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「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
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印刷2008/02/07 12:00

インタビュー

「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン

玄関の位置から見上げた,ガマニア社屋があるビル。近辺は同様のデザインのビルが立ち並ぶ先進的なオフィス街だ
画像集#001のサムネイル/「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
 東京ゲームショウ2006で,数々の自社開発タイトルをアナウンス/参考出展したガマニア。日本では「ネットdeすごろく す〜ぱぁ★リッチ」に続いてMMORPG「ブライトシャドウ」もサービスインする一方で,本家台湾のサイトでは「星辰」(Zodiac Online)のPRも始まっていた。個々の製品展開もさることながら,以前MMORPGからカジュアルタイトルへのシフトを語ったガマニアの,現状と今後が気になるところだ。
 そこで,Taipei Game Show 2008開幕の前日に,ガマニア本社を訪れて,CEO & ChairmanのAlbert LIU(劉柏園)氏にその疑問をぶつけてみた。インタビューでは,現在までに名前が挙がっている作品のあとに,日本メーカーとの共同開発作品が控えていることも,ちょっぴり明かされた。
 「中国市場での製品展開と,日本での売り上げを台湾並みにすることが目標」と,大戦略を語る氏の日本市場観,また台湾市場観はどのようなものなのか。併せてお伝えしよう。


台湾ではカジュアルゲーム重視
「仙魔道」より「星辰」が先にお目見え


Gamania Digital Entertainment(遊戯橘子数位科技)CEO & ChairmanのAlbert LIU(劉柏園)氏
画像集#006のサムネイル/「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが質問を。ガマニアは現在,自ら手掛けた作品が世に出始めているという,非常に注目すべきタイミングにあると思います。まずは現在のガマニアグループが,課題と考えていることを教えてください。

Albert LIU氏:
 ガマニアは従来,海外産タイトルのパブリッシングを中心としていたのですが,数年前から自社開発に着手し,昨年末にようやくMMORPG(「ブライトシャドウ」)のリリースに漕ぎ着けました。リリース前とリリース直後の評判は上々だったのですが,現在はゲーム内容にまだまだ多様さが足りないといったところで,かつて期待されたほどの評判を得られていません。
 それに対処するのはもちろんのこと,そうした経験を踏まえつつ,自社開発タイトルの質の向上に努めるのが課題と考えています。

4Gamer:
 東京ゲームショウ2006にいらしたとき,台湾ではMMORPGとカジュアルゲームが半々くらいになっていると言っていましたよね。その後この図式はどのように変化していますか?

Albert LIU氏:
 昨年からさらにカジュアルゲームの数が増えてきていますから,今年は実際に半分くらいの規模になると思いますね。

4Gamer:
 カジュアルゲームは,なおも伸びていると。

Albert LIU氏:
 そう。ただしMMORPGの売り上げが一定線を維持したまま,カジュアルゲームが伸びているということになります。

4Gamer:
 台湾に関しては,そこがちょっと不思議に思えます。というのも,台湾ではある程度コンソールゲーム機が普及しているのに,これからますますカジュアルゲームが栄える余地があるのだろうか,ということです。もちろん,日本の現状と比較したときの感想にすぎませんが。

Albert LIU氏:
 MMORPGのゲーム性やプレイヤーの分布と比べたとき,カジュアルゲームのほうがもともとターゲットが広いですし,多様なジャンルが想定できます。また,デジタルエンタテインメント全般が伸びるにつれて,カジュアルゲームのプレイヤーも増えていくという関係にあると思います。

4Gamer:
 では,ガマニアの新開発タイトルとしては,カジュアル寄りのタイトルに力を入れていく感じでしょうか?

Albert LIU氏:
 そのとおりです。例えば韓国のデベロッパと共同開発した横スクロールシューティング「Art of War」は,今年サービスインが決まった,新しいカジュアルタイトルです。

韓国GNI SOFTが開発し,GAMANIA KOREAがサービスしている,ミリタリー横スクロールアクション「Art of War」
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4Gamer:
 2006年時点で,自社開発タイトルとして上がっていたもののうち,カジュアルゲームに当たる「ネットdeすごろく す〜ぱぁ★リッチ」と,MMORPG「ブライトシャドウ」はすでに動き始めており,残る「仙魔道」についても,近く動き出しそうな感じとのことですね。その先に控えているのが,公式サイトも開設された「星辰」(Zodiac Online)となるわけですか。

Albert LIU氏:
 ええ。順番としては「仙魔道」より「星辰」のほうが先に動き出しますけれどもね。

4Gamer:
 それは意外ですね。では先に,「星辰」の大まかな特徴と,狙うターゲット層について教えてください。

Albert LIU氏:
 タイトルのとおり,星座がモチーフになっているのが特徴です。ターゲットは17歳から25歳くらいですが,アジアの若者層には,星座にロマンチックな思いを持っている人が多いと思います。星座の話から,人と出会ったり,友達を作ったりといったコミュニティ作りに広げていけるというのが,「星辰」のセールスポイントです。

4Gamer:
 それは比較的オーソドックスなオンラインRPGをイメージしてよいのでしょうか,それともSNSに近い独自の形を想像したほうが近いのでしょうか?

Albert LIU氏:
 いや,完全なMMORPGです。

4Gamer:
 星座が出発点,MMORPG,ヤングアダルト層がターゲット,となると,女性プレイヤーを狙っていそうにも思えるのですが,そこはいかがですか?

Albert LIU氏:
 もちろん,女性プレイヤーも大いに意識しています。MMORPGにおける有名な「理論」として,女性プレイヤーが増え出すと,男性プレイヤーも増えてくるというのがありますしね(笑)。

4Gamer:
 実際の想定として,何%くらいの女性プレイヤーを見込んでいますか?

Albert LIU氏:
 従来のMMORPGで考えると,女性プレイヤーの比率はまず15%に届かないものです。あくまで個人的な予想ですが,「星辰」なら20%を超える自信があります。

4Gamer:
 それは楽しみですね(笑)。ではその「星辰」に関して,近々まとまった情報が発表されそうでしょうか?

Albert LIU氏:
 日本における「星辰」のリリース予定は,今年(2008年)の第2四半期です。そのころに,日本向けの詳しい情報がまとまると思います。

4Gamer:
 おお,意外に早いですね。ですがそもそも,台湾での日程はどんな感じなのでしょうか? 公式サイトにはイメージグラフィックスがいくつかと,モデルさんを起用したバナーなどが用意されているだけのようですが。

画像集#005のサムネイル/「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
Albert LIU氏:
 ところで日本人の目から見て,イメージキャラクターの子は可愛いですか?


4Gamer:
 可愛いです(笑)。

Albert LIU氏:
 それはよかった(笑)。台湾では現在クローズドβテスト中で,まだあまり情報が出ていないのですが,オープンβテストが始まるタイミングでは,公式サイトの情報も充実させる予定です。

4Gamer:
 そのオープンβテストはいつごろでしょうか?

Albert LIU氏:
 2月中旬に行います。

4Gamer:
 ゲームの概要が広く明らかになるのも,もうすぐというわけですね。ところで2007年中にサービスイン予定だった「仙魔道」が延びているのには,何か新しい開発要素が加わったとかいった,具体的な事情があるのでしょうか?

Albert LIU氏:
 要素もいろいろ増やしているのですが,それよりも本質的なのは開発チームが,1サーバー当たりの最大接続者数を増やす方向で再開発に取り組んでいるからです。これは主として,ゲームサービスとしてのクオリティと完成度にこだわっているためで。

4Gamer:
 それは,「ブライトシャドウ」の開発経緯と評判が,教訓として作用しているということでもあるのでしょうか?

Albert LIU氏:
 そうです。といっても,「ブライトシャドウ」もこれから良くしていくわけですから,それに続く作品はもっともっと良くしたい,という意味なんですけどね。

4Gamer:
 日本サービスの日程についてはいかがですか。

Albert LIU氏:
 台湾では3月にテストに入りますが,日本でのスケジュールはまだ決まっていません。ただし,年内には日本サービスを正式発表します。


コンソール大国日本における,カジュアルゲームの苦戦


4Gamer:
 今年のガマニアといえば,「カウンターストライクオンライン」のパブリッシングという大ネタも控えています。台湾における「カウンターストライク」の人気はどうですか?

Albert LIU氏:
 Source版も含めて人気がありますよ。ただし,インターネットカフェ業者さんのなかには,正式なライセンスを受けず,勝手に導入/サービス提供しているケースも見受けられます。

4Gamer:
 そこは程度の差こそあれ,大陸中国でも同様のようですね。ところで,「カウンターストライクオンライン」の台湾におけるサービス日程はどうなっていますか?

Albert LIU氏:
 今年第2四半期,つまり夏休み前にクローズドβテストを行う予定です。

台湾ではガマニアがサービスする,「カウンターストライクオンライン」。画面は韓国語版のクローズドβテスト時のもの。文字化けについてはご容赦を
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4Gamer:
 人気を呼びそうですか?

Albert LIU氏:
 ええ。作品が作品だけに,人気については自信があります。それがどういったビジネスモデルで,どれだけの収益に結びつくのかが,今後の課題ではありますが。

4Gamer:
では,続いて「仙魔道」について。中国,台湾,韓国はよいと思うのですが,日本で武侠モチーフはあまりピンと来ません。そのあたりをどうお考えですか?

Albert LIU氏:
 確かに武侠人気は,中華圏特有のものではあります。しかし「仙魔道」はそもそもオリエンタルファンタジーであって,単に中国式の武侠タイトルではありません。ガマニア日本法人とも協議しながら,新しいジャンルのゲームにしていこうと考えています。「仙」と「魔」による戦いは,日本文化にも似た構図があると思います。

後述するように,ガマニアが中国市場を開く鍵として期待する,東洋ファンタジーMMORPG「仙魔道」
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4Gamer:
 そうですね。名前や細かな部分は違うかもしれませんが,通底するモチーフはあります。……その話の延長,というわけではありませんが,そもそも日本オンラインゲーム市場の特徴をどう捉えていますか?

Albert LIU氏:
 日本におけるPCオンラインのゲーマーが,コンソールのゲーマーに比べてまだ少ないことは認識しています。ですが,PCオンラインのゲーマー数は,今後の伸びが予想されてもいます。
 ガマニア日本法人は,日本で4年にわたって運営経験を積んでおり,その間に日本でもオンラインゲームの楽しさがだいぶ滲透したと思っています。
 ですから自分としては,今後日本におけるオンラインゲーマーの数に関して,大幅な成長が期待できるのではないかと。

4Gamer:
 全体としては楽観している,ということですね。もう少し細かい内訳の話になりますが,韓国の大手パブリッシャさんの間には,日本市場ではまだカジュアルゲームでなく,依然としてMMORPGが人気であるという認識もあるようです。その点に関する見通しをお聞かせください。

Albert LIU氏:
 台湾市場と日本市場を比べたとき,日本市場ではカジュアルゲームのライフサイクルが,確かに短いように見えます。供給タイトル数が少ないと,2か月後以降にはそのサービスサイト自体が飽きられてしまうというか。そもそも日本でカジュアルゲームを本格的にサービスしている会社と,供給タイトル数そのものが少ないので,なかなか厳しい状況なのではないかと。
 ガマニアは,台湾におけるカジュアルゲームサービスで良好な成績を収めていますが,その理由はまず,台湾における客層が大きいからです。そして供給タイトル数が多く,たとえあるタイトルに飽きたとしても,次があるわけです。そうしたわけで,同じタイトルであっても,必ず台湾におけるサービスのほうが成績がよくなります。

4Gamer:
 そうなんでしょうね。すでに根付いているといいますか。

Albert LIU氏:
 それとやはり,日本ではまずコンソールゲームが人気ですから,軽いゲームはそちらで好評を博していて,PCのカジュアルゲームはあまりアピールできていない。そういうことだと思っています。

新しいもの好き,コミュニケーション好きの台湾ゲーマー


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4Gamer:
 そう,まさに最初のほうにお聞きした論点と重なるのですが,コンソールゲームは台湾でもある程度普及していますよね? それでもPCのカジュアルゲームが普及しているわけです。これはなぜでしょうか?

Albert LIU氏:
 うーん,そうはいっても,台湾におけるコンソールゲーマーの比率は,日本よりずっと低いわけですから。

4Gamer:
 つまり,台湾でコンソールゲームはそれほど強くない……?

Albert LIU氏:
 PCオンラインゲームと比べると,確かにそれほど強くはないです。

4Gamer:
 なるほど。しかし,ゲームショウにおけるコンソールゲームメーカーのブースの集客は,いつもすごいと思うんですが。

Albert LIU氏:
 情けない話なのですが,中華圏といえば海賊版が横行していて,コンソールゲーム機は売れるものの,肝心のゲームタイトルは全然売れないのですよ。実際,台湾でコンソールタイトルが3000枚売れたら,それはもうヒットですから。例えば,「電車でGo!」シリーズに台湾新幹線をフィーチャーしたバージョンが登場したら,それに伴ってPLAYSTATION 3本体は売れたわけです。

4Gamer:
 ああ,そういうことでしたか。つまり遊んでいる人は,ある程度いるわけですね。

Albert LIU氏:
 そうです。遊んでいる人は多いけれど,利益にならないのですよ。だから,業界の規模と普及率にはどうしても限界があります。それに対してPCオンラインであれば,ヒットタイトルなら10万人以上のプレイヤーが見込めます。

4Gamer:
 うーむ,では話を逆にしまして。日本や韓国,大陸中国と比べたとき,台湾オンラインゲーム市場,あるいはオンラインゲーマーの特徴とはなんでしょうか?

Albert LIU氏:
 うーん,ゲームもそのプレイヤーも多様ですから,一言では言い尽くせないですが,新タイトルへの注目度が高いことですね。どの作品でも,最初は必ず注目が集まります。
 そしてゲームに関しては,コミュニティ性に注目するのが一つの特徴ですね。コミュニティ要素がないと,誰もプレイしてくれません。
 また,新しいテーマのゲームしか売れないというのも特質です。何かがヒットしたとして,それを踏襲した作品が出てきても,なかなか人気は得られません。そうした傾向があります。

4Gamer:
 このところ,PCオンラインゲームとコンソールのオンラインゲームでワールド/サーバーを共有して,一緒にプレイできる作品を目指す動きが出始めていますよね。ガマニアさんで,そうした計画はありますか?

Albert LIU氏:
 マルチプラットフォーム化によるサーバー共有は,間違いなく正しい方向性だと思いますが,ガマニアでは,まずPCオンラインで成功し,その次のステップとしてマルチプラットフォーム化を考えたいと思っています。

4Gamer:
 現状では,PCオンラインに専念するということですね。ではオンラインの延長にあるものとして,バーチャルワールドサービス,例えば「Second Life」が話題になっています。そうしたサービスに興味はありますか?

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Albert LIU氏:
 個人的な見解になりますが,「Second Life」はアジア地域では本当に難しいと考えています。なぜかというと,「Second Life」のセールスポイントが,自分のコンテンツを作れることだからです。それは,ゲーマーにとってセールスポイントにはなり得ない。そう考えています。


4Gamer:
 確かに韓国でも否定的な見解の人が多かったですね。

Albert LIU氏:
 ゲームとして評価する限り,つまらないと言わざるを得ないです。

4Gamer:
 実際問題「Second Life」は台湾で話題になっていない?

Albert LIU氏:
 正直,「Second Life」は台湾では売れません。どこも代理権を取りたがらないでしょう。私が考えるに,「Second Life」がアメリカで成功した理由はおそらく,アメリカには多くのハードPCユーザー兼ヘビーゲーマーがいて,ライトゲーマーはコンソールゲームをプレイしている。
 「Second Life」を楽しむには相当のPCスキルが必要なのに対して,アジア圏ではハードPCユーザーの比率が全然違いますから,難しいと思いますね。

4Gamer:
 なるほど,ビジネスモデル云々以前の問題というわけですか。

Albert LIU氏:
 ガマニアには300万人の顧客がいますが,それでもPCのハードユーザーはほとんど含まれていないと考えています。

4Gamer:
 周辺領域ついでにもう一つ。日本やアメリカではSNSがそれなりに普及しましたが,台湾はどんな状況で,ガマニアさんとしてはそれをどう見ていますか?

Albert LIU氏:
 台湾におけるSNSは,Webポータル企業や大手ブログサービスによって成功しており,ゲーム会社がそこからコミュニティを引っ張ってくることは困難だと考えています。

4Gamer:
 先ほど,台湾のゲーマーはコミュニティ性を重視するというお話がありましたけれども,ゲームと連動してSNSが機能するといった可能性も,考えにくいですか。

Albert LIU氏:
 それも過去に検討してみました。確かにゲーム内でのコミュニティ性は強いのですが,そもそもコミュニティをほかのところに移すこと自体,難しいと思います。プレイヤーさん達は,自分のコミュニティを守りたいわけですから。
 ガマニアの方針としてはやはり,ゲームごとに良いコミュニティを作れるよう,頑張りたいと思います。

4Gamer:
 では今度はカジュアルゲームを延長して考えた場合の話なのですが,日本やアメリカではニンテンドーDSやPSPといった携帯型ゲーム機がヒットし,当初売れ行きがにぶいといわれていた韓国でもヒットの兆しを見せています。
 これらは対戦型のカジュアルゲームと親和性の高いプラットフォームではないかと思うのですが,研究を進めていますか?

Albert LIU氏:
 それもやはりステップ・バイ・ステップで,PCオンラインゲームを成功させるのが先決で,それが成功すれば,ほかのプラットフォームに行く可能性もあります。

4Gamer:
 では,ガマニアがオンラインゲームを開発するに当たって,大切にしている精神,いま何に挑戦しているのかを,なるべく簡潔な言葉で教えてください。

Albert LIU氏:
 ガマニアグループはアジアで,インターネットユーザー誰もが楽しめる時間と空間を作りたいと考えています。

4Gamer:
 そこで「Second Life」でなくSNSでもないとすると,最終的にどんな構想を持っているのか,すごく気になりますね。

Albert LIU氏:
 もちろん,ゲームから始まる,ということです。いろいろ挑戦したいことはありますが,まずは会社としてもプレイヤーさんとしても満足できる水準までオンラインゲームを成功させて,それから次のステップに進みたいのです。

日本法人の売り上げを台湾本社並みにするのが目標


画像集#008のサムネイル/「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
4Gamer:
 ではオンラインゲームで十分に成功し,ガマニアがゲームポータルとして満足できる水準に達したとしましょう。その次に考えるのは,どんなことでしょうか?

Albert LIU氏:
 具体的なお話ではありませんが,ポータルとして成功し,対応プラットフォームを広げた後は,「デジタルエンターテインメント」を提供したいと考えています。

4Gamer:
 それは例えば,映像や音楽といったものでしょうか?

Albert LIU氏:
 その可能性もありますね(笑)。

4Gamer:
 アニメやグッズ販売といった,マーチャンダイジングを積極的に展開しているパブリッシャさんもありますよね。

Albert LIU氏:
 ガマニアは香港,中国,韓国,日本でローンチオフしていますが,現在はガマニア香港および台湾がマーケットリーダーです。これからの方針としては,もっと日本に力を入れたいと思っています。そして,中国,韓国で更なる成功を収めたうえで,先ほどの次なるステップに進む,という構想です。

4Gamer:
 ではそのバックグラウンドとなる部分を少し教えてください。現在台湾ガマニアでサービス中のタイトルのうち,定額課金とアイテム課金の割合はどのくらいでしょうか?

Albert LIU氏:
 定額課金は「リネージュ」「R2」だけなのですが,売上でいうと,これが半分を占めています。

4Gamer:
 先ほどのマーチャンダイジングの話題とも関連するのですが,だとするとアイテム課金よりもさらに新しい収益手段が欲しいという感じになりませんか?

Albert LIU氏:
 確かにアイテム課金のレベニュー効率は,感心できる水準ではありません。しかし,タイトル立ち上げ時はともかくとして,回り出したタイトルのアイテム収益計算は,十分にできています。
 そうした意味で,新しい収益手段にはいろいろ興味を持っていますが,いま急いで乗り出すつもりはありません。

4Gamer:
 先ほど日本と中国が重点目標に上がったわけですが,グループ全体の売上から見て,日本の現在のパーセンテージはどれくらいで,それをどこまで引き上げる目算なのでしょうか。

Albert LIU氏:
 中国は政府との関係があって難しいマーケットなので,はっきりしたコミットをしたくないですが,現在売上げの6〜7%を占める日本については,最終的に台湾より大きな売上げを達成することが目標です。

4Gamer:
 中国には大きな可能性がありそうですが,やはり読みづらいですか。

Albert LIU氏:
 そう,中国には中国のマーケット特性がありまして,ガマニアの経験でいうと,台湾と香港と日本は同じタイトルが通用するんですけど,中国はクセがあります。結果として,従来中国に向いたタイトルがなかったわけですが,今年からは「仙魔道」などで,中国市場に本格進出の予定です。

4Gamer:
 中国はまさに今年から,なんですね。では日本市場に関しても「仙魔道」と「星辰」(Zodiac Online)がやはり切り札になるのでしょうか?

Albert LIU氏:
 「仙魔道」で,いきなり中国での成功を目指しているというよりは,中国マーケットを開く鍵のようなものと捉えています。日本市場向けはどちらかというと,「星辰」のほうですね。「ブライトシャドウ」を含め,ガマニアの従来タイトルよりも大きな実績を上げてくれるものと期待しています。

日本市場でのブレイクが期待されている,恋愛モチーフのMMORPG「星辰」
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4Gamer:
 それは日本のゲーマーとして,たいへん楽しみです。ところで,現在6〜7%に留まる日本市場での売上げを,台湾に匹敵するところまで持っていくというのは,かなり大きな目標のように思えます。現状で台湾での売上げシェアは,だいたい80%くらいと見てよいでしょうか。

Albert LIU氏:
 だいたいそのくらいです。

4Gamer:
 うーん……本当に大目標ですね(笑)。

Albert LIU氏:
 それはもちろん,承知のうえです(笑)。

日本の会社と共同開発のタイトルを準備中


画像集#004のサムネイル/「日本での売り上げを台湾並みにしたい」CEO&Chairman Albert LIU氏が語る,ガマニア今後のビジョン
4Gamer:
 しかし,そうした目標を掲げる以上,「星辰」の次やその次の日本市場キラーが控えているわけですよね?

Albert LIU氏:
 いま具体的に進めている話としては,自社開発のみならず,日本の開発会社と共同で当たる予定のものもあります。

4Gamer:
 それはどこですか……と問われても困るかもしれませんが。

Albert LIU氏:
 まだ協議中ですので,さすがにいえません。

4Gamer:
 では抽象的アプローチで。ガマニアが日本市場に向けて出すゲームに,必要だと思う要素とは何でしょうか?

Albert LIU氏:
 ガマニア日本法人のゲーム運営能力は,非常に高く評価しています。実績と経験を持つガマニア台湾と,同じくらいの実力を持っていると思うのです。日本からのアイデアに学ぶところもありますので。
 そして私が思うに,現時点で日本法人に足りないのは“メジャータイトル”です。日本で成功するタイトルの特性についていうと,台湾におけるヒット条件にかなり近いのですが,あえて違いを述べると,日本プレイヤーのほうがゲームの品質にさらにこだわるという特徴があります。それを念頭に,しっかり品質管理を行わねばならないでしょう。

4Gamer:
 “メジャータイトル”ですか。それを新たに作り上げるのか,日本ですでにメジャーな何かを取り上げるのか……。どちらをお考えですか?

Albert LIU氏:
 どちらも考えられますね。そして日本メーカーとの共同開発では,後者も可能になるわけです。

4Gamer:
 では日本における開発パートナーは,著名なIP(知的財産権資産)を持つ会社でしょうか,それとも,純粋にゲームを作れる会社でしょうか?

Albert LIU氏:
 オリジナルタイトルを日本メーカーと一緒に作るというのが,現在最優先で考えている方針です。ただし,もちろん既存のIPを利用するのも手ですから,次の可能性としては出てくるかもしれません。

4Gamer:
 まずはオリジナルが優先だと。

Albert LIU氏:
 あ,いやいや,優先順位じゃなく,いま進めているのがオリジナルのほうだということで,考え方としてはどちらもアリです。プロジェクトは今年中には始めたいですね。

4Gamer:
 うーん,果たしてどの時点でその中身が発表されるのか,非常に待ち遠しいです。……では最後に,今後ますます日本市場を重視していくガマニアとして,日本のゲーマーに向けたメッセージをいただけたらと思います。

Albert LIU氏:
 日本のオンラインゲームプレイヤーに,今後とも楽しいゲーム体験を提供していきたいと思います。次のステップとしては,日本のインターネットユーザーに,楽しいエンターテインメントを提供していきたい。この二つを常に考えています。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


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 台湾ゲーマーの新し物好きという傾向は,例えば台湾のゲームメディアにおける,人気ゲームランキングを何週か続けて見てみると納得できる。台湾のMMORPGにおいては,いかにして上位に入るかではなく,いかにして上位に留まるかが課題なわけだ。
 逆にカジュアルタイトルであれば,そうした傾向はさほど気にならないことになる。始めから1本1本のライフタイムが長く見積もられておらず,むしろラインナップの多様性と構成タイトル数こそが関心の対象となるからだ。
 そんな台湾市場で最大手であるガマニアは今後,日本市場における成功を目指しているという。その先鋒となるのは「星辰」であり,後続部隊は日本メーカーとの共同制作タイトルとなる……。プロジェクトの始動が年内であるから,その全貌が明かされるのはもう少し先の話となりそうであるが,日本ゲーマーたる我々としては,注目せざるを得ない話だ。

 横綱の余裕というべきか,ゲーム業界をとりまくホットな話題には全体として慎重な姿勢を崩さなかったAlbert氏だが,彼の考える「デジタルエンターテインメント」の真意は,果たして奈辺にあるのか。とりあえずはその前段階となる日本市場,中国市場での新たな話題を,楽しみにしたい。
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