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ゲーマー向けプレミアムデスクトップPC「XPS 700」発表会で見えた,XPSシリーズの抱える課題
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印刷2006/05/31 23:47

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ゲーマー向けプレミアムデスクトップPC「XPS 700」発表会で見えた,XPSシリーズの抱える課題

 米大手PCメーカー,Dellの日本法人であるデルは,2006年5月31日に都内で発表会を開催。同社のプレミアムPCブランドであるXPSシリーズの新製品「XPS 700」「XPS M2010」を発表した。本稿では,ゲーマー向けの「トップエンドハイパフォーマンスシステム」と位置づけられるXPS 700の詳細を中心に,レポートしていきたいと思う。

■見た目のインパクトが強烈なXPS 700

XPS 700。2006年6月6日発売予定
 XPS 700は,これまで販売されていたハイエンド向けデスクトップPC「XPS 600」の後継となる製品で,まったく新しい筐体を採用。BTXフォームファクタを採用するという筐体だが,ユニークなのはその形状で,スチール製の“本体”を包む化粧板が,前傾姿勢とでもいうべき形状になっているのだ。
 外観は見てのとおり,黒と銀が基調。力強さとたくましさを表現しているとのことだ。フロント/リアパネルにはライトアップのためのLEDが埋め込まれており,これはBIOSレベルで7色から選択可能になっている。

真横から撮影すると,“前傾姿勢ぶり”がよく分かるXPS 700。ジェットエンジンやレーシングカーをイメージしてデザインされているとか。電源容量はXPS 650から100W増えた750Wで,メーカー製PCとしては最大クラスといっていい


側板を開けたところ。BTXフォームファクタなので,写真左がケース前面となる
 筐体内は比較的ゆったりとした作りになっているが,これはXPS 600までの筐体で,冷却能力の限界に達したこともあって,広めにデザインしたためという。発表会のデモ機はPentium Extreme Edition 965/3.73GHzにGeForce 7900 GTX×2(NVIDIA SLI)という構成だったが,それでも余裕は感じられた。ちなみに,グラフィックスカードは,未発表の「GeForce 7900 GS(グラフィックスメモリ256MB)」をBTOオプションで選択できるとのことだったが,GeForce 7900 GSの詳細は明らかにされなかった。

左:HDDベイ部分のアップ。デモ機はHDDを2台搭載していたが,最大4台搭載可能。左右に分けられたHDDベイの中央部にHDD冷却用のファンが用意されている
右:デモ機が搭載していた特別仕様(?)のGeForce 7900 GTX×2。強度を高めるためか,かなりしっかりした補強板つき


 冷却は120mm角の大型ファンによって,フロントから吸気し,リアから排気する構造。メンテナンス性は高く,ドライバーを使わずにサイドカバーの取り外しやHDDなどの脱着を行えるようになっている。
 なお,CPUは前出のPentium Extreme Edition 965以外にも,Pentium D 950/940/930,あるいはPentium 4 670から選択可能。NVIDIA SLIをサポートしていることからも想像できるように,チップセットはnForce4 SLI X16 Intel Editionだ。

 価格は,Pentium D 930/3GHzに,メインメモリ512MB,GeForce 7900 GS,160GB HDDにWindows XP Home Edition+SP2という最小構成で19万2700円(税込み)から。メインメモリは最大2GBに増設可能で,HDDは最大500GB。さらにオプションとしてサウンドカード「Sound Blaster X-Fi Xtreme Music」,物理演算チップ「PhysX PPU」搭載カード,Bluetooth接続のキーボードにマウスなども選択できるようになっている。

左:冷却構造について説明するスライド
右:XPS 700のオプション一覧


■XPS 700は誰のためのデスクトップPCなのか

XPS 700のポジショニングを示すスライド。「PCゲーム(とくにオンラインゲーム)を楽しむユーザー」と「最速レベルの処理能力に価値を見出すユーザー」がターゲットとされている
 現時点でできる限りのスペックを盛り込んでみた感のあるXPS 700だけに,スペック的にはなかなか興味深い。
 とはいえ,CPUに関していうと,Intelからは,開発コードネーム「Conroe」(コンロー)として知られていた次世代CPU「Core 2 Duo」が2006年7月に登場予定だ。
 XPSシリーズがターゲットとするようなハイエンド層のゲーマーが,それを知らないというのはちょっと考えづらい。現時点でPentium Extreme Edition 965というのは,いささか微妙なところだろう。

 Core 2 Duoの性能については,先にレポートしているが,デルも“本命”は,このCore 2世代と見ているようだ。XPS 700の新筐体は,今後数年間のCPUやグラフィックスチップの発熱トレンドを考慮して設計されたものとのことなので,おそらく,Core 2シリーズが発売され次第,搭載版のXPSが登場することだろう。どちらかというと,今回の発表は「XPSデスクトップ新筐体のお披露目」的なイメージなのかもしれない。

 さて,それ以上に気になったのは,XPS 700というPCのスペックを,デル自体が,ややもてあましているような印象を受けた点だ。
 質疑応答で,XPS 700のターゲットとするゲームを聞いてみたところ,返ってきた答えはやや意外なことに「ファイナルファンタジーXI」だった。
 4Gamerの読者には改めて説明するまでもないが,ファイナルファンタジーXIは,NVDIA SLIのスケーリングにも,マルチコアCPUにも,もっといえば,(標準では)Dellがゲーマー向けとして訴求している大型ワイド液晶ディスプレイの高解像度にも対応していない。

 ゲームに“そこそこ”利用できるグラフィックスカードが装着されているPCが欲しいのであれば,もう少し安価な選択肢があったり,あるいはAthlon 64を選べたりする,ショップブランドやホワイトボックスメーカー製PCを選べばいい。その状況にあって,「ゲームで利用できるPCが欲しい」人に対し,「PCメーカー」としてのDellに,どういったアプローチができるのか。厳しいことを書かせてもらえば,その突き詰めが若干欠けていると感じた。

 XPSのユーザーには,専用の担当者による,24時間365日のサポートが行われるようになるという。これは実にPCメーカーらしいメリットですばらしい。だが,それとは別に,Dellの想定するゲーマーというのはどういう人達のことなのか,この点を明確化して,よりゲーマーのための選択肢を広げたり,スペックごとの具体的な推奨ゲームを提示したりすれば,XPSシリーズの支持はもっと高くなるはず。ただ“箱”を売るだけではない,積極的な展開を大いに期待したい。

■Mobility Radeon X1800を搭載した
■デスクトップ代替機「XPS M2010」


XPS M2010
 ノートPCタイプの新製品である,XPS M2010についても,簡単に紹介しておこう。

 XPS M2010は,XPSシリーズのノートPC製品のなかで,最も大きな20.1インチの液晶ディスプレイ(光沢タイプ)を搭載し,エンターテイメント用途を重視した製品とされている。
 XPS M2010のポイントとして挙げられるのが「斬新なインダストリアルデザイン」「妥協のないパフォーマンス」「優れたエンターテイメント機能」の3点。デザインについては,持ち運びが自由にできる本革製のキャリングハンドルとレザーライクなカバーを採用し,デスクトップとノートブックの中間のような形状を実現している。Bluetooth対応のキーボードとマウスが付属しており,キーボードを本体から外して操作することも可能だ。

左:XPS M2010は,鞄のような形状に折りたたんで持ち運べる。重量は約8.31kgということで,スタッフの女性は撮影中,何度か右手と左手で持ち替えていた。持ち運ぶ範囲は家の中になるだろう
右:XPS M2010の位置づけを示すスライド


 2006年6月下旬発売予定とのことで,現時点ではハードウェア構成の詳細や価格は未定。ざっくりと「40万円前後から」という目安が示されているだけだが,CPUはCore Duo T2600/T2500/T2400から選択可能。グラフィックスチップとしてはMobility Radeon X1800(グラフィックスメモリ256MB)を搭載するという。グラフィックスチップとしてMobility Radeon X1800を搭載するのは,担当者によれば主にAvivo Technlogyを利用するためとのことだったが,ゲームにもまずまず利用できるはずである。
 なお,ディスプレイ解像度は1680×1050ドットで,130万画素CMOSカメラを搭載し,Skypeなどのビデオチャットに利用できるほか,USB外付けタイプのアナログテレビチューナーもオプションとして選択できる。

「ウルトラゲーミングエンタテインメント」向けとされるノートPC「XPS M1710」も展示されていた。17インチワイド液晶を搭載し,グラフィックスチップにはGeForce Go 7900 GTX(グラフィックスメモリ512MB)を可能。スピーカー部分や両サイドの排気口部分,液晶カバー部分にLEDが内蔵されており,ユーザーの好みに応じて16色の中から点灯色を変更できるのもウリだ。発売済み


■国内でもXPSブランドを本格展開

郡 信一郎氏(デル マーケティング本部 本部長)
 なお,発表会では,デルのマーケティング本部 本部長の郡 信一郎氏が,日本におけるXPSブランドの戦略を明らかにした。

 XPSブランドは,米国で1993年に誕生し,徐々にゲーマーPCとしての認知度を上げてきた。XPSブランドの製品が日本で初めて発売されたのは2003年で,最高性能を実現したプレミアムPCとして,コアなゲーマーやCGクリエイターから高い支持を得るようになったという。
 それを踏まえて郡氏は「今年は,XPSブランドをより本格的に展開する年になる」と予告。すでにデルは2006年春にゲーマー向けのノートPC「XPS M1710」や,同社が「プレミアムモバイル」と位置づけるノートPC「XPS M1210」を発表しているが,今回発表したXPS 700とXPS M2010で,一とおりのラインナップが完成したとした。
 今後は「所有者の個性を表す存在としてのXPS」(郡氏)として,プレミアムブランドたるXPSの進化を図っていくとのこと。先ほど指摘したXPS 700の件も含め,国内における次の一手に注目したい。(石井英男)

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