［E3 2005＃011］「Prince of Persia 3」がプレイアブル展示

　なぜか筆者が，毎年真っ先に足を向けてしまうUbisoftブース。2005年は，ここ2，3年と異なり，PCゲームの大手パブリッシャが集まるSouth Hallの通路側という比較的人通りの多い場所での展示となっていた。
　"Rainbow Sixシリーズ"や"ゴーストリコンシリーズ"といった定番シリーズを中程度のブースで，その年度で一番押したいタイトル（今年はどうやら「King Kong」のようだ）を巨大ブースでと，ブースの大きさにメリハリを付けて展示しているのは，同社の常套手段であり，例年通りである。
　毎年，中堅クラスのタイトルを多く揃えた展示が魅力の同ブースだが，今年のPCゲームの完全新作は，その「King Kong」だけ。今年は全体的に，PCタイトルはXboxをはじめとしたコンシューマ機への移植を考慮したのかトゲの取れたものが多く，かなり豪華なラインナップである半面，PCゲーマーとしては少し寂しい気もした。



　さてそんな中で，いつものようにライトゲーマー，コアゲーマーの好みを問わないビジュアルで人目を惹いていたのが，"Prince of Persiaシリーズ"最新作，「Prince of Persia 3」（以下，PoP3）だ。
　PoP3は，「Prince of Persia：The Sands of Time」を起点とする，"3D版PoP"三部作の完結編。ストーリーは，第2作「Prince of Persia：Warrior Within」のエンディング直後，つまり主人公のPrinceが，故郷Babylonへ戻るところから始まる（ちなみに第2作は，第1作と比較して評価とセールスの両面で反応が乏しかったらしく，今作では第1作Sands of Timeのプロデューサーを再び起用したらしい）。

　今作の（前2作と比べての）特徴は，大きく分けて「アクションパターンの追加」「戦車戦」「Dark Princeの追加」の三つが挙げられる。とくに本作のあるべき進化として欠かせない「アクションパターンの追加」は，「Dark Princeの追加」に大きく関連している。



　このDark Princeとは，主人公Princeの"悪の側面"のこと。
　PrinceはPoP3の冒頭で，戦争によって荒廃した故郷Babylonで囚われの身となる。彼を救い出すために，彼の愛する女性KaileenaがSands of Timeの封印を解いてしまい，その影響で，Princeの精神は徐々に蝕まれていく。そして発現した（してしまった？）能力が，彼をDark Princeに変えてしまうのである。

　プレイヤーは，マップに配置されている特定の"ポータル"によって，PrinceをDark Princeに変身させられる。Dark Princeは，Princeよりも多くの（残酷な）攻撃スキルを有しており，多対1で圧倒的に不利な場面など，要所でその特性が発揮できるようにゲーム自体がデザインされている。
　Dark Princeの武器は主に"鎖"で，離れた場所から敵を絡め取ったり，敵の頭上からそっと鎖を引っかけて首を吊ったりと，立体的なマップを最大限に利用して攻撃できるのが最大の特徴だ（鎖や手足を同時に使用して周りの敵を一度に倒す"Speed Kill"というスキルも，Dark Prince変身時にのみ使用できるとのこと）。

　もちろんPrinceの通常アクションも強化されており，例えば第1作からお馴染みの"壁走り"では，着地と同時に敵にダメージを与えるアクションも繰り出せる。第1作から第2作への進化の過程でスピード感の増したアクションに，さらにメスが入れられているのだ。



　もう一つの特徴である戦車戦についても説明しよう。

　これはPoPシリーズ共通の，"楽しいけれども延々と続くと飽きるアクション"にメリハリを付ける意味で作られたと思われる，馬が引く戦車（チャリオット）を用いた3人称3D視点のモード。敵の操る戦車と車体をこすりあって，相手を壁や穴に追い込んだりといった，ミニゲームライクなモードである。
　ただ，一見レースゲームのようにも見えるこのモードは，実際にはレース的要素よりも，馬上で敵と剣を交わすなどのアクション部分が見どころ。地に足をつけての戦闘と同様，馬上でも敵に一撃死を与えた場合にはシーンがクローズアップされてスローモーションになるなど，カタルシスを高める仕掛けはキチンとある。


　PoP3は，主人公のアクションパターンを増やす"あるべき進化"と共に，戦車戦やDark Princeといった新要素を追加することで，シリーズのファンへの訴求力を高めている。
　一応確認のため，Ubisoftスタッフに「ほんとに完結編？　これだけの人気シリーズなのに」と聞いたところ，「完結編ですよ。一応……」とずいぶん曖昧な答えが返ってきた。「Game of The Year」をはじめ，数々の賞を受けてきた本シリーズだけに，これで完結というのはファンが許さないだろう。

　本作は，PCとXboxで2005年11月に発売予定。追って4Gamerお馴染みの直撮りムービーもUp予定なので，お楽しみに。（Gueed）