インタビュー
「心躍るゲームがここにある」──ハンゲームが12周年を記念してブランドコンセプトをリニューアル。その意図と今後の展望をキーパーソンに聞いた
今回のリニューアルは,ハンゲームが2012年11月1日にサービス12周年を迎えるにあたって同社が企画したもので,ブランドコンセプトも,従来の“多様な選択肢を提供するポータル”から,“高クオリティのゲームコンテンツ・サービスを提供するポータル”へと変わるという。
今回,4Gamerでは,NHN Japanの執行役員を務める稲積 憲氏に,リニューアルの概要と,意図するところなどを聞いてみた。
「ハンゲーム」公式サイト
今回のリニューアルにあたり,ハンゲームが掲げたブランドメッセージは「心躍るゲームがここにある」だ。同ポータルではこれまで多数のタイトルを取り揃え,その中から顧客たるユーザーそれぞれに遊ぶものを選んでもらうという形でサービスを提供してきたのだが,このリニューアルでは,よりクオリティの高いゲームコンテンツを提供するポータルへとシフトするとのことで,その高クオリティのゲームコンテンツこそが,メッセージに掲げた“心躍るゲーム”というわけだ。
■リニューアル後の「ハンゲーム」トップページ
稲積氏は,今回の方向性のシフトについて「12年──つまり十二支でひと回りしたところで,ハンゲームもステップアップを図る」と説明する。
その一方では,2010年以降,オンラインコミュニティサービスにも大きな変化があったことも見逃せない。Twitter,Facebook,そしてNHN Japanの提供するLINEといった,国内1000万人規模のユーザーを擁するコミュニティサービスが続々と登場し,一般的な話題や事柄をテーマとしたコミュニケーションの場としての地位を確立したのである。つまりユーザーにとって,わざわざハンゲームでそうした一般の話題を取り上げる必然性が薄れているのだ。
今回のリニューアルの背景には,そうしたゲーム市場の拡大見込みと,コミュニティサービスのあり方の変容が挙げられるが,稲積氏は,「ハンゲームはこれまでも時代や環境の変化に応じて,都度,コンセプトやサービスを変更してきた」と説明する。比較的最近の例では,2007年に取り扱いタイトルが増えたことに応じて「かんたんゲーム」「じっくりゲーム」の区分けをしたことや,2009年のSNSおよびソーシャルゲームの台頭に伴い,ハンゲームでもブログやコミュニティの活性化を図った施策などが挙げられる。
ここ数年,国内のオンラインコンテンツおよびコミュニティサービスが大幅に増加しました。そうした状況の中,ハンゲームが提供すべきなのは,量ではなく“質の高い”ゲームコンテンツであり,より“ゲームに根ざした”コミュニティです。そこで今回のリニューアルでは,その2点に焦点を当ててコンセプトを固めました。(稲積氏)
リニューアルしたハンゲームの具体的な取り組みは,新たなブランドコンセプトに沿っており,「高クオリティのゲームコンテンツ提供」「使いやすいサイトにリニューアル」「安全・安心の確保,およびイベントを通じて楽しさを提供するサービス運営」という3項目に分けられる。
まず「高クオリティのゲームコンテンツ提供」について。今後,現在サービス中のタイトルに関しては,ハンゲームユーザーの評価が高いタイトルを,優先的にトップページでアピールしていくようになるという。
一方,新作タイトルについては,独自の基準に基づき“面白い”“楽しい”を指標化して,一定の基準をクリアしたものだけをリリースしていくとのこと。基準をクリアできなければ,改修後に再検討もしくはリリースなしという結果となる。
これまではタイトル数や多様性を優先する部分があったため,どうしても“面白さ”のレベルにばらつきがありました。今後,新作タイトルにおいては“面白い”“楽しい”といった感覚を,弊社独自の指標に基づいて定量的に評価し,一定の基準を超えたものだけをリリースすることになります。とはいえ“面白い”“楽しい”というのは個人の感覚ですから,簡単に数値化できるものではありません。
弊社では,しばらく前からハンゲームでリリースするいくつかのタイトルを,さまざまな観点から分析してきました。その結果,きちんとお客様に受け入れられるタイトルは,ある一定の水準をクリアしていることが明確になったのです。そこで,このリニューアルを機に,その水準をベースとした指標をハンゲームで提供するすべてのタイトルに適用することとなりました。この試みはすでに一部で行われており,2012年10月にリリースしたカプコンさんの「鬼武者Soul」以降は全タイトルに適用してまいります。(稲積氏)
ユーザーとしてログインする前であれば,上記のとおり,ユーザー全体の評価の高いタイトルが「ハイクオリティゲームエリア」に優先的に表示される。またこのエリアは,タブを切り替えることにより,人気ランキングやイベント実施中のタイトルなどを表示することもできる。
またシンプル化に伴い,「かんたんゲーム」「じっくりゲーム」のページが,「コンテンツメニューエリア」に統合されたり,「インフォメーションコーナー」では重要な告知のみを表示したりしているのも,タイトルの選択しやすさにつながるものだという。
一方,ログイン後は,ユーザー各自の「マイゲーム」から,最近プレイした5タイトルへとスムーズにアクセス可能だ。もちろん,ログイン前と同じくオススメタイトルも同時に表示されるので,気になるタイトルへのアクセスも簡単にできる。
これまでは情報の増加とあいまって,初めてトップページを見たという人には分かりにくい構造でした。今回のリニューアルでは,“ゲームを選ぶ”というお客様の視点に立ち戻り,初めての方であってもオススメのタイトルにリーチしやすいデザインになっています。既存のお客様は,慣れていただくまで少々ご不便をお掛けする部分もあるかと思いますが,我々としては,よりタイトルを選びやすくなることを考え,こういった形にしたことをご理解いただけたらと存じます。また,実は今回,一部にあった広告表示も,“ゲームを選ぶ”という観点からするとノイズになると判断して廃止しています。(稲積氏)
そのほか,「アバターひろば」では,これまで分かりにくかったハンゲームアバター連動タイトルを一元化してユーザーに明示している。
また,2013年上期内には,各ユーザーの傾向に沿ったオススメタイトルを推薦するレコメンド機能の導入,アバターの新しい遊び方の提示,そしてゲームに根ざしたコミュニティ形成のための新機能などを導入する予定だ。これらの新機能の詳細は,順次,ユーザーに向けてアナウンスされる。
ゲームに根ざしたコミュニティ形成を目指すとはいっても,ゲーム以外の話題を排除する意図はありません。例えば,コミュニティの中に,このお客様はこういうタイトルをプレイしている,こういうジャンルを好まれるといった,ゲームに紐付く情報が流れることを目的とした取り組みです。
その一方で,ハンゲームにはアバターを目的に利用されているお客様もいらっしゃいます。そういった方に向けては,例えばアバターの表示スペースを大きくするといったように,これまで以上に楽しさが広がる施策を持って臨み,ゲームのお客様とアバターのお客様との両立を図っていこうと考えています。(稲積氏)
一つめは,「安全・安心なサービス運営」で,従来から実施しているパトロールやサイト内での啓発活動など,顧客保護を目的としたカスタマーサポートを強化する。このあたりの施策は,4Gamerでも「ドラゴンネスト」の記事などで取り上げてきたが,今後はさらに,管理ツールやフローの見直しと,スタッフ個人のスキルアップを図るとのことだ。稲積氏は,具体例として,ユーザーからの問い合わせに対する回答のスピードアップなどを挙げていた。
二つめは「オンラインイベント強化」で,ユーザーがハンゲームのサイトに訪問すること自体に楽しさを覚えるような企画を立案・実行していく。この試みは2012年の夏休み企画から本格化しており,直近の2012年10月に行ったハロウィンイベントは,NHN Japanでも驚くほどのユーザー参加率を記録したとのことである。
ハロウィンイベントが好調だったのは,お客様に提供するクリエイティブのクオリティが高かったことに加え,内容の掲示を従来より分かりやすくするなど,導線の見直しを図ったことが要因だったと分析しています。こうしたサイトのギミック化は少々手間がかかるのも事実なのですが,お客様に満足頂ける楽しみを提供するのは私たちの使命ですので,今後も継続して行います。(稲積氏)
三つめの「オフラインイベント強化」は,2012年10月に実施した「ハンゲームフェスティバル」のような大型の箱モノイベントを今後も開催していくことに加え,新たな取り組みにもチャレンジしていくという。
お客様のオフ会を支援するという意味を込めて,ハンゲーム12周年企画の一つとして,東京都内のカラオケ店さんと提携し,オリジナルのグッズやメニューなどを提供します。もしこれがご好評いただければ,順次,全国各地にて展開する予定です。詳細に関しては,別途サイト上でアナウンスいたしますので,そちらをご確認ください。(稲積氏)
さて繰り返しになるが,ハンゲームでは12周年を機に,大胆なブランドコンセプトのリニューアルを行った。そのコンセプトに基づき,サイトデザインを設計しているわけだが,とくにインターフェイスは,ユーザーの意見に沿って随時調整を図り,より利便性の高いものへとチューニングしていくとのことだ。
最後に,稲積氏がこのリニューアルがハンゲームユーザーにもたらすメリットについてのコメントを掲載して,本稿の締めとしよう。
リニューアル以降,これまで以上に“面白い”“楽しい”ゲームやサービスに巡り合う確率が高まり、”心躍る”時間をお過ごし頂けると考えています。それこそが,このリニューアルがお客様にもたらす最大のメリットであると捉えています。これからもハンゲームをどうぞよろしくお願いします。(稲積氏)
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