Electronic Artsが2009年11月の発売を予定している,シングルプレイ専用RPG「
Dragon Age: Origins」。開発を担当するカナダのBiowareは,このDragon Age: Originsのほか,ヒットしたSF RPG「
Mass Effect」の続編となる「
Mass Effect 2」(2010年発売予定)も開発中であり,おまけにLucasArtsと共に「
Star Wars: The Old Republic」の制作も行っているという,まさにEAのメインスタジオの一つに成長した。私に誉められても嬉しくはないだろうが,2005年のBioware買収は,EAにとっては優れた選択だったようだ。
8月19日に掲載したレポートにもあるように,EAはGamescom開催前日にプレスブリーフィングを行って本作を紹介したが,もちろんGamescom会期中のEAブースでもメディア向けのセッションが開催され,その場にもこのDragon Age: Originsが登場したのだ。
発売まで2か月余り。すでに多くの情報が公開され,4Gamerでも機会あるごとに記事にしてきたので,ゲームの内容をよくご存じの読者も多いはず。
今回のセッションは,比較的具体的な例を挙げてゲームの特徴を紹介するという内容だった。簡単に言ってそれは,
「いかに本作が高い自由度を持っているか」というものだ。
主人公のパーティは苦労の末,何世紀も見捨てられていた古代の寺院にやってくる。ここには骨壺に納まった神聖な王の灰があり,それは人々を病気から救うといった強力な力を持っているのだ。パーティメンバーの一人,Leliana(バード役)の夫であるArl Eamonは,悪の勢力に対抗するRedcliffeの信頼すべき王だが,彼は今,死の病に苦しんでいる。Lelianaは彼を救うためにここへやってきたのだ。
寺院に入るには秘密の鍵が必要だが,それはBrother Genitiviが知っており,かくして主人公は骨壺の前に立つ。
だがここで,「壺と灰を破壊する」という決断も可能なのだ。Darkspawnの軍勢がこの寺院を襲撃するという情報があり,もし彼らが自分達の軍を強化するために灰を使ったら,何千人もの犠牲が出る可能性がある。Eamonが灰によって病気から復活したのち,以前のような優れた人物であり続ける保証もない。
Erik Einsiedel氏
![画像集#001のサムネイル/[Gamescom]自由度が高いとはこういうことだ! EA,「Dragon Age: Origins」のゲーム世界を説明するセッションを開催](/games/016/G001607/20090822007/TN/001.jpg) |
デモを担当したBiowareのPublic Relations Coordinator,Erik Einsiedel氏は,ここで骨壺の破壊を選んだ。それを見たLelianaは,夫を救う道を絶った主人公に向かって剣を抜く。また信心深いヒーラーのWynneも,主人公の神聖を汚す行為に怒って向かってくる。色っぽい衣装でおなじみのMorriganは味方なので,パーティメンバー同士の殺し合いが発生するのだからちょっとびっくり。
主人公はLelianaの首を切り落とし(きつめのゴア表現も本作の特徴),Wynneを倒すと,さらに彼らをここまで案内してきたBrother Genitiviの頭にナイフを突き立てるのである。「たくさんの人々の命を助けるため,三人を殺す」という決断が正しいのか?
Mike Laidlaw氏
![画像集#002のサムネイル/[Gamescom]自由度が高いとはこういうことだ! EA,「Dragon Age: Origins」のゲーム世界を説明するセッションを開催](/games/016/G001607/20090822007/TN/002.jpg) |
「これは極端な例ですが,何が正義で,何が悪かという問題は難しい」と説明するのは,Lead DesignerのMike Laidlaw氏。状況や立場によって,正義とか悪とかいう概念は変わってくる。ゲームにはさまざまな選択肢が用意してあり,どちらの道に進むかはプレイヤー次第。つまりDragon Age: Originsは正義の物語ではなく,あなたの物語なのだと続けるのだ。
ちなみに,骨壺を破壊しなかった場合のゲームの流れも見せてもらえたが,その場合は……と,あんまり話すとちょっと興ざめになってしまう可能性もあるので,それはぜひプレイして確かめてほしいと無難にまとめよう。いやあ,ドラゴンがねえ。
ゲームにはこうした小さな選択がいくつも用意されており,そうした選択を絶え間なく積み重ねていくことで自分だけの物語が展開していくというわけだ。
メインミッションだけをプレイしても,クリアには約20時間。サブミッションまで含めるとどうなるか分からないほどというのに,それがキャラクター6人それぞれに用意されているのだから,スクリプトの量は信じられないほど膨大とのこと。デバッグだってかなり大変だろうと思うが,「物語」に対する強いこだわりを見せるBiowareらしいRPGだといえるだろう。
最後にGamescomの開催に併せて公開されたムービーを掲載する。ダークでシリアスなゲームの雰囲気を確認してほしい。