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[CJ 2007#24]「Warhammer Online」のシニアプロデューサーにちょっとだけインタビュー。日本での欧米産MMORPG成功の鍵,とは?
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今回は,ChinaJoy会場内のElectronic Artsブース内で,30分だけ時間をもらいインタビューを敢行。気になるビジネスモデルの話題に切り込んでみた。
4Gamer:
再びこんにちは。今回はお土産持参で来ましたよ。
Hickman氏:
なんだ,4Gamerは2日前にインタビューをしたばっかりだから,「お腹が痛い」とか言って帰ってもらおうかと思ってたけど,お土産があるなら話は別だ。さっそく始めよう。
4Gamer:
危なかった……。
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開けてもいい?(と言いながら返事を待たずに開ける)。おお,マリオじゃないか! しかも頭を押すとゲームの効果音がする。これは凄い!(と言いながら連打)
Bales氏:
Jeffにそんな面白いものを渡しちゃダメですよ。しばらくずっと遊んでますよ,きっと。
Hickman氏:
何言ってるんだ。こんなに真面目な僕に限ってそれはない。(と言いながら連打)
一同:
(笑)
4Gamer:
前回のインタビュー記事が掲載されているので,読者もそんな堅物ではないって知ってますよ。たぶん。
時間もないので最初の質問を……。
Hickman氏:
ちょっと待った!
4Gamer:
お腹が痛いんですか?
Hickman:
違うよ!(笑) 今日のインタビュー時間は30分しかないから,今回は早押し形式にしよう。
4Gamer:
早押し?
Hickman氏:
答えられるほうがこのマリオの頭を押して,音を鳴らすんだ。これならきっと,インタビューがテンポよく進む。いいアイデアでしょ。
4Gamer:
ま,まあ答えてもらえるのなら,それで問題は……
Hickman氏:
よしじゃあ,決まりだ。早速始めよう。
4Gamer:
では,気を取り直して始めさせてもらいます。
日本では,「ウルティマオンライン」以外,欧米産MMORPGの成功例があまりありません。その理由はなんだと考えていますか?
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日本人のゲーマーは,ビジネスモデルやサポート体制のクオリティなど,ゲームプレイ以外の部分でも,求めるレベルが非常に高いと感じている。もちろん,ゲームを提供する側はすべてにおいてクオリティを高いレベルで維持すべきだとは思うけど,欧米のデベロッパ/パブリッシャ達が考えている以上に,日本人ゲーマーが求めるレベルが高く,うまくいかないことが多いんじゃないかな。
4Gamer:
なるほど。では,そんな状況下で,Warhammer Onlineを日本で成功させるための戦略を聞かせてください。
Hickman氏:
クオリティの高いサポートを提供する,ということに尽きると思う。そのために,いろいろな運営会社に会って話を聞いているんだ。いい運営会社と組むということが,日本での成功の第一歩だと思うね。
Bales氏:
Jeffがいうクオリティの高いサポートというのは,なにもゲームの周りだけではないですよ。
4Gamer:
というと?
Bales氏:
ゲーム内ヘルプの充実,分かりやすいインタフェースなど,プレイヤーが不満を溜めない工夫をしているのです。たとえば,クエストを受けると,画面右上のミニマップ内に赤い丸が現れます。これは,クエストを進めるために必要なNPCやキーアイテムのある場所を表しているんです。プレイヤーはこの赤い丸に囲まれた場所を目指していけば,迷うことなくクエストを進めていけます。
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4Gamer:
それは確かに,昨今流行りの便利な機能ですよね。ただ,そこまで便利にしてしまうと,上級者にとっては“骨のない”ゲームになってしまいませんか?
Hickman氏:
(マリオの頭を押して)よし,先に押した! ここはおいしいところだから,答えさせてもらうよ。
大丈夫。そんな心配は必要ない。例えばその例で言うならば,レベルが上がるにつれて表示される円の面積が広がっていくんだ。プレイヤーが慣れてくれば大雑把な場所しか分からなくなるので,問題ない。こういった細かい工夫をいろいろやっているので,きっと日本のプレイヤーも満足してくれると思うよ。
4Gamer:
ゲーム内外のサポートを充実させて,成功を手繰り寄せるわけですね。期待しています。
ちょっと話題を変えます。Warhammer OnlineはPvP,RvRが特徴ということで,「Dark Age of Camelot」(以下,DAoC)の流れをくむ作品だと思います。どんなところがDAoCから進化したところでしょうか?
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(マリオの頭を押して)今度は間に合った! DAoCは,RvRをメジャーにしたタイトルで,それがゲームの最大のウリだった。なので,一番の強みをさらに発展させ,「スカーミッシュ」「バトルフィールド」「シナリオ」「キャンペーン」という四つのタイプのRvRを用意しました。一番発展させたところであり,一番開発に苦労したところですね。……ってJeffうるさい!(マリオの頭を連打していたHickman氏の手を止める)
一同:
(笑)
4Gamer:
まだ日本の運営会社が決定していないのは知っていますが,日本でサービスを行うときは,日本の専用サーバーになる感じですか?
Hickman氏:
まだなんともいえないけど,日本語サーバーでプレイしてもらうことになると思う。基本的には,母国語で楽しんでもらいたいし。
4Gamer:
うーん……日本専用サーバーだと,日本人にとって接続しやすいとかラグがほとんどないだろうとか色々な利点はありますが,その一方で,過去の例を考えると,人があまり集まらなかったときに,せっかくのウリであるRvRが盛り上がらないという危険性もあるのでは?
Hickman氏:
あまり考えたくない話題を振ってくるな(笑)。
言いたいことは分かる。でも,しっかりと作りこんだゲームを,最初からその国の言葉で楽しめるようにしておく。これが開発者としてのべストな対応だと思うんだ。もちろん,遊び始めた人達が,すぐにやめたくならないようなものを作っているという自信はあるよ。
4Gamer:
良いゲームを,その国の母国語で作れば,自然と人が集まるということですか?
Hickman氏:
サービスを行う国では,その国の母国語に翻訳するというのが僕らの基本的な考えかたとしてあるんだ。その国の母国語でサービスを行って,プレイヤーを集められる自信がないのであれば,その国でサービスを行うとは考えないよ。
4Gamer:
では,日本でもプレイヤーを集める自信があると考えていいですか。
Hickman氏:
もちろん,あるよ。(マリオの頭を連打)
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4Gamer:
あぁもう半分以上時間が……。また話題を変えます。
あくまでもJeff個人の意見でいいのですが,月額課金制とアイテム課金制に対して,それぞれどのように思っているのか聞かせてもらえますか?
Hickman氏:
またそんな答えにくい質問を! 月額課金制は,先にお金を払うことになるからハードル高いけど,その分余分なお金を払わずに安心して遊べる。アイテム課金制は,その逆だね。どちらが良いとか悪いとかではなく,ゲームが運営されている地域や,ゲームの内容に合わせて変えていくべきだと思っているよ。
4Gamer:
優等生的な答えですねえ。それでWarhammer Onlineは,月額課金制を前提に設計されているのでしょうか?
Hickman:
危ない。誘導尋問みたいになってきたな(笑)。いま言えるのは,北米と欧州バージョンは月額課金制のモデルでやるつもりで開発をしていた,ということだけだね。ほかの地域でのモデルは未決定だ。
4Gamer:
PvPやRvRなど対戦がメインのゲームに,アイテム課金というモデルは,既存の手法を適用する限りはマッチしていないと思うのですが,欧米以外ではアイテム課金を行う可能性があるということですか?
Hickman氏:
可能性でいえば,イエスだ。具体的にはなにも決まっていないので,アイテム課金制にした場合は,それに合わせてシステムを少しいじるかもしれないな。
4Gamer:
しかし,仮にアイテム課金制になったとしても,バランスが崩れるようなことはない,ですよね。
Hickman氏:
その通り。ほかの地域で,アイテム課金制にするかどうかも決まっていないので,どんな有料アイテムを用意するかは一切考えていないけど,ビジネスモデルにあった対応をするよ。
一番大切なのは,どうやってお金を集めるのかではない。どうやって人を集めて,楽しんでもらうかだからね。
4Gamer:
どんなビジネスモデルになろうと,しっかりと楽しませてくれそうですね。日本での展開が決まったら真っ先に教えてくださいね。では最後に……
Hickman氏:
メッセージだろ? Dustin頼んだ。
Bales氏:
「Play and Pay」!
Hickman氏:
そんなことは真似しなくていいんだよ!
一同:
(笑)
Bales氏:
じゃあちゃんと言いますね。
Warhammer Onlineは,DAoCから受け継いだものが多いMMORPGです。あの興奮を再び味わいたい人はぜひ遊んでください!
4Gamer:
ありがとうございました。
前回に引き続き,漫才だかインタビューだか分からない雰囲気の楽しい時間だった。ふざけていただけではなく,ビジネスモデルの部分など答えづらい内容にも冗談を交えつつ陽気に答えてくれるあたり,本当に人を楽しませることが好きな人達のようだ。
まだ欧米以外のパブリッシャは決まっていないようで,日本でのビジネスモデルは未決のまま。だがHickman氏の意志を尊重するならば,日本でサービスが行われるとすれば日本専用サービスになりそうだ。人が集まらなくてせっかくのRvRを存分に楽しめなくなるのではという懸念があるが,絶対に人を集められるというHickman氏の言葉を信じて完成を待ちたい。(noguchi)
−−2007年7月13日収録
- 関連タイトル:
Warhammer Online: Age of Reckoning
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