［CJ 09］どうなる？　AuditionそしてWoW，中国オンラインゲーム業界のあれやこれや

　中国で人気のオンラインゲームは数々あるが，作品の去就を含めて話題に上ることの多い，AuditionとWorld of Warcraft（WoW）を巡る状況についてちょっとまとめてみよう。

　両タイトルともThe9絡みなのだが，去年くらいまでは中国のオンラインゲーム市場での海外ライセンスタイトルの2強といえるWoWとAuditionを手中に収めたかに見え，業界最大手に上り詰めるかに見えた。それが，WoWの移転で崩れつつある。
　「会社はWoWのみで出来ているわけではない」とはいうものの，収入の大半をWoWに負っていただけに，屋台骨が崩れた感は否めない。

　Blizzard Entertainmentは，WoWのライセンス先をThe9からNeteaseに変更したというのは過去にニュースでお伝えしたとおりで，移行があまりうまくいってないらしく，アカウントはちゃんと移行できるのかなどを不安視していた人も多い。

　では実際のところどうなのかを聞いてみた。
　取材時に情報が錯綜していたのだが，模式的に書くと以下のような感じ。

4Gamer「WoWっていまどうなってるの？」
Netease「4月末からNeteaseにサービス移行してるぜ。ばっちりだぜ」
The9「6月までうちでやってたよ」
4Gamer「？」
Netease「データをBlizzardで整理してからなのでちょっと遅れてる。8月にはバッチリだぜ」

　ということで，どうやら8月にはサービスが開始される見通しらしい。キャラクターデータなどはそのまま移行できるという。
　WoW不在の間隙を縫ってAIONが大躍進していたりするのだが，それはまた別の話。


　WoWに代わってThe9が始めるというMoW（Monster of War）は，あいにく会場には展示されておらず，看板がひっそりと並べられているほか，スクリーンでたまにプロモーションムービーが流されているだけ。ムービーを見るとカードゲームぽいのだが。いま一つ詳細が分からない。あいにく担当者をつかまえることができず，現時点では直撮りムービーを見て想像していただくしかない。まあ，WoWとはかなり毛色は違いそうではある。



　ダンスゲームでは，劲舞団（Audition）を擁する9youが一人勝ちの状況と言っていいだろう。しかし，この状況も来年には一変するかもしれない。Auditionの運営が来年8月でThe9に移行し，おそらくAudition 2もThe9から公開されているだろうから。
　問題は，中国では人気ゲームAuditionは劲舞団という名前でずっとサービスされており，劲舞団の商標は9youが持っているということだ。The9はAuditionやAudition 2をサービスすることはできても，劲舞団や劲舞団2という名前ではなく，別の名前のゲームとしてサービスしなくてはならない。
　9youは，かなり前からAuditionに似た自社制作ダンスゲーム「超級舞者」（Super Dancer Online）をリリースしており，その新作を「GT劲舞団2」というタイトルで公開済みである。驚くことに，現在9youでは，劲舞団，超級舞者，GT劲舞団2の3本のダンスゲームを並行してサービスしているのだ。ポストAuditionに向けて，9youも抜かりはない。

　ちなみに，「GT」とはG-Townの略で，9youのゲーム系バーチャルワールドとして発表されていたものだ。「GT劲舞団2」など，いくつかの「GT」付きタイトルとともに発表されたのだが，本体となるG-Townはいったん閉鎖されて，仕様の見直しなどが行われている。
　G-Town本体は別途，かなり大きな構想で再開発中と見られるので，それが完成した際には，改めてGT劲舞団2などが取り込まれるのだろう。

　来年からAuditionを引き継ぎ，Audition 2もサービスが決まっているThe9ブースでは，Audition 2のロゴとイラストが壁面に大きく描かれていたものの，プロモムービーなどもないようで具体的な展示はなかった。T3 Entertainmentでは，かなり開発も進んでいるようではあったので，そろそろ発表されてもおかしくないかなと思っていたのだが，発表にはかなり慎重な感じである。

　いずれにしても，来年夏，中国のダンスゲーム界に激震が走るのは確実だ。本家本元だが別ブランドのThe9か，中身は別でもブランド力の9youか，はたまたほかのゲームか。今年のChinaJoyでは，心なしか例年よりダンスゲームを出しているところが目立ったように思う。あわよくば，巨大市場を掠め取れるかもしれない。来年，中国のユーザーがどういった動きを見せるのかは，誰もが注目するところである。