インタビュー
[インタビュー]20周年を迎えた「ラグナロクオンライン」の新たな挑戦とは? RO運営スタッフに2023年のロードマップを聞いた
【PR】祝・「ラグナロクオンライン」20周年,現役運営スタッフ記念座談会。これまでの苦難とこれからのROで実現したいことを聞いた
2022年12月1日にサービス20周年を迎えた,PC向けMMORPG「ラグナロクオンライン」。これほどまでに長い期間運営を続けていれば,積もった苦楽やプレイヤーの知らない裏話も少なからずあるだろう。そんなスタッフの悲喜こもごもを,RO運営チームに座談会形式で聞いてみた。
さて,区切りの年だった昨年(2022年)のROは,12年ぶりとなる上位クラス「4次職」や大幅なレベルキャップの開放など,それまでと一線を画したアップデートが実施されてきたが,どうやら2023年もそれに勝るとも劣らない数々のアップデートが予定されているようだ。
今回,その内容について,RO運営スタッフである中村聡伸氏と山本兼寛氏に話を聞いてきた。2023年にROはどんな展開を迎え,どのように進化を遂げるのか,お伝えしよう。
※インタビューは2022年12月6日に収録している。また,本インタビューには12月20日に実装された「EPISODE:The Double Goddess〜祈りの方向〜」のネタバレが多少含まれているのでご注意を。
運営20周年までは想定内? その先を目指してチャレンジに踏み出す
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。中村さんとは先日の座談会(※)に続けてとなりますが,ここでは2022年の振り返りと,2023年の「RO」についてお聞かせください。ともあれ,サービス20周年おめでとうございます。
※12月29日に掲載したRO運営メンバー座談会は,この前日に収録していた
中村氏:
ありがとうございます。私自身は2008年からライター,プレイヤーとして関わっていたこともあって感慨深いです。ROは,ただのゲームというよりもサービスとして,生活の一部,コミュニケーション手段の1つとしてご活用いただけているのではないかと思っています。この20周年もあくまで通過点として,21年,22年と引き続き頑張っていきたいです。
山本氏:
「(そんな施策は)できないですよ!」と言っていた自分に対して,「それはあと何年経てばできるようになる」って伝えたいことがいくつもありますね。20年分の積み重ねやシステムのパワーアップを見ていくと「このペースならまだ行ける!」という手応えがあります。この先を目指して,まだまだ頑張っていきたいと思います。
4Gamer:
“できる”と言えば,(開発元の)Gravityから「ここまでやっていいよ」と許可されるようになった(※)のも,“できること”が増えた要因でしょうか。
※イベントやアップデートでのバランス調整などを運営チームで行えるように,Gravityからガンホーに与えられる裁量権が大きくなった(関連記事)
それも要因ではありますね。
あと,レベル上限が「BaseLv200まで」と言われていたのに,あとから「BaseLvは250まで可能」と修正されたことで,4次職が実装できるようになったんです。
もともと4次職の追加は想定されておらず,3次職で完結するとGravityからは聞いていました。ところが,各所で臭わせていた4次職にかかわるような話をどうするのかと思っていたところで,やはり4次職を入れるということになって。これは,最初に難しいと考えられていたことが,システムが熟成されていくことで可能になったからなんです。
4Gamer:
長い積み重ねが,ここに来て実を結んだわけですね。
山本氏:
そうです。その積み重ねが今のROですね。
4Gamer:
ちなみに,これだけ長くサービスが続くと思っていましたか?
中村氏:
10周年のときに「このまま20周年まで行こう!行けたらいいね!」と言って続けてきました。当然,30周年を迎えられるように運営する姿勢です。10年後にも同じことを言っているかもしれませんね(笑)。
4Gamer:
まあ,10年も20年も先を正確にイメージできる人は,そうそういないですよね。
山本氏:
僕も(2010年に)入社したとき,上長に対して「あと10年はやります!」「20周年は絶対に迎えます!」と言っていたので,20周年は僕の中で想定内なんですよ。
ただ,20周年から先は未知の世界というか,チャレンジです。チャレンジではありますが,ここまでの積み重ねがありますので,どういうものが必要なのか,これから何が楽しくなるかを考えつつ,25周年,30周年の区切りに向けて,まだ行けるという気持ちでやっていきたいと思います。
4Gamer:
では,まず2022年のトピックを振り返りたいと思うのですが,アニバーサリーイベントの会場で発表された12月末のエピソードアップデートで,2022年のマニフェストは達成されたように思います。
中村氏:
そうですね。通常ワールドでの施策はだいたい実装できました。2022年を振り返ると,4次職ありきで走ってきた感じですね。3月にシステムアップデートを実施してUIを変更,そこから当初は夏ぐらいをめどに超越アップデートを行おうとしていたんですが,ちょっと問題があったので10月までずるずると引きずっちゃいました。
4Gamer:
夏以降のアップデート状況からは,年内に4次職を実装できるのかな……とか思っていました。
中村氏:
なんとか解決できたので,超越アップデートから4次職実装への期間は短くできたんです。ただ,プレイヤーの皆さんにとっては,レベル上げが忙しくなったり,イベントが重なったりで,慌ただしくなってしまいました。プレイヤーさんの中には4次職実装から1週間程度でBaseLv220に到達して,「幻影の迷宮」を遊んでいる方もいるようで,楽しんでいただけているなとひと安心しているところです。
4Gamer:
一週間でそこまで上げたんですか。
中村氏:
アニバーサリーイベントのスタンプラリーで,BaseLv200にできるチケットがちょうど手に入ったプレイヤーさんも多いですから。また,チケットで久しぶりに復帰した方も,1キャラクターは4次職になれるんですよ。
4Gamer:
でも,装備が物足りないかもしれませんね。
3次職の装備をそのまま使っていただいても問題ないですし,「ミミミのミッションマスター」(※)でもらえる装備も優秀なので,一通り遊ぶには問題ないと思います。実際に遊んでみて,こういう育成傾向がいい,こういうモンスターを相手にした方がいいとなってから,装備の選択を考えてもらえれば,と。
ちょうどアニバーサリーパッケージも出ましたし,各職業向けのスターターパックもあるので,それらをご購入いただけると,よりROを楽しめると思います。
※2023年2月28日まで開催されている,さまざまな報酬が獲得可能なイベント
4Gamer:
レベルアップチケットを使ってもJobLvがレベルキャップの70に満たないという話もありましたが,そちらはどうでしょう。
中村氏:
アニバーサリーイベント期間(※記事掲載時点では終了している)に使用すると,JobLvも最大まで上がるのですが,以降は少し足りません。ですが,ミミミのミッションマスターをやっていただければ,JobLvの経験値を稼げるダンジョンに入れますので,時間は少しかかりますけれどJobLv70まで十分稼げると考えています。
4Gamer:
山本さんの2022年は,どうでしたか?
山本氏:
昨年のインタビューで「2022年のYggdrasillワールド(※)は,PvPもPvEもいろいろやります!」と言っていましたが,肝心の4次職の実装が延びて,通常ワールドのほうを手伝っていた結果,Yggdrasillワールドに注力できなくなってしまいました。
※全ワールドのプレイヤーが入れて,多人数でプレイ可能なコンテンツが楽しめる特殊なワールド
4Gamer:
なるほど。4次職に合わせた難度と話していましたから,その前提がないのでは進められませんね。
山本氏:
はい。ともあれ,4次職はなんとか実装にこぎ着けられたので,言い訳になってしまいますが,2022年は下準備の年という事にしていただけると。詳しくは順を追ってお話ししますね。
拡張職も上位に! 新たなカテゴリーとなって実装される8職業を公開
4Gamer:
では,2023年のロードマップを教えてください。
中村氏:
4次職実装時に皆さんから,4次職以外の職業,つまり“拡張職”について「4次職に相当する新クラスは実装されないのか?」という要望を多くいただきました。これについては,カテゴリー的に“上位特殊2次職”という形で実装するというのが回答になります。
4Gamer:
テコンキッド系が拡張職で,忍者やガンスリンガーは特殊職でしたよね。
中村氏:
そうですが,名称が職業によってバラバラだったので,今回統一しようということになりました。ドラムのサモナーは別カテゴリーですが,ガンスリンガー系列,テコンキッド系列,忍者系列,そしてスーパーノービスは,総称として特殊1次職,以降は上位特殊1次職,上位特殊2次職というカテゴリーに入ります。そして,2023年に実装されるのは,上位特殊2次職となります。
4Gamer:
現在はガンスリンガーが特殊1次職,その上位のリベリオンが特殊2次職,星帝やソウルリーパーは上位特殊職となっていますよね。これも変わるわけですか。
中村氏:
はい。現在の特殊2次職や上位特殊職は,上位特殊1次職となります。リベリオン,影狼,朧,星帝,ソウルリーパーですね。その1つ前のクラスが特殊1次職となります。
4Gamer:
いろいろと混ざってしまって,昔から遊んでいるプレイヤーほど間違えそうですね。
山本氏:
これまでも名称が分かれてややこしかったので,この機会に仕切り直そうということです。職業数も多くなるので,なかなか大変なんですけど。
中村氏:
職業名はすでに決まっていて,影狼・朧の上位職はそれぞれ「蜃気楼」「不知火」,リベリオンの上位職は「ナイトウォッチ」,星帝は「天帝」,ソウルリーパーは「ソウルアセティック」,スーパーノービスは「ハイパーノービス」,サモナーは「スピリットハンドラー」となります。
蜃気楼 |
不知火 |
ナイトウォッチ(男) |
ナイトウォッチ(女) |
天帝(男) |
天帝(女) |
ソウルアセティック(男) |
ソウルアセティック(女) |
スピリットハンドラー(男) |
スピリットハンドラー(女) |
ハイパーノービス(男) |
ハイパーノービス(女) |
4Gamer:
上位特殊2次職の特徴として,どのような要素があるのでしょうか。
中村氏:
それぞれの職業に新要素が追加されます。まだ概要レベルですが,例えば蜃気楼や不知火は,忍術の属性が増えます。今は火と水と風の忍術しかありませんが,そこに闇属性と地属性の忍法が追加されます。
4Gamer:
レベル上限やJobLvはどうなるのでしょう。
実装時のレベルキャップに合わせます。今は4次職のBaseLv220がレベルキャップですが,段階を踏んで250まで持っていく予定なので,そのときに開放されているレベルが上位特殊2次職にも適用されることになります。
JobLvもBaseLvと同様で,段階的に開放して,最大でJobLv50になる予定です。現状はJobLv40で止まっていますが,実装時に開放され,上位特殊2次職が実装されるタイミングでのJobLvに合わせます。
4Gamer:
これらが実装されるのはいつごろですか?
中村氏:
2023年内,夏ごろの予定です。
4Gamer:
ところで,その中でも特殊なクラスであるハイパーノービスのスキルは,どういう形になるのでしょうか。
中村氏:
基本的には3次職スキルのつまみ食いになると思います。既存スキルの派生版,という位置づけになるかと。
以上でクラスに関しては,上位特殊2次職まで実装して一段落になりますね。韓国でもその先の話は発表されていないですし,まだ4次職の調整もしているみたいなので,一旦落ち着く感じになると思います。
4Gamer:
その調整の内容によっては,日本でも順次追加されていくのでしょうか?
中村氏:
日本と韓国は仕様的にかなり違う部分がありますので,韓国の調整内容をそのままこっちに持ってくることは多くないと思います。ただ,スキルの内容が変わるとか,サーバーに負荷がかからないようにするとかは,ちょっとずつ入れていくと思います。
2023年のPvPは小規模戦とバトルコロッセオが正式実装。各種PvEコンテンツは難度を調整し4次職も楽しめるように
4Gamer:
Yggdrasillワールド関連では,どのようなアップデートを予定されていますか。
先ほど少しお話ししたように,2022年は4次職実装の手伝いをしていたため,Yggdrasillワールドをあまりアップデートできませんでした。それもあって4次職は現時点で,Yggdrasillワールドに入れないんです。なので,まずは1月24日にYggdrasillワールドで4次職を使えるようにします。
4Gamer:
なぜ,4次職実装と同時ではなかったのでしょうか。
山本氏:
何が起こるか分からなかったからですね。そもそもYggdrasillワールドは日本で管理している特殊なワールドで,開発元とは切り離して(ガンホーで)作られているんです。何かが起きる可能性もあったので,少し様子を見るという意味で実装時期をずらしました。
4Gamer:
なるほど。
山本氏:
現状までの様子を見る限り,問題はなさそうなので1月24日から4次職が入れるようにして,同時に攻城戦YE(GvG)で使えるようになります。2月中旬から始まるRJS(RagnarokOnline Japan Siege wars)も4次職を対象にした大会になります。
4Gamer:
4次職じゃないとRJSに参加できないというわけじゃないですよね。
山本氏:
はい。ですが,3次職と4次職ではレベルやスキルには相応の差があるので,大会までに4次職になって研鑽されたギルドさんは強いんじゃないかと思っています。
このRJSは年3回,2月,5月,9月の開催を予定しています。あとは2022年に期間限定で実装した小規模戦の正式実装を目指します。
中村氏:
通常のGvGやRJSは56vs.56の戦いですが,小規模戦は36vs.36の規模の小さいGvGです。
山本氏:
RJSでのプレイヤーさんへのインタビューや,投稿でいただいた要望から生まれたのが小規模戦なんです。
4Gamer:
通常の攻城戦よりも少ない人数で戦いたいという要望があった,ということですか。
山本氏:
GvGは,時間内の最後にエンペリウムを取っているギルドが勝利しますが,戦力差があるギルドが戦った場合,例えば試合時間が1時間としても最初の5分で決着が付いてしまい,残り55分は消化試合になってしまうので,早く切り上げたいという人もいるんです。それを解決するため,試合時間内で条件を満たせば決着が付きます,というシステムを採用したのが小規模戦なんです。
4Gamer:
なるほど。人数だけでなく,勝利条件などもシェイプアップされたGvGなんですね。
山本氏:
今はテスト開催中ですが,システム的には安定していますし,足りない機能も分かっているので,それらを追加して正式実装したいと思っています。ただ,1つ問題がありまして……。
4Gamer:
問題というと?
山本氏:
開催時間の問題です。始まるのが日曜日の23時から24時なので,終わるころには日付が変わって月曜日に入ります。乱戦,マッチング戦が21時から22時なので,そこから休憩時間を挟んで23時,急いでも22時半ぐらいからしか開催できなくて。
4Gamer:
空いている時間の問題ですか……。
山本氏:
それなら夕方はどうかというと,休日ですし,夕食だったり家族サービスだったりの人もいらっしゃるでしょう。20周年を迎えるタイトルだからこその問題というか,プレイヤーの皆さんも大人になって時間の使い方が大変になっているので,深夜よりも参加しづらい時間帯と言えるんです。
4Gamer:
土曜日は無理なんですか?
山本氏:
土曜は土曜で模擬戦という制限のあるGvGを開催しているので,そことバッティングします。現状模擬戦にマッチング戦,乱戦も参加するとなると土日の21時から22時は占有されますし,そのうえ小規模戦を昼間に開催するとなれば「(ROの対人戦だけで)土日の両方を潰させる気か」という問題も発生するんです。
4Gamer:
RO以外のゲームを遊んでいる人も少なくないでしょうし,時間の取り合いは大変ですよね。
山本氏:
そこを解決してからになりますが,システム的には完成しているので細かい調整をしつつ4月末ぐらいには実装できると思います。
4Gamer:
タイミングとしては,RJSの最終戦と被るくらいの時期ですか。
山本氏:
そうなりますね。ずれたとしても5月中旬ぐらいにはスタートできると思います。
あとは,さらに小規模なPvPコンテンツとなる「バトルコロッセオ」で,いろいろとシステムを試していて,こちらも安定しています。現在はいくつかのNPCがテスト用の配置になっていますので,そのあたりをブラッシュアップし,大会の開催をシステムに組み込みやすくして,本実装に持っていけたらいいですね。
4Gamer:
ところで,これらは4次職に対応するのでしょうか。
山本氏:
小規模戦は4次職に対応します。バトルコロッセオは,ひとまず3次職までの制限とします。様子を見つつ開放していこうと思います。
また,現在のバトルコロッセオは装備をレンタルしているのですが,これは維持します。以前は装備の持ち込みも考えているとお話ししましたが,完全にレンタルのみにしました。その代わり,レンタルをポイント制にして,決められたポイントの範囲内で装備を選んで戦うという形になります。
4Gamer:
例えば参加するキャラクターに1000ポイントが配布されて,そのポイント内で装備品やアイテムをやりくりするという感じですか。
山本氏:
そうです。ありきたりではありますが,現在のテストでは全部借りられるので,簡単に最強装備を揃えられちゃうんです。それよりは,もうちょっと戦略性を出そうかなと。
4Gamer:
なるほど。バトルコロッセオはいつ頃の正式実装になりそうですか。
山本氏:
NPCのブラッシュアップが残っているので,少しお時間をいただいて,4月ぐらいですね。1回ブラッシュアップして,大規模なリセットなどをしてからの実装になると思います。現在はテストなのでほぼ毎日開催していますが,正式実装後は週2回ぐらいにしようと考えています。
4Gamer:
控えめな開催間隔になるんですね。
山本氏:
火曜日のアップデートで新しいイベントが始まったら,それをやりたいという人もいますし,それとは別のコンテンツを遊びたい人もいる。それを考えると,毎日5人のメンバーを集め続けるのは,意外とキツいと思うんです。
4Gamer:
確かに大変ですね。あと,小規模戦,マッチング戦,乱戦と並行する形で,バトルコロッセオの大会を開く余裕はあるのでしょうか。
山本氏:
バトルコロッセオの大会は,1日で終わるタイプにするつもりです。一発勝負で決着が付く対人コンテンツだからこそ可能だと考えていて,過去のRJCのようにゲーム内でトーナメントを自動で作り,丸1日で全試合を終わらせて,優勝は……みたいな形に持っていければ,と。
あとはオンライン大会なので,優勝が決まれば優勝用のゲーム内アイテムをその場で自動的に配れます。大会自体は開きやすいと思うので,定期的に開催したいですね。
4Gamer:
なるほど。PvP関連でほかには何かありますか。
山本氏:
YggdrasillワールドのPvPは,これでほぼすべてのコンテンツが実装となります。あとは,既存コンテンツの報酬が少し古くなっているので,その見直しですね。バトルコロッセオは装備がレンタルできるのでPvPの登竜門という形で,そこから徐々にステップアップしていけるようなPvP向けの報酬を考えたいと考えています。
4Gamer:
バトルコロッセオから入って小規模戦や乱戦,マッチング戦へ向かってくれれば,と。
山本氏:
事前の準備が何もいらないので,ROの対人戦てこういうものなんだ,というのをまず感じてほしいです。そもそもですが,ROの対人コンテンツは,尖ったものですから。
4Gamer:
そのうえ本格的にやるには準備が大変ですよね。装備しかり,回復アイテムしかり。
山本氏:
そうです。こういう装備が必要なんだ,と理解できる最初のステップになってもらえればと思っています。そこから人数が増えると連携が必要になることを学んでいただけるでしょう。
4Gamer:
これを機会に,ROでの対人戦人口が増えてほしいところですね。
山本氏:
実は,報酬が欲しいという理由でPvPに参加される方もいるんですよ。レンタルで全部揃えられるなら,試しにやってみようというプレイヤーもいるはずなので,とっかかりになることを期待しています。
中村氏:
あと,さらに参加のハードルを下げられるシステムとして,職業ごとのテンプレートみたいなものを“職業コード”として吐き出す機能があります。正式実装前に一度リセットされますが,実装後はツイッターなどでコードを貼ってもらって,情報共有や研究に使えます。
4Gamer:
初心者には嬉しい機能ですね。
山本氏:
運営としては,ここからカスタマイズすればいいよというコードを用意できればと考えています。あまりやりすぎると押しつけのようになって,運営とプレイヤーの考えが剥離しているみたいになりかねないので,初心者向けにこれぐらいは付けましょうくらいの内容にしたいですね。
4Gamer:
分かりました。PvE系のコンテンツはどうでしょうか。
山本氏:
2022年までのYggdrasillワールドは,どうしてもPvPに注力せざるを得ない状況でした。しかし,2023年の前半で概ねPvPコンテンツはすべて揃うので,そこから先はPvEにも力を入れて,各コンテンツの大改修をしようと思っています。
4Gamer:
おお,やる気満々ですね。
山本氏:
現在PvEは,ティアマト攻城戦YEと蜃気楼の塔YEの2つが動いています。
ティアマト攻城戦YEですが,現在は難度が「Easy」「Normal」「Hard」「Inferno」の4つです。しかし,Yggdrasillワールド実装時から動いている古いコンテンツでもあるので,Infernoが相応しい難度じゃなくなっているんです。
4Gamer:
そこに4次職が参加するようになると,物足りなりなくなりそうですね。
山本氏:
はい。なので,現在のEasyとHardを撤廃し,Normalの中身をまるまる現在のInfernoに近いものにします。
4Gamer:
つまり,Inferno相当のNormalが新しい最低難度になるわけですか。
山本氏:
はい。3次職,BaseLv200向けの難度になります。Infernoは4次職を対象としたBaseLv250向けの難度になり,撤廃したEasyとHardの代わりに,新しくExtraとUltimateが入ります。
中村氏:
Extraは,去年のインタビューの時に話をしたと思うんですが,職業やレベルを制限したものになる予定です。
山本氏:
ExtraとUltimateの難度は,クリア後のお楽しみコンテンツみたいな位置づけですね。Extraは上位2次職,BaseLv99までのティアマト攻城戦YE。Ultimateは,人数制限のあるティアマト攻城戦となります。
4Gamer:
Ultimateのレベル制限は?
山本氏:
Ultimateに関しては人数制限のみで,レベル制限は考えていません。現在のInfernoのティアマト攻城戦YEは,多い時には900人が参加しているコンテンツで,今は人数が少ないときは150〜200人でクリアできています。これを30人でクリアするみたいな感じの調整を行います。
4Gamer:
1人1人の負担がすごく重そうですね。
山本氏:
だからこそのやり込みコンテンツにしたいと思っていますし,報酬もどちらかというと名誉になる衣装や称号などを考えています。今,Hardで遊ばれている3次職の方々には新しいNormalを遊んでもらい,4次職になったら新しいInfernoにチャレンジしてもらって毎週のクリアを目指す。それ以外に自分は職業制限で遊びたいというのであればExtra,少人数でクリアを目指すのであればUltimateという形で遊び分けていただければと思っています。
4Gamer:
現在のEasyやNormal,Hardでプレイしている人は少ないんですか。
山本氏:
Hardはいますが,Easyはいませんね。Normalはたまに1人でクリアを目指している人がいるぐらいです。
4Gamer:
それはそれですごいですね。
山本氏:
今だと2/3ぐらいまでクリアして,ギミック的に一人では厳しくて,そこをどうしようかと試行錯誤されていると思われる方がいらっしゃいますね。
4Gamer:
なるほど。現在のNormalがなくなる前にクリアできるのか,気になります。
山本氏:
通常ワールドの蜃気楼の塔も,一番上の難度は人がいっぱい集まりますけど,その下の難度は人が少ないんです。それを利用して,1人で蜃気楼の塔をクリアしようとする人もいます。
4Gamer:
縛りプレイをして楽しむプレイヤーは,MMORPGに限らずいますからね。
100人のキャラクターが協力してクリアするコンテンツを作っているはずなのに,1人で登り切ってクリアしました!と記念写真を上げていて(笑)。
中村氏:
すごくやり込む人はいるので,そういう結果がちゃんと見えるものとして,Yggdrasillワールドでもチャレンジしていただけるコンテンツを作っておいたほうがいいのかな,とは思います。
4Gamer:
蜃気楼の塔は20年も経っていませんが,長く運営してきた積み重ねの結果,そういう遊び方も可能になってしまった,ということなんでしょうね。
山本氏:
そうですね。MMORPGは基本,人数を限定するよりもたくさんの人が集まって,みんなでワイワイしましょうというコンテンツが多いんです。だからこそ,その真逆,数人のために用意するコンテンツはなかなか作れないんですよね。
4Gamer:
少ない人数のためだけに,どこまでコストを割り振るかというのもありますし。
山本氏:
はい。でも,そういう遊び方をされているプレイヤーさんも,MMORPGで遊んでいるということなので,そんな人のために用意しようというのが,ExtraとUltimateなんです。
4Gamer:
そのうち,Infernoを1人でクリアする人も出てくるんでしょうかね……。
中村氏:
2人でスイッチを押せみたいなギミックを作るつもりはないので,キャラクターが成長してくれば,あるいは……可能かもしれません。繰り返し遊ぶと慣れて,同じレベルでも時間短縮につながっていくので,最終的に1人で踏破するというところに向かっていくのはありえると思います。
山本氏:
ティアマト攻城戦YEは以上のような形で,2月ぐらいに変更を行おうと思っています。
4Gamer:
一気に4つの難度が入れ替わるんですか。
山本氏:
一気にではなく,まずは既存のものが新しいNormalとInfernoに変更されます。ExtraとUltimateは,衣装や称号を用意しなくてはならないので,それが終わり次第,3月くらいに実装できると思います。
4Gamer:
分かりました。
山本氏:
蜃気楼の塔YEについては,現在NormalとHardの難度がありますが,こちらもティアマト攻城戦YEと同じ表記にしようと思っています。つまり,「Normal」「Inferno」「Extra」「Ultimate」ですね。
4Gamer:
以前のインタビューで,ExtraとInfernoを予定しているとのことでしたが,あれとは違うのでしょうか。
山本氏:
その2つがようやく入ります。対象はティアマト攻城戦YEと同様で,Infernoが4次職向け,Extraが上位2次職向けです。Hardは廃止となり,現行Normalの中身が今のHardに変わります。
4Gamer:
Ultimateはどのようなものに?
山本氏:
蜃気楼の塔YEは人数制限が96人ですが,Ultimateは最大で16人での攻略になる予定です。
4Gamer:
その人数でクリア可能なんですか?
山本氏:
1ルートあたり2人ですね。ただ,蜃気楼の塔YEはルートを捨てられる(※ただし攻略の難度が変動する)ので,例えば4人で各ルートを進むこともできます。なので,集まった16人で相談しながら攻略しようというコンテンツになると思います。
4Gamer:
16人……4次職ならいけるのでしょうか。
山本氏:
どうでしょうねぇ。あと,ティアマト攻城戦YEは戦闘不能になっても,ベースキャンプで復帰して徐々に押し上げていくコンテンツですが,蜃気楼の塔YEは中で戦闘不能になると放り出されるコンテンツです。しかし,現状の1回の戦闘不能で放り出されるのは今のプレイヤーさんに合っていないと思っているので,少し緩和して2回は戦闘不能になってもプレイを続けられるようにしようと考えているところです。
4Gamer:
無鉄砲になれるほどじゃないですが,もらい事故で放り出される可能性が減るのは嬉しいですね。
山本氏:
緩和はしますが,戦闘不能になったら最終的に放り出されるのは変わりません。ティアマト攻城戦YEと蜃気楼の塔YEは,同じPvEでも遊び方が違うコンテンツとしてアピールしていきたいですね。
4Gamer:
実装内容は一気に切り替わる感じですか。それとも段階的に?
山本氏:
蜃気楼の塔YEは全部同時です。実装は4月から5月にさしかかるぐらいの時期を予定しています。
4Gamer:
その時点から4次職で蜃気楼の塔YEが遊べるのでしょうか。
山本氏:
Yggdrasillワールドでの4次職使用は1月24日から使用可能になるので,それに合わせて現時点の蜃気楼の塔YEも4次職で参加可能になります。
4Gamer:
ティアマト攻城戦YEにも1月24日から参加できるんですか?
山本氏:
できます。ただ,2月の改修時に難度を仕切り直すので,それまでは今のInfernoになりますね。ひとまずは全部のコンテンツに参加できるようにしてから,リニューアルしたときにすべて仕切り直します。
4Gamer:
分かりました。
山本氏:
そしてもう1つ,モンスターハウスというPvEコンテンツがあるのですが,こちらをモンスターハウスYEとして改修し,2023年に実装します。
これは蜃気楼の塔YEとティアマト攻城戦YEの間ぐらいの難度となるコンテンツになる予定で,戦闘不能になっても再入場できますが,再入場には1分間のクールタイムがあり,それがペナルティ扱いになります。基本的には通常ワールドのモンスターハウスを踏襲し,Yggdrasillワールド用にカスタマイズしたものになり,難度も前述の2つと同じで,切り分け方も同じです。
4Gamer:
事前にテストの実施予定はないんですか。
山本氏:
テストの予定はないですが,最初はプレオープンとしてスタートする可能性はあります。また実装と同時に通常ワールドのモンスターハウスは撤去となり,それに伴って,クエストにモンスターハウスが関わるものは,Yggdrasillワールドのほうに行くか,別のものへと置き換えるかの形で対処します。実装時期は,新しく作り直すところもあるので,だいたい7月末ぐらいを目安に考えています。
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