げ下ろしするときに生じがちな,微妙な誤作動をかなり抑えられると断言していいだろう。


 続いては,「MouseTester」によるセンサー性能検証である。
 ここではRival 600をARTISAN製マウスパッドである飛燕 MIDと組み合わせたうえで,CPIの設定を400,800,1600,3200,4000の5段階に切り換えてテストを行うことにした。4000 CPIをテスト対象に加えているのは,マウスの移動量と画面内におけるマウスカーソルの移動量を完全な比例関係にでき,ブレを極限まで抑えられるというTrueMove3独自機能「1-to-1 tracking」の有効な範囲が3200 CPIまでだからで,要は,そこから外れるCPI値の代表として,4000 CPIを選んだ次第だ。
 Rival 310のレビューで筆者は,1-to-1 trackingの効果を「体験できない」と評したが,それがTrueMove3+システムではどうかを確認するためでもある。

 さて,結果は下に画像とキャプションで並べたとおり。いずれもY軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振り,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示している。
 青い点は実際にセンサーが読み取ったカウントで,DPI設定ごとに2枚ずつ並べた画像のうち,左における青い波線はそれを正規化したもの。波線が滑らかで,その上に青い点が並んでいるほどセンサー性能が優れているという理解でいい。一方,右における青線は,カウント同士をつないだものとなる。どちらでも見やすいほうを参照してもらえればと思う。

400 CPI設定時。振り返し前後でほんのわずかにカウントは乱れるものの,飛んだりしていることもなく落ち着いている
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800 CPI設定時。400 CPIとほとんど同じ結果だ。あえて言えば,振り返しの乱れがさらに安定した気がしないでもない
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1600 CPI設定時。ここでも,カウントが飛ぶようなことはなく,とても安定している
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3200 CPI設定時。いい意味で400・800・1600 CPI設定時と同じだ
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4000 CPI設定時。1-to-1 trackingが無効になる設定でも,有効時との間に目立った違いは見られない
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 というわけで,挙動を司るセンサーがRival 310と同じこともあって,結果もほぼ同じという,分かりやすいものになった。もっとも,Rival 310のレビューを読んだ人には説明不要だろうが,これはマイナス評価ではない。波形を見ても分かるとおり,Rival 600のセンサー性能はとても優秀である。

 最後は直線補正周りの確認だ。ここではWindows標準の「ペイント」を使って線を引き,補正の具合を確認する。
 Rival 600はSteelSeries Engine 3の「アングルスナップ」設定スライダーを調整することで,工場出荷時設定でもある左端の直線補正を最も弱めた状態から,右端の,最も強めた状態まで8段階で切り換えられるため,今回は左端と右端の両方でテストを行うことにした。その結果が下のスクリーンショットだ。

直線補正を無効化した状態。マウスカーソルの動作がマウス操作と一致しており,これといった違和感はない
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こちらが有効化した状態。マウスカーソルが意図した操作と乖離し,違和感がひどくなるが,「正しく直線補正がかかっている」とも言える
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 細かなAIM操作が要求されるFPSやRTSなどにおいて,思いどおりのマウス操作が行えなくなる直線補正は,まったくもって必要ない。アングルスナップ設定スライダーはSteelSeries伝統の「不要だということを理解してもらうための項目」と理解して,初期設定のまま使うのが賢明だ。


深度センサーは「本物」。リフトオフ周りの信頼性を重視するなら買いだ


 以上,センサー周りに絞って,Rival 600を見てきた。
 光学センサーの追従性そのものは,Rival 310とほとんど変わらないと言っていいだろう。SteelSeries自慢の1-to-1 trackingが持つ効果は分からない一方,基本性能自体は高いと感じた。
 そして,新たに搭載した深度センサーは,明らかに正しく機能している。リフトオフディスタンスの短さは体感できないかもしれないが,マウスを上げ下げしたときの安定感は,ローセンシで“ぶん回す”人ほど強く体感できる――言語化できるレベルかどうかはさておき――はずなので,試してみる価値はあるはずだ。

画像集 No.025のサムネイル画像 / SteelSeries「Rival 600」ミニレビュー。深度センサー搭載のワイヤードマウスは,リフトオフ周りに圧倒的な安心感をもたらす

 Amazon.co.jpにおける先行販売価格は1万1880円なので,ワイヤードマウスとしては少々強気な設定ということになるが,TrueMove3+のもたらす,リフトオフディスタンスの信頼性に惹かれるのであれば,買って後悔することはないだろう。

Rival 600をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)

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