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[GDC 2009#03]プロとアマの差がなくなった北米インディゲーム開発事情・最前線
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印刷2009/03/24 22:23

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[GDC 2009#03]プロとアマの差がなくなった北米インディゲーム開発事情・最前線

 GDCでは,1998年から「Independent Games Festival」と呼ばれる,独立系開発者やアマチュア,学生達が制作したゲームを評価するイベントが開催されているが,2005年にWebゲームとしてリリースされ,その人気からPlayStation 2やGameCubeなどにも移植されることとなった「Alien Hominid」が登場したあたりから,出展作品のレベルが格段に向上した。

写真は「Crayon Physics Deluxe」を開発したフィンランドのPetri Purho(ペトリ・プルホ)氏の講演模様。なんと,たった5日間で作り上げてしまったのだという。他のインディゲーム系のセミナー同様,彼のトークも終始笑い混じりで進行していった
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 2006年の「Braid」「Darwinia」,2007年の「Everyday Shooter」「Castle Crushers」,さらに2008年の「Audiosurf」「Crayon Physics Deluxe」,そして「World of Goo」といった,ちょっとしたゲーム好きならまず見聞きしているであろうソフトが,次々と商業的な成功を収めている。

 その成功は,ブロードバンドの浸透とともに,SteamやXbox Live Arcadeといったダウンロードサービスが台頭しただけでなく,ゲーマーもそれらのサービスを利用することに躊躇しなくなったことが主な要因であり,北米の独立系ゲーム(インディゲーム)も,「プロの開発者に向けた登竜門」ではなく,「自分の好きなゲームを開発して成功するためのオプションの一つ」という見方へと変化してきたように見える。
 実際にはリリースされるインディゲームの数が多いだけに,成功するのは非常に難しいともいえるが,それでも日本とは比較にならないほど,アメリカにおけるゲーム開発の裾野の広さを感じずにはいられないのである。

GDCの恒例イベントとなっているIndependent Games Festivalでは,今年も賞金総額5万ドルを掛けて,さまざまな作品が応募されている。公式サイトでは,すべてのノミネート作品のデモが遊べるので,次の大ヒット作を探して,遊んでみるのも良いだろう
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 GDC初日に開催されたインディゲーム開発者の会合セミナー,「Independent Game Summit」の活況を見れば,そんなパワーを感じずにはいられない。World of Gooを開発した2D Boyの二人組は,「2D Boy: Everything You Always Wanted to Know About Going Indie But Were Afraid to Ask」(2D Boy:インディゲーム開発者となることについて,知りたいけど怖くて聞けなかったことすべて)という基調講演を行った。
 そこでは,生活費を含めた2年間の元手が9万6千ドル(約930万円)で開発されたWorld of Gooは,その前評判から最終的には7000万ドル(約6500万円)の前金と30%のロイヤリティというオファーを受けるほどになったが,それを蹴ってさらに大きな成功を収めたと発表されている。

「World of Goo」は,かつてElectronic Artsに在籍していたカイル・ガブラー(Kyle Gabler)氏と,ロン・カーメル(Ron Carmel)氏の二人組によって開発された,物理効果を利用したパズルゲームだ
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 また,「Indie Games: From Buzz to Business」(インディゲーム:前評判からビジネスまで)というパネルディスカッションでは,「Audiosurf」を開発したDylan Fitterer(ディラン・フィテラー)氏,「Synaethete」のZach Aikman(ザック・アイクマン)氏,そして「The Maw」のMichael Wilford(マイケル・ウィルフォード)氏が登場。いずれも,ダウンロード販売市場では非常に話題になっているゲームであり,それぞれに独立系のゲーム開発者としての利点や,マイナス点を挙げるなどして,集まった観衆の共感を得ていた。

左から,ディラン・フィテラー(Audiosurf),マイケル・ウィルフォード(The Maw),ザック・アイクマン(Synaethete)の各氏。彼らからは,ゲーム開発の未来を支える若い力を感じた
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 これらの作品にいえることだが,インディ系のゲーム開発者は興味本位で自分の好きなゲームを作り始めたというケースがほとんどで,マーケティングやビジネスプランなどまったく持たないままにスタートを切っているどころか,プロの作業現場では当たり前ともいえる企画書(デザイン・ドキュメント)さえも用意しないままゲームを作り上げてしまうような人もいるのだという。
 上のWorld of Gooと合わせて,これらの作品は「ローリスク・ハイリターン」という,ある意味ギャンブル的に成功を収めてしまったゲームであるといえ,そのあたりにインディゲームの虚弱性が垣間見られる。実際,三氏の話も「どうすれば群がってくるビジネスマン達とやり合うか」というような話題に広がっていったが,それでも彼らインディゲーム開発者の成功例や勢いを見るにつけ,「ひょとしたら,これもゲーム開発の一つの手法なのだろう」と納得できてしまうのだから不思議だ。
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