連載
アルタイルのアラビア半島一人旅(Assassin's Creed) / 第1回:暗殺者アルタイルの非日常的日常
2006年のE3で電撃的に発表されたUbisoft Entertainmentの「Assassin's Creed」(以下,アサシン クリード)は,その場でベストアクション/アドベンチャー賞に選ばれたほか,その後もさまざまなアワードを獲得するなど,世界中で注目されてきたタイトルである。筆者も発売を楽しみにしていた一人であり,2007年11月29日にXbox 360版の「アサシン クリード」が発売されるやいなや辛抱できずに購入。以後,ひたすらプレイし続けて,持っているXbox 360用のタイトルで,初めて実績(アチーブメント=やり込み度みたいなもの)をすべて達成。社会人としてそれはどうなのと思えるほどプレイした,記念すべきゲームなのである。いやもう,めちゃくちゃ疲れました。
そんな感じで個人的に思い入れの強いアサシン クリードなのだが,PLAYSTATION 3版が2008年1月31日に発売されてからしばらく音なしの構え。肝心のPC版はいつなのか? と気が気じゃなかったのだが,このたび(5月16日)にイーフロンティアから「アサシン クリード 日本語マニュアル付英語版」が何事もなかったように発売となったのである。全国のPCゲーマーの皆さん,暗殺の時間がやって来ましたよ。
コンシューマ機版アサシン クリードについては,テキストだけでなく音声まで日本語化されている完全日本語版だったのに対し,PC版はなんちゅうか日本語マニュアル付きの英語版だったので,ちょっぴり,がっくし。
さんざんXbox 360版で遊んだ筆者でさえ,ゲームの核心部分のやりとりやゲーム展開など,ヒアリングだけじゃ絶対厳しいよなぁという印象だが,これは筆者がやや忘れっぽいことにも一因があるので放っておいてほしい。まあぶっちゃけ,ゲームを遊ぶだけならばそんなには困らないとは思うが,入り組んだストーリーや複雑な人間関係などを理解してプレイしたほうが256倍(当社比)楽しめるのである。
というわけで,英語がまったくダメだー,でも遊びたいと嘆いている人もアサシン クリードを楽しんでもらえるよう,本連載でサポートしていこうというのが筆者の狙うところである。
西暦1191年はヨーロッパの歴史でいうところの第三次十字軍の時代。エルサレム周辺は十字軍の侵攻によって大混乱に陥っていた。その戦いの中へ一人のアサシン(暗殺者)が送り込まれる。彼の名はアルタイル。25歳という若さながら,ほかの追随を許さない実力で最高の称号「マスター・アサシン」を得ていたという暗殺のエリートだ。しかし,自らの力を過信するあまり重要任務に失敗し,アサシン教団の長によって地位と称号を剥奪されてしまう。
やがて,見習い暗殺者として鬱々としていたアルタイルに新たなチャンスが訪れる。過去の栄光を取り戻すために数々のミッションをこなしていく彼だったが,ターゲット達に隠された秘密が明らかになるにつれ,恐るべき陰謀を知ることになる……。
こんな感じでストーリーが展開していくわけだが,中世の中近東という背景世界も異色なら,主人公が無敵の暗殺者だというのも(ないわけじゃないけど)なかなかユニークである。
ゲーム自体はミッションをクリアすることで進んでいく。各ミッションは「メモリーブロック」に記録されており,メモリーブロックはいくつかのメモリーログで構成されている。ミッション中に指示された目標などをクリアしていくことでメモリーログが埋まっていくという寸法だ。
暗殺の仕事はアサシン教団本部のあるマシャフ城塞において,大導師アル・ムアリムから伝えられる。マシャフから暗殺ターゲットがいる街(ダマスカス,エルサレム,アッカの三つ)へ移動し,情報収集ののちターゲットを暗殺するというのが基本の流れだ。
大導師アル・ムアリムより得られた情報をもとに暗殺すべきターゲットのいる都市を目指す。マシャフとダマスカス,エルサレム,アッカの間には,「キングダム」と呼ばれる広大な地域が存在する。ここは十字軍,イスラム勢力,アサシン教団などが混在する危険地帯でもある。基本的に馬で移動するので,戦闘を避けて走り抜けてしまうのも手だ。
ターゲットのいる都市に入ったら必ずアサシン教団支部に顔を出して情報収集にかかろう。マップはまだ空白だが,高い場所から都市をグルリと見わたせるビューポイントに登れば,近辺の状況が次第にハッキリしてくる。さらに,尋問,盗聴,スリ,情報提供者からの依頼(ミニゲームになっている),悪いヤツにからまれている市民の救出などを地味にこなしつつ,暗殺すべき人物に結びつく情報を得ていくわけだ。
ある程度情報が揃うと暗殺が可能になる。暗殺を実行するにはアサシン教団支部での許可が必要。教団支部でそれを得たら,いよいよ実行あるのみだ。ターゲットに接近するとムービーが流れ,それから暗殺を行うというダンドリになる。ミッションごとに暗殺の方法は異なるが,基本的にアサシンブレードを首筋にぶっすり突き立てれば万事オッケーだ。一部のミッションではターゲットを追いかけて暗殺する必要があり,場合によっては逃げ切られて任務に失敗することもある。アルタイル,がっかり。
暗殺を完了しても悠長にしてはいられない。すぐにその場から逃走してアサシン教団支部に戻り,暗殺完了の報告をしなければならないのだ。勤め人は辛いのである。しかし,暗殺直後は犯人(私のことだが)に対する警戒レベルが最高になっているため,簡単に見つかってしまうだろう。周囲の警戒心を十分に下げてからでないと支部には入れないのだ。
アサシン教団支部で暗殺完了の報告をするとめでたく任務完了となる。とはいえ,再び大導師アル・ムアリムの待つマシャフへと戻り(自動で戻る),次のターゲットや任務を受けることになるのだ。さぁ,次もがんばるぞー!
アルタイルのアクションには,頭に関する操作(タカの眼,シンクロ,盗聴など),手に関する操作(人を押す,つかむ,スリなど),足に関する操作(祈る,ジャンプ,スプリントなど),そして攻撃に関する操作(攻撃,カウンター攻撃など)と,部位ごとに動作を使い分けるフルボディコントロールというシステムが採用されている。フルボディコントロールでは,「スニーク行動」と「アクション行動」のいずれかの動きが可能であり,これらを臨機応変に使うのが重要になる。基本としては,敵の目を欺きながら群衆に紛れてひっそり行動したり,意図的に騒動を起こして自分を目立たなくするといったスニーク行動がメインとなるはず。群衆をうまく使いこなすことが重要なのである。
兵士や自警団は怪しいと思った者(つまりアルタイル)に対して常に警戒心を抱いているので,やつらの目の前で壁に登ったり,人を殴ったり,兵士にぶつかったりといった怪しい行動をとると,アサシンとバレてたちまち追い回される。もちろん,剣を抜いて誰かを殺すのを見られてしまえば,あっという間に兵士達に包囲されるし,こっそりやっちゃっても死体を見つけられると彼らは警戒レベルを上げる。そこにアルタイルがいれば,なぜか「やつだ!」とやっぱり追われるハメに。まぁ,犯人なんでしょうがないのだけど。
アルタイルが周りからどのように見られているのかは,画面左上にある「ソーシャルステータス」で判断可能だ。警戒レベルは「一般市民」から「警戒高」まで7種類あり,今,どの状態なのかは色と音で判断できる(すぐに警告音だけで警戒レベルの程度が分かるようになるだろう)。いったん上がった警戒レベルは,干し草の中や屋上にある空中庭園に隠れる,神学者の集団に紛れるといったスニーク行動で一般市民レベルまで下げられる。敵AIはそれほどしつこくはない印象だ。
ソーシャルステータスの横にあるバーが「同調率バー」で,分かりやすく言えばアルタイルのライフバーである。敵の攻撃を受けたり,市民を攻撃したり,高いところから落ちたりすると次第に減っていき,なくなるとゲームオーバー。同調率バーが減っても一定時間が経過したり,ソーシャルステータスが「警戒高」などから常態に戻ったりすると,それに伴って回復するので安心だ。ヘルスパックのようなものは用意されていない。
いろんなところを走りまくり,跳びまくり,登りまくれるが,何かに飛び移る際にシビアなタイミングを要求するタイプのゲームではないため,アクションゲームが苦手な人でも簡単にアルタイルの格好いい動きが楽しめる。ジャンプすべきところは自動的にジャンプしてくれるし,掴むキーを押しっぱなしにしていれば,飛んだ先の掴めるところを勝手に掴んでくれるのだ。というわけで,アルタイルの操作はかなり楽しい。操作していて単純に楽しいのは本作アサシン クリードの重要な美徳だと思う。
アルタイルが使用できる武器は,アサシンの必需品であるアサシンブレード,それと短剣,長剣,そして怒りの鉄拳である素手の4種類。
アサシンブレードは,左腕首から肘にかけて装着された手甲に納められている細長い刃物であり,小指を操作することで刃の出し入れができるらしい。すれ違いざまや背後から近づき,ターゲットの首筋に突き立てるわけだ。こっそり殺すのに向いているが,飛びかかってザックリやっちゃっても構わない。ちなみにアルタイルはアサシンブレードの出し入れに支障がないように左手の薬指を切除しているというのだからプロフェッショナルである。でも,それをアサシンの見分けポイントにされてしまったりしないのかしら。
ぶんぶん振り回せる剣には,短剣と長剣の2種類がある。短剣のほうが動きが軽く素早く斬りつけられる。また,短剣は投げて使用することもでき,離れたところにいる兵士などに気付かれずに眠ってもらうときに便利だ。いっぽうの長剣は短剣と比べると若干動きが悪くなるが,与えるダメージが大きい。
筆者の場合は3人以上の敵と戦う場合は短剣を使用し,それ以下の場合は長剣で戦うことが多い。こんな風に状況に応じて武器を切り替えるのがアクションゲームの基本だが,アルタイルはかなりの使い手なので,単純に気分で武器を選んでもけっこう大丈夫。
素手はさすがにあまり使い道がない。アルタイルの行く手をふさぐ浮浪者を追い払う際にゲンコツを食らわせるくらいだ。まあ,尋問ミッションで使うことは使うが,このときは自動で素手が選択されるし,好んで素手でプレイするシーンはよほどの素手マニア以外,少ないだろう。
このように,戦闘ではアサシンブレードと2種類の剣を使い分けて戦うのだが,タイミングよく連続して斬りつけることで発動する「コンボキル」,敵が攻撃してくる瞬間に攻撃することで強烈な一撃を食らわせる「カウンター」などを使いこなしていこう。それ以外の戦闘でも,敵の攻撃を防ぐ「ガード」,後方にステップして攻撃を避ける「かわし」,素早く敵との間合いを詰めて懐に飛び込む「踏み込み」,そして敵の胸ぐらを掴んで投げ飛ばす「掴み&掴み崩し」など,さすが元マスター・アサシン,剣を振り回すだけでなく,こうしたアルタイルの人並み外れた戦闘力によって繰り出されるさまざまな技を効果的に使うことで戦いを有利に進められるのだ。
とくに一番利用頻度の高いカウンターは完璧なタイミングで出せるようにしておくと,かなり戦闘が楽になる。また,筆者は剣で攻撃しつつ,敵を掴んで投げ飛ばし,素早くアサシンブレードに切り替えて倒れている敵の首をザクリ! という連携が大好きで多用している。決まるとまるで自分が偉くなったような気分になって,たいへん爽快だ。
さて,1回目ということでアサシン クリードってどんなゲーム? というのをざっくりとお伝えしてきたわけだが,次回からはいよいよ各ミッションの紹介に入っていこう。自由度が高すぎて何をしていいのかよく分からんとお嘆きの新米アサシンも,ばっちり任務遂行できること間違いなしだ。お楽しみに。
すんなり見つかるものもあれば,非常に分かりにくいところに置いてあるものもある。すべての旗を集めようと思っているなら,すでに取った旗の位置をちゃんとメモしておかないと,絶対に途中で分からなくなる(体験談)
筆者が必死になってアサシン クリードをプレイした理由の一つに「旗集め」があった。これはミッションをプレイしながらできるもので,各都市のいろんな所(もっぱら分かりにくいところ)に旗が配置されており,これを集めるだけという単純なものだ。といっても,Xbox 360版では実績解除に必要だったため,それはそれは,寝る間を惜しんで必死に旗集めに専念したのである。この旗,実際に集めようとすると洒落にならないのね。
というのも,マシャフ(アサシン教団の旗20本),キングダム(リチャード王の旗100本),アッカ(ホスピタル騎士団の旗33本,チュートン騎士団の旗33本,テンプル騎士団の旗34本),エルサレム(エルサレムの十字架100本),ダマスカス(イスラム軍旗100本)という,とんでもない数がマップ上に配置されているのだ。ネットの攻略サイトなどに旗の位置を示すマップが公開されていたりするので,それを見ながら獲得していくのもアリだが,1本ずつしっかりチェックしないと,あとで「この旗,取ったっけ?」なんて収拾がつかなくなること請け合いだ。筆者はXbox 360版ですべての旗を集めるため,余計に2周プレイしたほどで,再びPC版で集めるのかと思うと,かなり憂鬱である。というか,PC版で旗集め達成の特典のようなものは用意されているのか気になって仕方がない。そのへんの事情はおいおいお知らせしよう。うう,憂鬱。
今日もアラブの街を東奔西走するエリートアサシンのアルタイルだが,そんな彼のカッコいい姿を撮影したので,ぜひあなたもヤツに惚れてほしい。今週は,アルタイルの剣戟シーンだ。たいしたことない奴らに囲まれたって大丈夫。巧みな剣さばきで次々に倒していくのだ。さすが,アサシン道まっしぐらのUHAUHA氏だが,「オレのほうがずっと剣さばきが巧みだ」と思う人は,そっと胸にしまっておいてもらえると大変助かります。
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