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税込5000円台で買えるゲーマー向けワイヤレスマウス「G304」ミニレビュー。Logicool Gの意欲作が持つ性能は期待どおりか?
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印刷2018/08/10 16:48

レビュー

HEROセンサーを搭載して税込5000円台のワイヤレスマウス,その実力は期待どおりか?

G304 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse

Text by BRZRK


 当初2018年8月下旬に発売予定だった,Logicool G(日本以外ではLogitech G)の新しいワイヤレスマウス「G304 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:G304 LIGHTSPEED ワイヤレス ゲーミング マウス,以下 G304)。その発売日が突如として8月10日に繰り上がったことで,すでに手元へ届いたという読者も多いだろう。

G304 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse(国内製品名:G304 LIGHTSPEED ワイヤレス ゲーミング マウス)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085
実勢価格:5200〜5700円程度(※2018年8月10日現在)
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 筆者も慌ててテストを前倒し実行したので,ひとまず,グラフや数字で出せるテスト結果をもって,発売当日のミニレビューをお届けしたい。

●G304の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤレスタイプ
  • 搭載センサー:「HERO」
  • ボタン:左右メイン,センタークリック付きスクロールホイール,ホイール手前×1,左サイド×2
  • トラッキング速度:最大400IPS
  • 最大加速度:40G
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:200〜12000 DPI
  • USBレポートレート(ポーリングレート):1000Hz
  • オンボードフラッシュメモリ:内蔵
  • データ転送フォーマット:16bit/axis
  • リフトオフディスタンス:未公開
  • メインボタン耐久性:1000万クリック
  • LEDイルミネーション:非搭載
  • 公称最大バッテリー駆動時間:250時間
  • 公称本体サイズ:62.15(W)×116.6(D)×38.2(H)mm
  • 公称本体重量:99g(※単3形乾電池を含む)
  • マウスソール素材:未公開(※250km移動可能とされる)
  • ケーブル長:未公開(※USBレシーバ延長用ケーブルに関する言及なし)
  • 対応OS:Windows 7以降
  • 発売予定時期:2018年8月10日
  • メーカー想定売価:5250円(税別)
  • 保証期間:2年間


数字とグラフで結果が分かるテストを優先して実施


冒頭の写真でも分かるように,G304には黒モデル(型番同じ)と白モデル(型番:G304rWH)があるのだが,筆者が今回入手したのは黒モデルだ
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 さっそくだが,テスト環境のセットアップに入ろう。
 Logitech G/Logicool G独自の「HERO」センサーを搭載するマウスということで,G304は,HEROセンサー搭載マウスの第1弾として2017年7月に登場したワイヤレスマウス「G603 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:G603 LIGHTSPEED ワイヤレス ゲーミング マウス,以下 G603)と同じく,2つの動作モードを持っている。
 G603は「HI」「LO」で,かつ底面のスライドスイッチから切り換える仕様だったが,G304では底面のスライドスイッチが電源のオン/オフ切り替え用のみとなり,2つの動作モードは,統合ソフトウェア「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外ではLogitech Gaming Software,以下 LGS)から切り換える仕様に変わっている。LGSが日本語化されている関係で,動作モード名も「高」「低」と呼び名が変わった点は押さえておきたい。

LGSの「ポインタ設定」に「電源モード」のプルダウンメニューが追加となった。工場出荷時設定はLGS側で「オンボードメモリ」を選ぶと高(※「自動ゲーム検出」だと「低」)になるようだ。高を選択すると,メニュー左上のバッテリーインジケータ脇に「パフォーマンスモード」という表示も入る
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 G603のLOモードと同じく,Logitech G/Logicool Gは,低モードのほうを「ゲーム用途には向いていない」としている。実際,低モードにするとUSBレポートレート(≒ポーリングレート)が125Hzで固定となってしまうため,ゲーマーが使うのは高モード“一択”だろう。LGSから設定するのをお忘れなく。

こちらは電源モードを低にした例。レポートレートのラジオボタンが暗くなって125Hz固定となる。ちなみにG304のバッテリーは単三形乾電池1本だが,公称のバッテリー駆動時間は高で250時間。低に関する情報はないが,単三形乾電池を2本するG603だと高で500時間,低で18か月なので,G304も低だと9か月持つ可能性はある
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 そのテスト環境とテスト条件は以下のとおりとなる。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 7820X(8C16T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ容量11MB)
  • マザーボード:MSI X299 TOMAHAWK(Intel X299)
    ※マウスのケーブルはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×4
  • グラフィックスカード:MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G(GeForce GTX 1080,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:Intel SSD 600p(SSDPEKKW128G7X1,NVM Express 3.0 x4,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定
  • ファームウェアバージョン:68.0.11
  • LGSバージョン:9.00.42
  • 電源モード:高
  • DPI設定:400/800/1600/3200 DPI(※主に800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/250/500/1000Hz(※主に1000Hzを使用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

 というわけで,まずは「MouseTester」によるセンサー性能検証からだ。
 ここではG304をARTISAN製マウスパッド「飛燕 MID」と組み合わせたうえで,DPIは400/800/1600/3200,レポートレートは1000Hzという,高モードのデフォルト設定でテストを行う。

 テストは「マウスパッドの上でマウスを高速に左右に振る」というシンプルなもので,その結果をまとめたのが下に並べた4種8枚のグラフだ。グラフはY軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振り,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示している。
 DPI設定値ごとにグラフを2枚用意してあるのに気付いたと思うが,どちらも青い点は実際にセンサーが読み取ったカウントを示す。一方,青い波線は左だとカウントを正規化したもの,右はカウント同士をつないだものとなるので,見やすいほうを参照してもらえればと思う。

400 DPI設定時。基本的には良好なのだが,似たようなタイミングでカウントが飛んでいる
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800 DPI設定時。ここでも1か所だけだがカウントが飛んでいる
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1600 DPI設定時。カウントの飛びが多くなった
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3200 DPI設定時。減速のタイミングでカウントが飛ぶ傾向が見られる
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 以上,全体としてはあまり褒められたものではない結果だ。同じHEROセンサーを搭載するG603でもカウントが飛ぶ傾向はあったのだが(関連記事),それがG304ではかなり顕著になってしまった感がある。
 なお,念のためお伝えしておくと,G603と結果がかなり異なることから,筆者は複数回テストをやり直しており,それでも結果は変わっていない。個体不良なのでなければ,G304のセンサー周りは最適化がまだ甘いということになりそうだ。
 現在,追加の個体を手配中なので,その結果は別途お伝えできればと考えている。

 気を取り直して,続いてはリフトオフディスタンスの計測に移りたい。マウスを持ち上げたとき,どれくらいの高さでセンサーの反応が途絶するかを確認することになる。
 計測方法はシンプルで,厚みの異なるステンレスプレートを重ね,マウスの反応がなくなった時点の値を0.1ミリ単位で計測する。G304はいわゆるサーフェスキャリブレーション機能を搭載していないので,そこが結果にどう出るかが見どころとなるが,結果は表1のとおりで,4Gamerが合格ラインとしている2.0を多くのケースでかなり下回った。サーフェスキャリブレーション機能なしでこのスコアを出せているのはさすがと言っていいだろう。

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 お次は直線補正の有無である。
 HEROセンサーはその仕様上,直線補正がまったくないというのが大きな特徴だが(関連記事),実際にWindowsの「ペイント」で先を引いてみても,直線補正特有の「引っ張られる感覚」は皆無だ。この点は安心していい。

入力したとおりにラインを引くことができ,直線補正は皆無と言える
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 最後は入力遅延の検証だ。
 ここでは「マウスをクリックしてから音楽制作ソフト上のシンセサイザーが音を鳴らすまでの時間」をチェックすることで,入力が反映されるまでの遅延を,G603,そして本テストのリファレンス機である「Pro Gaming Mouse」および「Razer DeathAdder Elite」(以下,DeathAdder Elite)と比較することになる。
 ざっくりしたテスト方法は以下のとおりだ。

  1. テスト対象のマウスを定位置で固定する
  2. マイクスタンドに吊したRazer製マイク「Razer Seirēn」を,マウスの左メインボタンすぐ近くに置く
  3. Windowsから音楽制作ソフト「Fruityloops」を起動。同アプリ上にあるソフトウェアシンセサイザの鍵盤をクリックする
  4. クリック音をRazer Seirēnで集音しつつ,「XSplit Gamecaster」を使って,「Razer Seirēnで集音した音」と「Fruityloops上の鍵盤で鳴った音」をミックスし,映像として録画する
  5. 動画編集ソフト「AviUtl」で,音声をWaveファイルとして切り出す
  6. サウンド編集ソフト「Audacity」でWaveファイルを開き,クリック音とシンセサイザの音が出るまでの時間を計測する
  7. テストを連続30回行ったうえで,ブレ対策のため最初の5回をカット。6回めから30回めの平均を取ってスコアとする

 G304とG603は2つある動作モードの両方でテストした。表2がその結果だが,G304のほうがG603より遅く,またG304とほぼ同じ形状を採用しており,現状最速クラスの製品となっているPro Gaming Mouseと比べるとかなり遅いというデータが出ている。
 テスト自体は複数回繰り返して,最も良好な平均値が出たものを採用しているため,テストミスというのは考えにくい。

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 センサーのカウント飛びも含めて,可能性としては(1)個体不良 (2)ファームウェアの完成度不足 (3)価格からして妥当な結果 というあたりが考えられるが,少なくとも現時点で,G304を,G603と同等の性能を持つワイヤレスマウスだと断言するのは難しそうである。


ファームウェアの最適化不足か,はたまた実力か? 近日中に再テストを予定


 以上,駆け足だが,グラフ化できるところと数字で出せるところを中心に,まずはミニレビューとしてお届けしてみた。
 体感レベルではG603で不満だった本体重量がG304で大きな改善を見ているため,喜ばしく思っているのだが,ただ,ここまで指摘してきたとおり,少なくとも今日の時点で得られているテスト結果は,「G603と同じHEROセンサーを搭載するマウス」としてはいささか期待外れな部分が否めない。

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 後日掲載する予定の続編的な記事では,形状や持ちやすさ,内部構造のチェックと合わせ,別のショップで購入した個体を使っての再テストも行ったうえで,あらためて結論を出してみたいと考えている。
 今しばらく時間をもらえれば幸いだ。

※2018年9月6日追記
 直接の「続報」ではありませんが,LIGHTSPEEDワイヤレス技術についてテストを進めた途中経過となる,「PRO Wireless Gaming Mouse」のレビュー記事を掲載しました。


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G304の発売日変更に関するロジクールのプレスリリース

Logicool GのG304製品情報ページ


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