インタビュー
サービス開始から2周年を迎えた「ルーセントハート」に施される次の一手とは? 開発元PlayCooと運営元ガマニア,両社のキーパーソン達に聞いてきた
今回4Gamerでは,オフラインイベントに合わせて来日したルーセントハートの開発会社PlayCooのプレジデントJoyce CHANG氏と,ゲームデザイナーのRock LIN氏に取材する機会を得た。取材には,ガマニアで本作のディレクターを務める廣田一億氏,さらにガマニアのオンライン事業本部 本部長である中島秀樹氏にも同席してもらい,ルーセントハートの現状から,今後のアップデート計画,その先にある企画のアイデアまで思う存分語ってもらった。PlayCooは現在,「DIVINA」という新規タイトルの開発も行っているが,その一方で「ルーセントハート」への情熱も変わらず保たれているようだ。
「ルーセントハート」公式サイト
日本でのサービスが二周年を迎えたルーセントハート
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。日本での正式サービスから2周年を迎えますね,おめでとうございます。最初に,2周年を迎えての感想をお聞かせください。
正式サービスから2年,多くのプレイヤーの方々から支持を受けて嬉しく感じております。これは,簡単なことではないと思っています。この2年間,台湾の開発側と日本の運営側との交流を積極的に行ってきました。それにより少しずつ,日本のプレイヤーの皆さんのニーズも分かるようになってきました。今後はその経験を活かして,日本のプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけるような,新しい機能などを拡張していきたいと思います。
また今回,2年間の総括ともいえるオフラインイベントを実施しました。私達にとって大変名誉なことであると感じております。今後はさらに開発のスピードを上げてプレイヤーの皆さんの期待に応えたいと思っています。
台湾発のこのタイトルが,日本で2年もの長期間,サービスを続けることができたことに大変感激しています。2年の間には多くの刺激を受ける機会があり,“ダンスシステム”のような革新的なアイデアも形にすることができました。今後もそういった,プレイヤーの皆さんに驚いてもらえるようなものを実装していきたいです。
オフラインイベントでは,多くのプレイヤーの皆さんと直接会うことができました。今後は皆さんのご要望やご意見を,今まで以上に活かせるような体制をとっていきたいと考えております。2周年にとどまらず,5周年,6周年と続いていけるようサービスを展開していきたいですね。
廣田氏:
プレイヤーの皆さんをはじめとした,さまざまな人に支えられて,こうやって2周年を迎えることができました。ありがとうございます。2年の間には,ゲームの不具合をはじめ色々なことがありましたが,現在はそのあたりの状況も安定してまいりました。昔から続いてきた問題についても,解消の目処が立ってきたと感じています。
ここまで2年間運営してこられたのは,多くの方の協力と支持があったからだと思います。感謝しています。不具合の報告ですとか,運営に対する不平不満も含めた,プレイヤーの皆さんのご意見があったおかげで,今のルーセントハートがあると思っております。その感謝の部分を,我々ガマニアとしては皆さんにいかにしてお返しできるかというところを,開発会社のPlayCooともども考えながらやっていく必要性があると思っています。
今回,プレイヤーの皆さんを招いてのカンファレンスというのを,初めて行いました。このカンファレンスをきっかけに,プレイヤーの皆さんとの距離を今以上に縮め,できる限りプレイヤーさまの要望と運営側が考えていることをお互い共有し合いながら,ルーセントハートを今以上に盛り上げていきたいと思っています。
4Gamer:
このオフラインイベントをターニングポイントに,ルーセントハートは変わるということでしょうか?
中島氏:
今までは,プレイヤーの視点に立ってやっていこうとは思っても,なかなかプレイヤーの皆さんと触れ合う機会がありませんでした。今回は大きな規模でのオフラインイベントを行いましたが,今後はもう少し小さい規模で,皆さんと直接コミュニケーションがとれるような場を設けていきたいとも考えています。今後も,叱咤激励を含めて,運営に意見をいっていただければと思います。それを受けて,我々ガマニアも開発のPlayCooもよりよい方向へルーセントハートを導きたいと考えています。
ルーセントハートの近況
2周年という節目のシーズンを迎えているわけですが,現在のルーセントハートはどういう状況になっているのでしょうか?
廣田氏:
全体的には以前と変わらず好調をキープ,といったところです。もちろん新しいオンラインゲームもどんどん出てきていますので,数字の上でまったく変動がないという訳ではありません。
4Gamer:
ネームバリューのある,怖いタイトルも控えていますよね。運営としては,そのあたりの対策などは考えているのでしょうか?
廣田氏:
我々としては“ルーセントハートらしさ”を押し出していきたいと考えています。ダンスシステムや今後のアップデートでもいくつかあるのですが,“ほかのMMORPGにはない要素”や,コミュニティ機能に充実に注力していく予定です。
4Gamer:
ルーセントハートといえば,コミュニティをはじめとする“横”の広がりを大事にしているタイトルだと思いますが,現役プレイヤーの中には,冒険やレベル上げといった“縦”の部分に不満を感じている人もいると思います。
廣田氏:
今おっしゃられた“縦”の部分に関してはPlayCooと検討をしておりまして,今後のアップデートで伸ばしていかなければならない部分であるとは認識しております。
4Gamer:
実際のところ,どういった方向のアップデートを望んでいる人が多いのでしょうか。意見は届いているんですよね?
はい。“縦”と“横”,どちらの方向に対しても意見をいただいています。これまでの2年間で,ゲームにはさまざまなアップデートが施されました。それらの中には,ゲームバランスに少なからず影響を与えているものもあります。そういった面でバランスを再調整してほしいという意見をいただいたりしています。いきなり全部を調整というのは難しいので,まずは「どの部分をどのように調整すべきか」ということを,実際に遊んでいる皆さんから直接聞いていこうと考えています。現在,PlayCooと協議をしておりまして,「どういう仕組みがあれば,プレイヤーの皆さんは意見を言いやすいだろうか?」といったことを模索しています。目処が立ち次第,早い段階で動かしていきたいですね。
4Gamer:
これはMMORPGとしては仕方のないことなのかもしれませんが,現状だと高レベル帯ではレベリングがマンネリ化して作業感を強く感じてしまいます。とくにソロプレイではとても厳しいのですが,開発のPlayCooとしては,現在のゲームバランスに関してどうお考えでしょうか?
レベルアップが大変なことと,高レベルプレイヤー向けの目標が少ない点は,我々開発のほうでも認識しております。現在対策を考えているところで,すでにいくつかアイデアもあります。
例えば,「すでにゲーム内に存在するボスモンスターを,レイドモンスターのように強くして,大人数での討伐を楽しんでもらう」という案があります。さらに,そういったコンテンツに対応するため,「パーティ人数の上限を,現在の6人から,もっと多数に引き上げる」ことも検討しています。コミュニティ機能の強化ですね。
また,これまでは“プレイヤー同士で協力して,敵を倒す”ことがメインでしたが,そこに新しく“プレイヤー同士で熱くなれる”ようなものを追加できないかと考えています。例えばバトルです。バトルといっても大人数同士でやりあうものではなく,もっとカジュアルに楽しめるものがいいのではないかと思います。
もちろんこれらはまだアイデアの段階ですので,本当に実装するかどうかは未定です。いずれにせよ,必ず運営側から意見を聞いてから,実装するという流れで行っていきます。
4Gamer:
台湾と日本のルーセントハート,そのゲームバランスはまったく同じなのでしょうか?
Rock LIN氏:
違う部分も少しあります。台湾版で先に公開して不具合が見つかり,日本語版には修正してから実装された内容もあります。台湾と日本では好まれるものが違ったりもしますので,アレンジは必要かもしれません。例えば,ダンスシステムは日本では好評をいたただいているのですが,台湾では,「ダンスよりも,レベルキャップ上昇や装備の充実といったキャラクター強化関連に力を入れてほしい」と思う人が多いようです。
4Gamer:
なるほど,「地域によって求められるものは違う」というスタンスですね。
そうとらえています。私達PlayCooは台湾の開発会社ですが,こちらの作る企画やアイデアは,日本の人から見るとやはり“なんとなく違うかな?”というものに見えるようです。そして私達はそのことを認識しています。ですので,私達が制作したタイトルが他国でサービスされるときには,その国の運営会社と意見を交換するよう心掛けています。
4Gamer:
では逆に,日本でデザインされたアバターやペットなどがありますが,それらは台湾でどう受け止められているのでしょうか?
台湾の人達は日本の文化に好意的なので,基本的にはそのまま受け入れられています。タロットペットの【戦車】ちゃん(関連記事)などは,まだ台湾では実装はされていないのですが,実は台湾のプレイヤーの間では,いつ実装するのかと期待が高まっているようなんですよ(笑)。
8月に実装される「Fortis」アップデートについて
4Gamer:
8月に実装されるという次期アップデート「Fortis」について,詳しくお聞かせください。
Rock LIN氏:
次期アップデートは,“女神”に関連する一連のイベントやクエストがメインになります。今回のアップデートは,日本の運営側から内容を提供してもらって制作しました。
ルーセントハートでは,サービス開始当初からテイアとカデナという2人の女神のイメージを前面に出していたのですが,実は今まで彼女達は,ゲーム内には登場していませんでした。プレイヤーの皆さんからも,彼女達をゲーム内で見たいという意見を多数いただいていましたので,今回,大規模なクエストとともに実装しました。2人の女神は,プレイヤーキャラクターを支援する存在として,ゲーム内に登場します。
大規模クエストのストーリーは,今年2月に発売されたルーセントハートのガイドブック「ほしとも恋愛マニュアル」に掲載されていたオリジナルコミックの,続編的なものになっています。もちろん,ほしとも恋愛マニュアルを読んでいなくても楽しめる内容になっています。ルーセントハートの世界“アカディア”がどういう経緯で作られたのか? といったことに関わる壮大なドラマを楽しんでいただけます。
4Gamer:
連続クエストになっているんですね。
そうです。ボリュームもあり長く遊んでいただけると思います。三次転職以降からレベル60程度までの,これまで中だるみしがちだった中盤のレベル帯で,これからはクエストにチャレンジしていただけます。
クエストを進めていきますと,いずれ中ボス,大ボスと対峙することになります。例のオリジナルコミックにも登場しているキャラクターで,手ごわい敵になっています。
4Gamer:
女神はどこに出てくるんでしょう?
廣田氏:
クエスト関連の追加アイテムとして,使うとプレイヤーキャラクターに強力なバフがかかるアイテムが登場します。この使用時に,女神テイアがエフェクトとして現れます。バフは女神の加護というわけですね。
このアイテムは1日1回,簡単なクエストをクリアすることで入手できます。そして――ごくごくたまに,テイアの代わりにカデナが現れます。カデナはかなりのレアキャラクターですね。
4Gamer:
手ごわいボスがいるとのことですが,ソロでのクリアは厳しいのでしょうか?
廣田氏:
中ボスと大ボスは,ルシルとデゥクスという2人のキャラクターです。その2人と戦うときは,パーティの最大人数である6人が揃っていないと厳しいはずです。大ボスのデゥクスを倒しますと,今までになかったようなアイテムが手に入ります。ボスキャラクターがつけている翼のようなアバターアイテムです。これには能力値も付与されており,通常のアバターとは違ったものになっています。
4Gamer:
この女神関連のクエストの追加が,「Fortis」の目玉なんですね。
アップデート内容の8割は女神関連です。テイアとカデナは思念体のような存在なので,いわゆるNPCとしては登場しません。プレイヤーを物語へと導いていくのは“女神の元に集う12人の星の守護者”です。彼らはNPCとして存在します。
女神クエスト以外の部分では“ペット専用の倉庫”が使えるようになります。最近はペットの数が多くなってきましたので,専用倉庫の追加は喜んでいただけるものだと思います。
4Gamer:
「Fortis」は日本側から提案されたアップデートだという話ですが,台湾の開発側としては,制作過程でこのアップデートの内容に関して,どのような感想を持ちましたか。
日本側から提出された仕様書は,非常に細かく書き込まれていました。そして読んでみて面白そうだと感じました。開発としては,女神登場時のエフェクトなど,演出面にこだわりました。大ボスのデゥクスと中ボスのルシルについては,どういう登場の仕方,どういう攻撃方法にすれば,楽しんでもらえるかを熟考しながら作りました。
4Gamer:
今回のストーリークエストが好評なら,また次回も作ってみたいと思いますか?
中島氏:
テイアとカデナというシンボル的なキャラクターを,今回ゲーム内に登場させることができました。今までルーセントハートの世界の中で遊んでくれていた人達に対して,今回初めて,アカディアという世界がどういうものなのかを伝えられたのではないかと思います。ストーリーが楽しければ,その先が気になるという点で,プレイのモチベーションも上がりますし,できる限り,この先も続けていきたいと考えています。
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