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Dell,ゲーマー向けPC「XPS 710」の液冷システム搭載モデル
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印刷2007/01/10 20:26

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Dell,ゲーマー向けPC「XPS 710」の液冷システム搭載モデル

 Dellの日本法人であるデルは,2007年1月10日,同社のゲーマー&ハイエンドユーザー向けPCブランド「XPS」の新製品「XPS 710 H2C Edition」を発表した。
 XPS 710 H2Cは,デルが2006年11月に発表した「XPS 710」の上位に位置づけられる製品で,最大の特徴は,製品名にもある冷却システム「H2C」となる。

 「Hot to Cool」と「Hybrid two-stage Cooling」。この二つのキーワードを略したものとされるH2Cは,BTXフォームファクタ用の巨大なCPUクーラーにポンプやラジエータ,そして電子制御の熱交換器を内蔵し,冷却液が運んだ熱を熱交換器とラジエータ部に取り付けられた冷却ファンでCPUの熱を筐体の外へ排出する仕様だ。同社はこれを空冷&水冷の「ハイブリッド型」と呼んでいる。

H2C水冷システムのイメージ(左)と,発表会で展示されていたデモ機の内部構造(右)。右の写真で中央よりやや下に見える,XPSロゴ入りの物体がH2Cだ。自動車部品メーカーとして知られるDelphi Automotive Systemsが設計したものという


佐々木隆氏(デル クライアントマーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー)
 発表会でXPS 710 H2C Editionについて説明したデル クライアントマーケティング本部の佐々木隆氏によると,H2Cはそれ自体で完結した一体型で,少なくともPC本体のメーカー保証期間内において,冷却水の補充などといったメンテナンスは一切不要という。
 デルはこの水冷システムにより,TDP 130WのクアッドコアCPU「Core 2 Extreme QX6700/2.66GHz」を利用しても,PCを静かに運用できるとしており,実際,発表会場に置かれていたXPS 710 H2C Editionのデモ機は,従来モデルのXPS 710の標準構成よりも動作音が小さく感じられた。もっとも,このクラスのPCとなると,グラフィックスカードや電源ユニットの空冷機構が騒音源となりうる。水冷による静かさに,過度な期待は禁物だろう。

 マシンスペックという点で興味深いのは,BTOの選択肢が,先ほど述べたCore 2 Extreme QX6700のほかは,「Core 2 Extreme X6800/2.93GHz」のみに限定されていること。併売されるXPS 710では下位モデルを選択できるのに対して,ずいぶんと思い切った措置だ。あくまで発熱の大きなウルトラハイエンドCPU用のH2C,という意味もあると思われる。

筐体前面から吸気し,H2Cを“通して”そのままケース背面から排気する仕様なのが分かる


ピアノ加工された鏡面仕上げということもあり,存在感はかなりのもの
 このほか,GeForce 8800 GTXのNVIDIA SLI構成にも対応する関係で,電源ユニットの容量がXPS 710の750WからXPS 710 H2C Editionで1kWに引き上げられているのもトピックだ。これだけの最新スペックを投入しながら,チップセットだけは従来と同じnForce 590 SLI Intel Editionになっており,少々気になったが,これは「(同チップセットで)クリティカルな問題が発生していない。また,nForce 680i SLIを検証する時間をかけるよりは,なるべく早く市場投入するほうがよいと判断したため」(佐々木氏)だそうである。

 筐体デザインは従来のXPS 710と同様の「前傾姿勢」。ただし,本体色はいわゆるピアノ加工のブラックとなっている。指紋などが目立ちやすいきらいはあるものの,従来のシルバー(フロントのみブラック)と比べて,プレミアムな上位モデルらしいイメージの創出には成功しているといえよう。

発表会では合わせて,応答速度6msの27インチワイド液晶ディスプレイ「2707WFP」も発表された。解像度1920×1200ドット,DVI&D-Subのほかコンポーネントビデオ入力などを持ち,価格は16万8000円(税込)
 4Gamerでは何度か繰り返し指摘しているが,2007年1月時点において,クアッドコアCPUはゲーマーにとってベストの選択肢ではない。この点について佐々木氏に確認したところ,「XPS 710 H2C EditionのようなPCは,買ってすぐまた買い換えるような製品ではない。将来にわたってベストなパフォーマンスを得るためのクアッドコア」とのことだった。

 情報筋によれば,Windows Vista=DirectX 10世代初期のゲーム,つまり2007年中に発売される主要タイトルのいくつかは,開発段階ですでに4スレッドへ最適化されているという。その意味で,自作を考慮せず,長く使い続けられるハイエンドPCを入手するなら,XPS 710 H2C Editionはアリだ。
 もっとも,Core 2 Extreme QX6700,メインメモリ512MB×2,GeForce 7900 GS(グラフィックスメモリ256MB)に,HDD容量160GBに,Windows XP Home Editionプリインストールという標準構成の価格は38万6610円(税込)で,割高感がぬぐえないのは事実だが。また,購入するにしても,OS自体の発売日,1月30日前後には登場すると思われるWindows Vistaプリインストールモデルがラインナップされるのを待つのが正解だろう。(米田 聡)

●XPS 710 H2C Editionの主なスペック(BTO選択肢も含む ※リリースより)

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