日本で高い人気を持つ冷却デバイスメーカー,Thermalrightは,COMPUTEX TAIPEI 2009の同社ブースで,新機軸のPCケース2モデルや,大型のファンレスGPUクーラー,CPUクーラーの新製品を複数展示した。
●Box One
COMPUTEX TAIPEI 2008でコンセプトモデルとして展示されたPCケースで,120mm角ファンを本体の前面と背面に3基ずつ搭載することにより,一直線のエアフローを実現するという
「BOX 1」が,最終製品
「Box One」として帰ってきた。
フルアルミ仕様となるBox One。本体カラーは黒(Box One Black)と銀(Box One Silver)の2色が用意される。展示されていたのは前者だった。ファンのサイズは140mm角。エアフローが一直線に前から後ろへ抜けるデザインになっている
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デモ機は,Thermalright製のサイドフローCPUクーラーやファンレスGPUクーラーなどと組み合わされていた
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多少理屈めいたことを軽く書いておくと,ファンの風量と静圧(※ケース内に空気を送り込む場合は「ケース内の圧力」の意)は反比例する関係にある。その点で,前面と背面に吸排気ファンを同数取り付け,エアフローが直線的になる設計なら,ファンの静圧はゼロに近づくため,ファンが持つ最大の風量が得られるわけで,エアフロー的には最も理想的なデザインと言っていい。
独特のエアフローを実現するため,I/Oインタフェース部も含めた形でマザーボードトレイはPCケースに“内蔵”され,扉のように開閉できる背面ファンユニット脇に設けられた溝を使ってケーブルマネジメントを行う必要がある。ちょっと皮肉だったのは,DVI-I−D-Sub 15ピン変換コネクタを用いている展示機では,背面ファンを閉じられなかったことだ
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3.5インチシャドウベイは6基。デモ機は内部が黒く塗装されていたが,来場者に配られた新製品カタログによると,内部はアルミの銀色になるようだ
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コンセプトモデルとの違いは,本体最下段に設けられた3.5インチシャドウベイで,製品版では4基から6基に増えている。5インチベイは2基だ。
本体サイズは240(W)×560(D)×580(H)mmと,見た目どおり,かなり大きめ。Thermalrightはとくにアピールしていなかったが,ねじ穴を見る限り,ATXフォームファクタだけでなく,ExtendedATXフォームファクタにも対応するようである。
Thermalrightでプロダクトマネージャーを務めるSteven Lee(スティーブン・リー)氏によると,製品の出荷準備は完了しているとのこと。日本でも同じタイミングで発売されるかどうかは不明だが,少なくとも北米市場では,6月中に
400ドル前後で販売が始まる見込みとのことだった。
●R1x
完全な新製品として展示されていたのが,フルタワーPCケース
「R1x」だ。CPU冷却方法の違いで,ラインナップは2種類用意される。
237(W)×620(D)×618(H)mmという大型の筐体を採用し,標準では前面に吸気用の230mm角×1,底面に同じく吸気用の140mm角ファン×2を搭載。ここまでは2モデルで共通ながら,片方は,マザーボードトレイのすぐ上,側板部に140mm角の排気ファン×2を,もう片方は,ケースの天面にやはり140mm角の排気ファン×2を搭載し,それぞれ,別売りされる大型のファンレスCPUクーラーと組み合わせてCPUを冷却する仕様となっている。Lee氏によると,CPU冷却周り以外の仕様はまったく同じだそうだ。
側板部のファン×2で冷却するモデル。色は黒と橙色で統一されていた。別売りのCPUクーラーはヒートパイプを6本搭載する。なお,リアファンは140mm角を1基取り付けられるが,標準では蓋が付けられていた。また,電源ユニットはケース前面下段に置かれ,内部ケーブルで筐体背面まで引き出される
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対して,黒と紫で統一されていたのが,天面排気仕様のモデルだ。別売りのCPUクーラーは側面排気モデルと同じヒートパイプ6本仕様だが,全体の大きさはやや大仰になっている
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こちらの発売時期は8月ごろが予定されており,(ファンレスCPUクーラーを除く)本体価格は
150ドル程度になる見込みとのこと。ただし,会場でばったり会った,Thermalrightの販売代理店であるサイズの関係者は,前面パネルのデザインが日本人好みではないことから,現在のところ,日本市場へ投入するかどうかは分からないと述べていた。
本体底面部(左)。電源ケーブルは,マザーボードトレイの裏を使って各コンポーネントと接続することになる。3.5インチHDDは樹脂製のトレイになっており,メンテナンスのしやすさも謳われている。右は鏡に映したケース底面
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●Spitfire
GPUと接触する部分の精密性を追求し,熱伝導性を向上させたとされるSpitfire
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ファンレスGPUクーラーの新製品が
「Spitfire」だ。約160×140mmと巨大なフィンのヒートシンクを搭載し,GeForce 9シリーズとATI Radeon HD 4800シリーズをサポートすると謳われる。
基本的にはPCケースのサイドファンや,トップフロー型CPUクーラーのエアフローを頼る,ファンレス動作を前提とした製品だが,120mm角ファンを取り付けることもできるとのこと。
面白いのは,この大きなフィン部分を支えるべく,マザーボード固定用のねじ穴を活用するスタビライザーが付属する点で,これにより,460gあるクーラーでありながら,グラフィックスカードに過度の負荷をかけずに運用できるとされている。第3四半期中の出荷が見込まれており,予想実売価格は
50〜60ドルだそうだ。
実際の取り付け例。スタビライザーを用いることで,PCケースにしっかり固定できる
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このほかブースには,いくつかCPUクーラーの新製品が展示されていた。以下,写真を中心に紹介しておきたい。
LGA1366/1156/775,Socket AM2/AM3対応となる「Cyclone」。一見,トップフロー型クーラーのようだが,実際には本体の上部と下部からエアを吸い込み,フィンの外へ向かってはき出す仕様だ。サイズは152(W)×152(D)×160(H)mmで,重量は747g。ファンの回転数は2500rpmだ。量産は始まっているとのことだが,価格は未定とのこと。下段中央と右はその小型版として開発されているモデルで,こちらは底面吸気となる
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従来製品「Ultra-120 eXtreme」を改良し,新たにLGA1366サポート実現した新製品,「Venomous X」。フィンの中央に空洞を設けることで,回転数の低いファンを用いたとき,エアフローがフィンを抜けきらない問題を解決し,静かにPCを運用したいニーズにも応えられるようにしたという。サイズは132mm(L)×63mm(W)×160mm(H),重量は785g。価格は「TrueBlack 120と同じくらい」だそうなので,1万円前後か
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2基の140mm角ファンを取り付けられるという大型のCPUクーラー,「Allow-14」。こちらもLGA1366/1156/775とSocket AM3/AM2をサポートする。サイズは140(W)×110(D)×160(H)mmで,重量は780g。価格は未定とのこと
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開発コードネーム「Lynnfield」こと,Intelの次期主力CPU専用とされるCPUクーラーが,「MUX-120 1156」。サイズは132(W)×53(D)×160(H)mmで,重量は523g。予想実売価格は40ドルとされている
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