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[GWWC 2006]「GW:2006 World Championship」決勝大会開催
GWWCは,オンラインRPG「Guild Wars」(邦題 ギルド ウォーズ)のメインコンテンツである,対人戦モード“ギルドバトル”に特化した世界大会。ギルドバトルとは,各ギルドから選出された8名の選手同士が戦うもので,2005年10月から12月にかけて,上位ランキングのギルドによるプレイオフ戦が行われている。
その結果,アメリカ,ヨーロッパ,韓国の各リージョンから2ギルドずつが選出され,このたび台北ゲームショウ会場に集結したというわけだ。
GWWCの賞金総額は10万ドル(約1180万ドル)で,これはRPGジャンルでは前代未聞の規模といえる。
Guild Warsは,対人戦を終着目標に据えて設計されたRPGである。また,消耗品を必要とせず,キャラクターの成長度合いに左右されず,そして何よりも,極上のゲームバランスの上に成り立っているという,実に希有なRPGだ。その結果本作は,RPGジャンルではほぼ唯一,“e-Sports”としての展開が現実的に見込まれているのである。
GWWCのような大会が世界規模で行われることそのものが,Guild Warsの対人戦における完成度の高さを物語っているといえよう。
・アメリカ……Idiot Savants[iQ],Treacherous Empire[Te]
・ヨーロッパ……The Valandor[Val],Lamers Ultimate Majority[LuM]
・韓国……War Machine[WM],The Last Pride[EvIL]
試合は通常のギルドバトルを用い,先に2本を先取した側が勝利となる。17日の段階で準々決勝の2試合が行われ,その勝者が18日にシード権を持つギルドと準決勝。そして19日には決勝戦が行われるという運びだ。
準決勝の大きな見どころとしては,プレイオフでシード権を獲得したギルド「War Machine」と「Idiot Savants」が,ここで初登場すること。
とくにWar Machineは,優勝最有力候補との呼び声も高く,4Gamerにもたびたび名前が登場しているほどの超有名ギルドだ(ちなみに「LineageII」や,正式サービス前の「Granado Espada」でも有名である)。ギルドバトルに精を出す読者の中には,実際にWar Machineにこてんぱんに叩きのめされた,という人も多いのではないだろうか。
■準決勝第一試合から予想だにしない展開へと
準決勝の第一試合は,韓国代表の「War Machine」[WM](現在世界ランキング2位)と,ヨーロッパ代表の「Lamers Ultimate Majority」[LuM](14位)のバトルであった。両ギルドの大まかな特徴としては,WMは各メンバーが個人技に長けつつも,必要とあらば瞬時に団結できる臨機応変タイプ。一方のLuMは,回復担当のモンクを3人揃えることで,本体の防御力を高くしての正面突破を得意とする,重戦車タイプである。
ギルドバトルの最終的な目標は,敵の本陣で待ち構えるNPC“ギルドロード”を倒すことにあるが,そこまでのルートは何通りもある。またマップの中央部には,制圧すると一定時間ごとに味方全体の士気を高めるタワーも設置されている。
両ギルドのタイプを踏まえて考えると,LuM側の狙いは正面からタワーを確保しに行き,じわりじわりと士気を高めつつ押し込むこと。そしてWM側の狙いは,さまざまな方向から少数で敵陣へと乗り込み,あわよくば敵ギルドロードをいきなり暗殺してしまうことだ。
この両者が激突してどうなったのかというと,序盤から中盤にかけては,LuMの本体がWMを蹴散らしていく展開となった。WMは戦力を分散させているため,本体同士の戦いでは基本的に不利なのだ。
中でも真っ先に狙われるWM側のモンクは,デスペナルティが次第に積み重なり,最大値の60%にまで達していた。両チームの体力/士気の推移グラフを見ても,戦力の違いははっきりと表れている。この段階で多くの観客が,LuMの勝利を予感していたのではないだろうか。筆者もその中の一人である。
筆者もGWWC会場でその模様を見ていたのだが,WMが踏みとどまれる理由を,最初はよく理解できなかった。しかし画面を注視していると,少しずつWMの動きの凄さが見えてきた。例えば敵を狙うときは,ほかの味方が逃げ道を塞ぐように回り込んでいる。また,士気を高めようとする敵に対しては,味方と連携しつつありとあらゆる手を駆使して邪魔している。
文章にすると当たり前のように感じるかもしれないが,細かいテクニックの徹底振りが凄いのだ。
しかも彼らは,この程度の連携は指示を出すまでもなく,お互いに無言でサポートし合っている。ちなみにWMの指揮系統は,ギルドリーダーとサブリーダーのみが,戦場全体の指示を与えているだけ。このようにして,少しずつ不利を挽回していたのだ。これぞ個人技に長けるWMの真骨頂といったところである。
途中何度か,2名しかいないモンクはいなくなり(VoD直前数分間と発動後3分間はモンクゼロだ),士気も体力も試合中通して圧倒的に劣っていたWar Machine。それにもかかわらず状況を押し戻すその技は,一体どういう練習を積めば会得できるのだろうか。
とはいっても,相手のLuMはまかりなりにも世界ランキング14位。そうやすやすと逆転を許したりはしない。そして両者が接戦を続けた末,試合開始後30分が経過。「Victory or Death」モードへともつれ込んだ。これは普段は守りを固めているNPCが,自陣を出て攻めに行くというもので,試合時間の長期化を防ぐための,いわば最終決戦的な意味合いがある。
そして,ここからがWMの真骨頂だ。WMは序盤から地道に敵NPCを減らし続けたことで,NPCを含めたトータル戦力でLuMを上回り,さらには統制された動きで,LuMを攪乱しつつ3人もいるモンクを一人一人キッチリ順番にKillしていった。それが最後の2分ほどの出来事。そして最後は,最前線に出てきたギルドロードをタコ殴りという,美しい締めだ。そうして40分にも及ぼうかという試合は,幕を閉じた。
すべてにおいて(数値上は)不利であった状況をいともたやすく巻き返してしまう試合展開。仮に,これが決勝戦だといわれても何ら違和感のない,素晴らしく劇的な試合であった。
本稿ではここまで。決勝戦については,また別に記事を掲載する予定だ。なお,Guild Wars(ギルド ウォーズ)のプレイヤーであれば,ゲーム内の「観戦」機能で決勝大会の試合を直接見られる。通常のギルドバトルは短時間で観戦できなくなってしまうが,今回は世界大会ということで,特例措置となっているのだ。ギルドバトルが未経験という人も,見るだけならタダなので,ぜひとも活用していただきたい。(ライター:川崎 政一郎)
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