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[GC 2006#44]いよいよ動き始めた「Age of Conan:Hyborian Adventures」は斬新な要素がいっぱい
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印刷2006/08/26 11:32

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[GC 2006#44]いよいよ動き始めた「Age of Conan:Hyborian Adventures」は斬新な要素がいっぱい

 ヒロイック・ファンタジーの元祖である「コナン」の物語は,1930年代にロバート・E・ハワードがアメリカのパルプ雑誌「ウィアード・テールズ」に発表した小説から始まる。やがて,ほかの作家によるオマージュ小説などによってその世界が広がり,コミックスや映画などのほかのメディアにも進出,一般にも広く知られるようになった。そんなコナンがMMORPGになったというわけだ。PCゲームとしては,2004年に発売された,そのものズバリ「コナン」というタイトルのなかなか良い出来の3Dアクションがあったが,MMORPGはさすがに初めてになる。
 GC 2006会場で,Microsoftの「Games for Windows」エリアと,Eidos Interactiveのブースで展示されていたのが,この「Age of Conan: Hyborian Adventures」(以下,Conan)である。デベロッパであるノルウェーのFuncomは自前のブースを出さなかったため,さまざまなWindows用ゲームを紹介する「Games for Windows」と,ヨーロッパおよび北米のパブリッシングを担当するEidos Interactiveで紹介されていたというわけだ。
 放ったらかしで来場者に遊ばせるスタイルの多いGCだが,Conanは残念ながら完全にプレイアブルというわけではなかった。自分で操作するのは可能とはいえ,たいていFuncomの担当者がプレイする様子を見せるか,来場者の横について,“スイッチはあるが未実装”といったポイントをあれこれ教えてくれるのだ。
 我々にゲームの説明をしてくれたFuncomのCraig Marison氏によると,現状は「α版とβ版の間ぐらい」とのことだったが,武器や防具のグラフィックスがすべて「?」になっていたり,表示される文字がダミーだったり,衝突判定がうまくいっていなかったりと,まだ開発初期という印象を受けた。Conanが我々の前に始めて姿を現したのが2004年のE3(展示はムービーのみ)だから,すでに2年半近くが経過しているわけで,開発の進捗状況がちょっと気になるところだ。



 正式ライセンスを受け,コナンの「原典」と言えるハワード氏の著作に登場するさまざまな設定や地名,人名などがそのまま登場し,かつてないほど“真実の”コナンの世界が描かれるのである。知っている人ならニヤリとしてしまうような(いや,興奮しちゃうのかな)土地を訪ね,アイテムを使いながらクエストに挑むことになるのだ。

 デモプレイでは,プレイヤーは一人のガレー船漕ぎの奴隷としてスタートする。ときは一万2千年前,光輝あふれるハイボリア時代。ところはアキロニアで,首都タランティアには偉大な王コナンが君臨している。そう,以前から明言されていることだが,プレイヤーはコナンその人になることはできない。MMORPGなのだから,どいつもこいつもコナンになると収拾がつかないので,それは仕方のない話だろう。
 グラフィックスは(まだ開発途中ではあるが),重苦しい,蛮性と魔法が支配する時代の雰囲気をうまく表現している。ノルウェーに本拠を置くFuncomのMMORPGといえば「Anarchy Online」を思い出す人も多いだろう。Anarchy Onlineもそうだが,明るいアメリカ製のゲームとは一味違った雰囲気の色使いは,コナンの世界によくマッチしていると思う。

 プレイヤーが森を駆けると,前方に凶暴な盗賊だか蛮族だかの一団が待ち構えている。一人が剣をかざして襲いかかってくるので,早速戦闘開始になる。以前にもお伝えしたように,Conanのゲーム性のキモは“戦い”である。巨大な剣や斧,棍棒などを振り回す重々しく血なまぐさい戦いがキーポイントなのだ。そのため,簡単なキー操作で多彩な技やコンボを繰り出せるように徹底したチューニングを行ったという。確かに「流麗な」とは言いがたいものの,見ているだけでもこっちが痛くなってくるような斬り合いが展開される。
 キャラクターの動作はすべてモーションキャプチャによって再現され,本物の剣の達人をオスロのスタジオに招いてその動きを収録したとのこと。
 ただ,残念ながらAIの調整が不十分で,ぼんやり立っているだけの敵が多く,その点は今後の開発の進捗を待ちたい。襲ってくるのはNPCではなく本物の人間が操作する敵で,ライプチヒの会場に置かれたPCはニュージャージーのサーバーを介してアメリカにつながり,そこにいるスタッフが相手をしているのだそうだ。時差を考えると,ご苦労様である。
 入っている人間が少ないせいもあるだろうが,ラグなどはほとんど見られず,ネットコードに関しては問題は少なそうである。そのへんも,Anarchy Onlineの5年にわたる実績が物をいっているのだ。



FuncomのCraig Marison氏
 このように,ConanはPvPもしくはPvEを主体とするゲームになる。とはいえ,次に見せてくれたのが,“街造り”だ。ある条件を満たすとギルドを作ることができ,自分達の街を造れるようになる。NPCが仕事をすると,地表からもりもり建物が立ち上がってくるのだ。最初は木造のバラックだが,時間が経ち,プレイヤーのレベルが上がればそれらがやがて立派な街になっていくとのこと。
 時を同じくして,峠の向こうでも街造りが始まっている。この場合,作っているのはコンピュータだ。やがて「兵舎」が建てられ,そこから兵士が次々に出てくる。年恰好や服装などまちまちだが,兵士達は城門の外に走り出て,旗を持った指揮官の周りに集合する。なんと,奴らはこちらの街を攻撃するつもりなのだ。兵士が十分集まったと思った指揮官は,かざしていた旗をまっすぐに立ち上げ,なんちゅうか,山賊めいた集団を率いて峠を越え,わが街を目指して一目散に走ってくる。
 そこでプレイヤーは城門の外に設置された“カタパルト”に近づき,でっかいオモリをぶら下げた縄をキリキリと巻き上げる。そして,敵の一団が姿を見せたところで爆薬を投擲。弧を描いて飛んでいった爆弾は見事(本当は一回失敗している)に敵集団の真ん中で大爆発し,兵士達を一網打尽にしてしまう……,と,書いているほうも自分がMMORPGのことを書いているのかRTSのことを書いているのか分からなくなるようなフィーチャーが,このConanには用意されているのだ。
 どういう条件を満たせば街が造れるのか,あるいは,どんな土地に建物を建てられるのかについては,未決定の部分が多くあるとのことだが,こうした既存のMMORPGの概念にとらわれない面白い仕掛けが各所に仕込んである点が本作の最大の特徴である。
 ハンドリングがうまくいけば,ConanはほかのMMORPGとは一味も二味も異なるゲームになるはずだ。正式サービスは2007年5月が予定されている。一度発売時期が延期されているので,ぜひこの日程はクリアしてほしいところ。また,欧米とオセアニアなどのパブリッシャはEidos Interactiveに決まったが,アジア地区はまったく未定。日本でのサービスも検討してもらいたいところである。(松本隆一)

  • 関連タイトル:

    Age of Conan: Unchained

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