GUS動作デモの様子
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COMPUTEX TAIPEI 2012開催前日となる2012年6月4日,Intelが
「Thunderbolt」のイベントを開催したことはすでに
お伝えしているとおり。MSI製の外付けグラフィックスユニット「
GUS」が展示され,動作デモが披露されていた。そのほかにイベントでは,USBやIEEE1394,eSATAなどの転送速度を凌駕する高速インタフェースThunderboltがどういったものなのか,そしてどのように活用するのかといった説明も行われていたので,本稿ではそちらの内容をまとめてお伝えしよう。
DisplayPort&PCI Express信号を同時に扱い
1本のケーブルで最大10Gbpsの転送速度となるThunderbolt
Thunderboltは,DisplayPort信号とPCI Express信号が1本のケーブルを流れ,コネクタはMini DisplayPortと同じ形状をしているのが特徴だ |
IntelはThunderboltが「高速」「簡単」「柔軟」なインタフェースであるとアピールする |
Thunderboltは,Apple製の「MacBook Air」や「MacBook Pro」,そして「iMac」などに搭載され,その形状がMini DisplayPortと同じものであることはご存じの読者も多いかもしれない。
Thunderboltには,2つのプロトコルが流れており,1つは
DisplayPort,もう1つが
PCI Expressだ。ディスプレイ信号とデータ信号が1本のケーブルを流れているというのが従来のインタフェースとは異なる点と言えるだろう。
つまり,DisplayPortでディスプレイを接続しつつ,PCI Expressで外付けストレージを接続するといったように,複数の異なるデバイスを1つのケーブルで接続可能というわけだ。接続時は,SCSIやIEEE1394などと同様,デイジーチェーンで接続できる仕様だ。
また,転送速度が高速な点も大きな特徴。片方向で帯域幅10Gbpsとなっているので,USB 3.0やSerial ATA 6Gbpsを十分にカバーできるスピードだ。
Thunderboltの接続の様子を示したスライド
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なお,Thunderboltコントローラは,すでに第2世代チップが出荷されているとのこと。開発コードネーム「Cactus Rodge」と呼ばれていた第2世代チップの「
DSL3510」「
DSL3310」は,第1世代チップ「82524EF」と比べてフットプリントが縮小されている。ほかにも,デバイス側のみに用いられるチップ,開発コードネーム「Port Ridge」こと「
DSL2210」も用意されるという。DSL2210は,デイジーチェーン接続不可のシングルポートに限定することで,フットプリントをより縮小している。
2011年登場した第1世代のThunderboltコントローラに続き,今年は第2世代が登場する。DSL3510/3310はホストとデバイス双方に利用できるチップ,DSL2210はデバイス側のみに用いられるチップだ |
実際のチップ写真。右から順にDSL2210,DSL3310,82524EF。左の硬貨は10NTDで,日本の100円玉より若干大きい。DSL3310でもマザーボード上のチップとして大きめで,イメージ的にはひと昔前のLANチップといったところか |
GIGA-BYTE TECHNOLOGY製マザーボード「GA-Z77X-UP5 TH」でのThunderboltコントローラ実装例。説明員によると,バックパネルI/OのMini DisplayPort端子付近にあるチップがThunderboltコントローラとのこと
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Windows向けにもThunderbolt対応の認証制度が開始
低価格なケーブルも登場予定
サポートメーカーには,バッファローやキヤノンといった国内メーカーなどのロゴも見受けられた
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さて,Thunderbolt普及に向けた取り組みとして,IntelはThunderbolt対応の認証制度を紹介している。この認証を取得したデバイスは,Thunderboltの名称が利用でき,Thunderboltロゴの使用が許可されるそうだ。Mac向けのThunderboltデバイスでは,すでに20以上の機器がこの認証を取得しているとのこと。
Thunderboltサポートメーカーとしては,ASUSTeK Computer,GIGA-BYTE TECHNOLOGY,MSIといったマザーボードベンダーだけでなく,AcerやLenovoといったPCベンダーもサポートメーカーとして挙げられている。
家庭向けの普及を促進するために低価格なケーブル,企業での普及を促進するための長いケーブルが登場する予定だ
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さらに普及を促進するための方策として,Intelは,Thunderboltケーブルについても,より長いケーブルと低価格なケーブルを2012年下半期に市場投入するとしている。より長いケーブルは,オプティカルケーブルで,10m〜20mの長さを実現可能という。低価格なケーブルは,住友電気工業による次世代のコンポーネントが採用されるとのことだ。現在,Thunderboltケーブルは,1m程度のもので実勢価格が約4000円程度となっている。
MSI製の外付けグラフィックスユニットGUS。6月6日の記事ではMSIの担当者にGUSの現状を聞いているので,気になる人はチェックしてみてほしい
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なお,説明会では幾度となくUltrabookという単語が飛び交っており,IntelはUltrabookに絡めてThunderboltの普及を促進したいようにも感じられた。
GUSなどの外付けグラフィックスユニットと,統合型GPUの採用が中心となるUltrabookという組み合わせはゲーマーにとっても気になるところだ。
そのほか,会場には,Thunderbolt対応のノートPC,デスクトップPC,そしてマザーボードなどが展示されていた。最後にそれらの写真を掲載しておこう。
●会場に展示されていたThunderbolt対応製品
Thunderbolt対応PCの展示。左上はMSIの27型ディスプレイ一体型デスクトップPC。据え置きサイズからUltrabookまでさまざまなPCが並んでいた
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ASUSTeK Computer製「P8Z77-V Premium」 |
ASUSTeK Computer製「P8Z77-V PRO/Thunderbolt」 |
GIGA-BYTE TECHNOLOGY製「GA-Z77X-UP5 TH」 |
GIGA-BYTE TECHNOLOGY製「GA-Z77X-UP4 TH」 |
MSI製「Z77A-GD80」 |
FOXCONN製のmicroATXマザーボード |
ASRock製「Z77 Extreme 6/TB R1.0(4C)」 |
ASRock製「Z77 Extreme 6/TB R2.0(4C)」 |
Intel製「DZ77RE-75K」 |
Intel製「D33217CK」 |
ThunderboltをUSB 3.0へと変換するデバイス |