Core 2 DuoのCPUパッケージを持つMooly Eden氏(Vice President & General Manager, Mobile Platforms Group, Intel)
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2006年10月18日から21日まで開催されているPC関連の製品展示会
「WPC TOKYO 2006」。初日となる18日には,Intel副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長の
Mooly Eden(ムーリー・エデン)氏が,一般来場者向けの基調講演を行った。
その内容は,2006年7月のCore 2 Duo登場以降に発表された内容をまとめたもので,新鮮味には乏しかったのだが,よほどの業界通でもなければ,すべてを追いかけきれてはいないはず。そこで,ゲーマーに関係の深そうなポイントを,ここでまとめてチェックしておくことにしたい。
左:エデン氏はモバイル部門のトップということで,ノートPC市場の現状を説明。日本ではPC全体の50%強がノートになっているとしたスライド
右:DVD-Videoを楽しむなど,ノートPCの使い方がパーソナライズされていくなかで,ワイド画面液晶ディスプレイのシェアが急進したという
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左:Intelのいう「パフォーマンス・セグメント」,ミドルレンジ以上のノートPCが採用するCPUは,2006年末までに90%以上がデュアルコアになるとのことだ
右下:2006年8月25日の記事で紹介したCPUの性能測定ツール「インテル パフォーマンス・ダッシュボード」を,一般来場客に向かってエデン氏自ら解説
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次世代Centrino Duo Mobile Technologyこと「Santa Rosa」(開発コードネーム)プラットフォームについてもエデン氏は言及。FSB 800MHzの新型ノートPC向けCore 2 Duoに,製品名のヒントとして「965GM」という文字を確認できる「Crestline」(開発コード名)チップセットなどがベースとなる
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Santa Rosaプラットフォームでサポートされる「Robson Technology」「Kedron」(いずれも開発コードネーム)についても説明がなされた。Robson TechnologyはIntel製フラッシュメモリをHDDキャッシュとして用いることで,アプリケーションの起動や休止状態からの復帰を高速化するというもの。Kedronは,「IEEE 802.11n」という,より高速で,到達範囲の広い無線LAN方式のドラフト版に対応した無線LANモジュールで,いずれもSanta Rosaプラットフォームの構成部品となる
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モバイルWiMAXの実用化に向けて主要キャリアと協力体制を築いているとアピールするスライド
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続けてエデン氏は,広帯域無線LAN(いわゆる無線MAN)規格である「モバイルWiMAX」(詳細は
2006年4月27日の記事を参照)について,国内の携帯電話キャリアなどと積極的に協力し,実用化に向けて進んでいるとアピール。誰でもどこでも,高い性能のノートPCでネットワークに接続できる時代がやってくるとし,「ノートPCは,単なるデスクトップPCの代わりではなくなり,新しいライフスタイルがもたらされます」と述べて,講演を締めくくった。
ただし,この「新しいライフスタイル」には,ゲーム,より正確を期すならPCに3D性能を要求するようなゲームは含まれていないようだ。公演後の報道関係者向けQ&Aセッションで質問したところ,氏は「3Dパフォーマンスを求める場合には,サードパーティのGPUを使うことになり,GPUを使う以上,PC全体の消費電力は上がる」として,GPUを採用するノートPCだと,外出先でも利用できるような6時間クラスのバッテリー駆動時間にはしばらくならないという見通しを示した。
その意味において,Santa RosaプラットフォームやモバイルWiMAXのメリットを,3Dゲーマーが即座に受けるのは残念ながら難しそうだ。ネットワークにつながったPCのシステムパフォーマンスについては期待が膨らむが,一方で,「ノートPCから,いつでもどこでも3Dゲームをオンラインでプレイできる」ような時代がやってくるには,もう少し時間がかかりそうである。(佐々山薫郁)