ニュース
「わらわら広場」「Miiverse」「Wii U チャット」などの機能が明らかに。岩田 聡社長が「開封の儀」も行った「Wii U本体機能 Direct」レポート
Wii Uのタイトルラインナップに関しては今年9月に行われた「Nintendo Direct Wii U Preview」にて詳しく伝えられていたが,本体機能については不明な部分が多かった。その全貌が,本体の発売まで1か月となったこのタイミングで初めて明らかになったわけである。本稿では,そのプレゼンテーションの詳細をレポートしていこう。
「わらわら広場」と「開封の儀」
最初に岩田氏が紹介したのは,Wii Uの起動時に表示される「わらわら広場」の画面だ。これは6月に配信された「Nintendo Direct Pre E3 2012」において「Mii わらわら」という名前で紹介されていたもので,今回正式名称が決定した。
ちなみに,海外では「Wara Wara Plaza」という名前になるという。
わらわら広場には,Wii Uタイトルのアイコンが円を描くようにして並んでいる。アイコンの周りには,そのタイトルを話題にしているMiiが集まっており,プレイヤーが実際に「Miiverse」のサービス上で発したコメントが吹き出しでどんどん表示されていく。プレイヤーが能動的にゲームの情報を収集せずとも,わらわら広場の画面を見るだけで,どのタイトルが話題になっているのかが一目で分かるというわけだ。
なお,テレビ画面にわらわら広場が映っている間,Wii U GamePadの画面上にはゲームタイトルや本体機能などのアイコンが並んだ「Wii U メニュー」が表示される。さらに,わらわら広場とWii U メニューの表示を入れ替えることで,わらわら広場の中で気になったタイトルやコメントの詳細をWii U GamePad上で直接タッチして確認できることも紹介された。
続いて岩田氏が「Wii Uが皆さんのお手元に届いたことを,より具体的に想像していただけるように」と前置きして行ったのが「Wii U プレミアムセット 開封の儀」。その名の通り,Wii U プレミアムセットの製品パッケージを岩田氏自らが開封していくというもので,Wii U本体やWii U GamePadはもちろんのこと,ACアダプターや縦置きスタンドなどの各種付属品もひとつひとつ丁寧に紹介された。
ネットワークサービスを利用するためのアカウント
「ニンテンドーネットワークID」を新設
これまで,任天堂のハードでは特別な登録作業を行うことなくオンラインの各種サービスを利用できた。しかし,Wii Uにおいては,「ユーザー」と「ニンテンドーネットワークID」という2種類のアカウント要素が用意されるという。
まず「ユーザー」は,Wii U本体を利用するためのアカウントで,1台のWii Uに最大12人分まで作成可能なものだ。各ソフトのゲーム設定やセーブデータ(ソフトによってはすべてのユーザーでセーブデータを共有する場合もあり),インターネットブラウザのブックマーク,各ソフトのプレイ履歴,といったものがユーザーごとに管理される。
一方,Miiverseなどのネットワーク機能を利用する場合には「ニンテンドーネットワークID」の登録が別途必要となる。こちらの登録にはパスワード,生年月日,性別,居住地域,メールアドレスといった情報の入力が必須だ。
また,このニンテンドーネットワークIDは,従来の「フレンドコード」と同様,プレイヤー間でのフレンド登録にも使えるという。
なお,ニンテンドーeショップでのソフト購入もニンテンドーネットワークIDで管理されるが,ダウンロード購入したソフトや追加コンテンツは当該IDを持っているユーザーしか遊べないわけではなく,ソフトがダウンロードされたWii U本体のユーザーすべてが使えるそうだ。
さらに,ニンテンドーネットワークIDは,ほかのソフトメーカーが提供するネットワークサービスとの連携も可能になっていることも紹介された。また,来年にはPCやスマートフォンからの利用にも対応するとのことなので,将来的にじわじわと利便性が高まっていきそうだ。
アカウントの紹介が終わると,Wiiで購入したバーチャルコンソールやセーブデータなどのデータが,Wii Uへ“引っ越し”できることが紹介された。詳しい方法は後日任天堂のホームページで発表されるとのことだったが,映像では,SDメモリカードを介してWiiからWii Uへとデータを移している様子が確認できた。
Wii U GamePadがある日常生活
岩田氏は,Wii U GamePadによってテレビとインターネット,そしてゲーム機がシームレスにつながることを目指してきたと,Wii Uの開発コンセプトを説明。そのビジョンを具体的に表現した映像が紹介された。
この映像に登場したのは,おそらく1人暮らしをしていると思われる若い男性だ。男性はリビングのテレビで「New スーパーマリオブラザーズ U」をプレイしていたが,途中でダイニングテーブルに移動し,コーヒーを入れると,Wii U GamePadに画面を切り替えてゲームを続けた。
ゲーム中,「ムササビマリオ」を操作していた男性は「ムササビとモモンガの違い」が気になったらしく,ゲームを一時中断するとWii U GamePadの画面上でブラウザを起動した。タッチスクリーン上のソフトキーボードを使い,目的の検索ワードをスムーズに入力して検索。Wii Uでは,いわゆるQWERTY配列のフルキーボード以外に,携帯電話風の入力や,手書き入力にも対応しているとのことだ。
今度はこの男性,ゲームプレイ中に,放送中のサッカー中継が気になった様子。そこで彼は,Wii U GamePadのTVリモコン機能でテレビ画面のチャンネルを操作し,サッカー中継にチャンネルを合わせると,Wii U GamePadの画面でゲームを再開した。こういった「ながら」スタイルへの移行も簡単にできるというわけだ。
次は,Wii U GamePad上のブラウザで動画共有サイトを見ていた男性が,気に入った動画をテレビ画面に表示させるというシーン。さらに,テレビではフル画面で動画を再生しつつ,Wii U GamePadの画面には動画共有サイトのメニューを表示させ,次に再生する動画を探すといった,さまざまな使い方が紹介された。
「New スーパーマリオブラザーズ U」で,思い通りのスコアが出せずにいる様子の男性。そこで彼は,プレイ中に感じた疑問を「Miiverseへ書き込み,ほかのユーザーの反応をみてみることにしたようだ。少し時間をおいて彼がMiiverseをチェックすると,彼の書き込みにいくつものレスポンスが付いていた。
既存のSNSの機能を押さえつつも
任天堂ならではのアプローチがみられる「Miiverse」
映像の内容からも分かるように,Miiverseはユーザーがゲーム中に抱いた疑問や感想などを専用のコミュニティへと書き込み,ほかのユーザーとコミュニケーションできるものとなっている。
共感した発言に「そうだね」ボタンを押したり,コミュニティの中で趣味の合いそうなユーザーを「フォロー」したり,フレンド間で「メッセージ」を送ったりと,TwitterやFacebookのようなソーシャルネットワーキングサービスでみられる基本機能は一通り揃っているようだ。
そういった基本機能に加えて,Miiverseにはゲーム機で利用するものならではの機能が備わっている。その1つがゲームのネタバレに対する配慮だ。
一般的なSNSで,うっかりゲームのネタバレを目にしてしまった……という経験をした人は少なくないだろう。そんな悲劇を防ぐため,Miiverseにはネタバレ対策機能が用意されている。ネタバレ投稿はまず内容が隠された状態で表示され,閲覧者が「この投稿をひらく」というボタンを押さない限り,投稿の中身が分からないようになっているのだ。
投稿者自身が「この発言はネタバレです」と自己申告を行うほか,投稿を目にしたユーザーが「ネタバレ通報」を行い,その通報件数が一定以上に達したものもネタバレ投稿として扱われるとのこと。
このほか,Miiverseならではの要素として,プレイ中のゲームのスクリーンショットを投稿に添付できたり,自分のMiiの表情で感情を表現したり,といった機能が紹介された。
岩田氏は,「1人で遊んでいるときでも,同じゲームに興味を持つ誰かとのつながりを感じながらゲームを楽しむことができる」とMiiverseの魅力をアピール。
また,MiiverseはWii Uのすべてのゲームで利用できるほか,ゲーム側で専用のプログラムを組めば,Miiverseのコミュニケーション機能を活用したソフト作りも可能と述べ,「New スーパーマリオブラザーズ U」と「Nintendo Land」における具体例を紹介した。
New スーパーマリオブラザーズ Uでは,プレイヤーがミスしたときに,同じ場所でミスしたほかのプレイヤーの投稿が表示される機能が備わっている。何度も同じ場所でミスしたり,逆に見事なプレイでコースをクリアした場合などに,ゲーム側から「今の気持ちを投稿してみませんか?」と提案されるそうだ。ユーザーから寄せられた投稿は,ワールドマップ上などでも吹き出しで表示される。ときには「今の気持ちを川柳にしてみませんか?」など,風変わりなお題を出されることもあるようだ。
また,Nintendo Landでは,アトラクションの終了時にほかのプレイヤーの投稿が表示されるほか,世界中のプレイヤーが集まる「ニンテンドーランドプラザ」で出会った人の発言を見ることもできるそうだ。
ビデオチャット機能「Wii U チャット」は,
お絵かき機能を搭載し,ゲームプレイ中でも着信が分かる
ここでは,岩田氏の通話相手として,Nintendo of Americaの社長であり,「レジー」の通称でも知られるReginald Fils-Aime氏が登場した。
日米間の国際通話であっても違和感なく会話できていることがアピールされたほか,レジー氏の顔が映っている画面にタッチペンでラクガキができる「お絵かき機能」も実演された。
なお,今回の実演ではテレビの画面とWii U GamePadの両方が用いられていたが,テレビ番組を見ながら,Wii U GamePadだけでチャットすることも可能だという。また,ゲームプレイ中に他のプレイヤーから着信があった場合は,Wii U GamePadのホームボタンが点滅して知らせてくれるようだ。
JOYSOUNDのエクシングと共同開発した
本体内蔵ソフト「WiiカラオケU」
利用はチケット制(1時間,24時間,30日間,90日間のいずれかを購入)で,有効期間内は9万曲以上が歌い放題となる。
近年では通信カラオケの選曲にタッチパネル付きの専用端末が用いられるが,WiiカラオケUでは,JOYSOUNDの選曲端末「キョクナビ」の機能を,Wii U GamePad上に再現。歌手名や曲名の検索,キーの高さやテンポの調整,マイクやエコーの音量設定,そして採点機能など,カラオケの基本機能はしっかり押さえられている。
さらに,プレイヤー(Mii)ごとに選曲履歴やお気に入り曲,マイマイク設定(歌い手の声に合わせた音質やエコー種類などの設定)を保存できるなど,Wii Uならではの機能も備えているとのことだ。
Wii U GamePadに内蔵されたマイクを使えば,Wii U本体の基本セットだけでもカラオケを楽しめるが,よりカラオケに適した周辺機器として,Wii U用のUSBマイクも別途販売されるとのこと。さらに,インターネット環境がないユーザーのために,オフラインでも1か月間カラオケが楽しめる「トライアルディスク」とマイクがセットになった「Wii U マイクセット」も発売される。
JOYSOUNDといえば,Wii向けに「カラオケJOYSOUND Wii」,PS3向けには「JOYSOUND DIVE」といったサービスを提供してきている。今回のWiiカラオケUは,それら既存サービスの発展系といえるだろう。
岩田氏は,業務用のクオリティを目指して開発していることを明かし「カラオケとゲームという,ともに国民的なエンターテイメントを融合して,より多くの方々に気軽に楽しんでいただきたい」とピールした。
岩田氏は最後に,「このほかのゲームソフトについても,機会をあらためて,具体的にお伝えしてまいります」と述べ,今回の放送を締めくくった。
個人的に,今回のプレゼンテーションでとくに印象的だったのは,中盤で披露されたイメージ映像の切り口だ。
これまでの任天堂のテレビCMやプロモーション映像といえば,家族や友だち同士でわいわいとテレビを囲んでいる様子を映したものが多かったが,今回の映像では,黙々とWii Uで遊んでいる男性の生活にフォーカスを合わせていた。
これは,MiiverseやWii U チャットなどといったWii Uの機能を通じて,1人でゲームをプレイすることが多いユーザーであっても,ほかの人たちと一緒に遊んでいる感覚が味わえるというメッセージではないだろうか。
任天堂は,DSやWiiなどでカジュアル層のユーザーを数多く獲得してきたが,今回のイメージ映像は,むしろコアゲーマー層に向けての招待状だったと言えるかもしれない。
Wii U本体機能 Direct
開発者が紹介するNew スーパーマリオブラザーズ U
- この記事のURL: