レビュー
上位モデルの“ムダ”をそぎ落としたメカニカルキーボード
SteelSeries 6Gv2
SteelSeries 7Gの実勢価格は1万5000〜1万7000円程度(※2010年8月31日現在)。これに対して同1万1500〜1万3000円程度となるSteelSeries 6Gv2の“削られ具合”は妥当なのかどうか。今回はその点を中心に,新モデルの実力をチェックしていきたいと思う。
7Gからそぎ落とされたのは“ムダ”
ゲーム用キーボードとして精悍さを増した6Gv2
SteelSeries 6Gv2は,日本語109キー配列のフルキーボードである。基本的な配列は109キー仕様そのものだが,ゲームプレイ中の[Windows]キー“誤爆”を避けるべく,右[Alt]キーを廃して,[Windows]キーを本体左下部からそこへ移設してあるのが大きな特徴だ。詳細は後述するが,[Windows]キーの移動で空いた場所には,単体だと機能しない[SteelSeries Media Control]キーが置かれている。
ちなみに,ここまで紹介したSteelSeries 6Gv2の仕様は,すべてSteelSeries 7Gと共通(※厳正を期せば,SteelSeries 7Gだと,[SteelSeriel Media Control]ではなく[SteelSeries Media]キーと呼ばれていたが)。4Gamerで用意できたSteelSeries 7Gは英語版なので,キー配列は異なっているものの,サイズやら採用するキースイッチやらキーストロークやらといった基本仕様は完全に同じである。
では何が違うのか。
外観上の最も大きな違いは,SteelSeries 7Gに付属していた「Wrist Support Pad」(リストサポートパッド)が省略されたことだ。これは大型のパームレストで,最も手前側のキーでも机上からキートップまで27mmもあるSteelSeries 7G(&6Gv2)の“背の高さ”を緩和するものなので,取り付けておいたほうが確かに使いやすい。
ただ,Wrist Support Padの質感はお世辞にもよいといえるものではなく,また,机上面積を相当に要求するという欠点もあった。その意味において「コストを下げ,必要に応じてユーザーに対応してもらおう」というのはアリだろう。
SteelSeries 7GとSteelSeries 6Gv2はいずれもPS/2&USB接続両対応だが,前者が基本PS/2なのに対し,後者でUSBになっている点は憶えておきたいところである。
付属品や機能の省略,接続ケーブルの仕様変更によって,本体重量はやや軽くなっており,ケーブル込み重量はSteelSeries 7Gの実測約1295gからSteelSeries 6Gv2では同1170gへと減少。ケーブルを重量計からどかした参考値だと順に同1189g,1100gなので,本体だけで90g程度は軽くなっている計算だ。
もっとも,1kgを超える重量という点は変化なく,また,底面の滑り止め効果もあって安定感は十分。強くキーを押し込みがちの人でも安心してプレイできるだろう。
「PS/2接続時に全キー同時押し対応」は健在
使用感もSteelSeries 7Gと区別がつかない
SteelSeries 6Gv2では,そんなSteelSeries 7Gと同時押し対応周りの仕様が共通と謳われているが,一方で先ほど述べたとおり接続インタフェースはUSBが標準に変更されており,果たしてこの仕様変更で何か変わってはいないかと心配する向きもあると思う。
実際のところはどうなのか。結論を先に述べてしまうと,まったく問題ない。変換アダプタを介してPS/2で接続する限り,全キー同時押し対応だ。USB接続時には,[Shift][Ctrl][Alt]などの修飾キーを除き,組み合わせを問わない最大6キー同時押し対応が実現されているのも,SteelSeries 7Gと同じである。
Cherry黒軸はクリック感のないタイプのスイッチとなっており,押下圧は公称60g。押し始めは軽く,4mmあるキーストロークのうち,2mm程度押し込んだところでキースイッチが反応する仕様だ。
従って,インプレッションは2年半前と同じになってしまうのだが,スイッチの反応が安定して早いこと,そしてどこをどう押してもしっかりと入力される,非常に完成度の高いキーボードである。使い始めると,操作が上達したかのように感じさせてくれるキーボードというのは,そうそうない。
1万円台前半の新たな定番となる存在
「SteelSeries 7Gキラー」になりそう
SteelSeries 6Gv2の実勢価格は1万1500〜1万3000円程度(※2010年8月31日現在)。ゲーマー向けキーボードには,「SideWinder X4 Keyboard」や「DHARMA GAMING KEYBOARD(DRKB109)」といった低価格モデルが登場している2010年夏の時点で,コストパフォーマンスに優れた選択肢とは口が裂けても言えない。
しかし,全キー同時押し対応,安定感と高速応答性を併せ持つメカニカルスイッチ,そしてできる限り標準を志向しながらゲーム用途への最適化を図ったキー配列が,万人に向くゲーム用途キーボードとして高いレベルに到達しているのも事実だ。安価なキーボードと,キーボードマニアの支持を集める2万円クラスの静電容量モデルとの間を埋める,1万円台前半の選択肢として,定番になり得る存在だとまとめられるだろう。
……というか,もっとはっきり言えば,SteelSeries 6Gv2の登場は,「SteelSeries 7Gが,より低価格で購入できるようになった」こととほぼ同義だ。価格改定が入って,当初の2万円超級という存在からぐっと買いやすくなったSteelSeries 7Gではあるが,SteelSeries 6Gv2のインパクトを前にすると,もはや「どうしてもパームレストが欲しい」とかいった事情がない限り,選ぶ理由はなくなってしまったように思える。
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