インタビュー
[インタビュー]20周年を迎えた「ラグナロクオンライン」の新たな挑戦とは? RO運営スタッフに2023年のロードマップを聞いた
ギルド向け新コンテンツ「不夜城(仮)」が2023年末に実装
4Gamer:
既存のものの改修も多いですが,4次職でも遊べるPvEコンテンツがかなり充実しそうですね。
山本氏:
でもまだ,2023年の実装予定の前半なんですよ。年末には,まったく新しいコンテンツ「不夜城(仮)」を実装する予定です。去年のインタビューで話していたものの,2022年に実装できなかったギルド向けのPvEコンテンツで,不死種族のみが出現するダンジョンを最大56人で攻略するものです。
4Gamer:
不死種族というと,いわゆるゾンビとかグール系でしょうか。
山本氏:
そうですけど,想像されているのはたぶん不死属性のことですよね。
4Gamer:
ああ,そういえば不死種族の中には,不死属性ではないのもいましたね。
山本氏:
不死種族は,夜中も眠らずに徘徊しているというイメージです。なので「不夜城(仮)」なんです。コンセプトワードは,「力」「金」「運」です。
4Gamer:
なんというか,ある意味でMMORPGでは直球的な要素ばかりですね。
山本氏:
それらがどう影響するかというと,まず参加方法です。「力」の部分はマッチング戦,小規模戦で勝利したギルド。不夜城自体は1週間に1度参加できるコンテンツにしようと思っていますが,その週に勝利したギルドが参加できますというイメージです。「金」は1週間のオークション期間に競り落としたギルドが入れます。
4Gamer:
入場する権利を落札するというわけですね。
山本氏:
はい。「運」に関しましては,1週間に1度抽選へ参加できて,当選した人が入れるみたいな感じですね。
4Gamer:
それは分かりやすいですね。
山本氏:
ダンジョンには,高価な装備がないと倒すのに時間がかかるモンスターがいたり,運が良ければショートカットできたりといったギミックも用意する予定です。
4Gamer:
入場の手段がいくつかありますが,ダンジョン内のルートはすべて一緒ですか?
山本氏:
入場する権利の獲得方法が違うだけで,中身は全部一緒です。でも1週間に1回しか参加できないので,力と金の2つの権利を持っていても,どちらかしか参加できません。とてつもなく巨大な力を持ったギルドが独占みたいなことは,難しい状態にしています。
4Gamer:
入場権利を得たプレイヤーが,不夜城というインスタンスダンジョンを1週間に1回開けるといった感じでしょうか。
山本氏:
例えばマッチング戦,小規模戦で勝利すると,ギルドマスターが入場権利を獲得できます。そのギルドマスターが不夜城を開き,自身を含めたギルドメンバー(最大56人)が入場できます。Yggdrasillワールドはギルドが作り放題なので,例えば金で落札した人や運で入場権利を得たソロプレイヤーが,その場でギルドを作って参加者(ギルドメンバー)を募集するなんてことも可能です。
4Gamer:
臨時パーティを作る感覚でギルドを作って,チャンレンジすることも可能なんですね。出現するモンスターは不死種族だけなんですか?
基本的にはそうです。内容的には4次職を対象にした完全なエンドコンテンツなので,実装されてすぐにクリア! という形にはならないと思います。時間をかけてクリアを目指してもらえれば,と。
中村氏:
時間をかけて攻略とは言いますが,一生懸命プレイして攻略する人もいるので,不夜城(仮)も比較的早く攻略されてしまうかもしれませんね。
4Gamer:
そこは開発側の想定を超えてくることがよくありますね。
山本氏:
不夜城(仮)では,これまでのROでは使ってこなかったギミックも実現できそうなので,今までの常識にとらわれて「こういうことはやってこないだろう」というのは固定観念で考えないほうがいいかもしれません。
4Gamer:
どんなものか気になりますね。ところで,不夜城(仮)も時間オーバーで放り出されてしまうのでしょうか。
山本氏:
放り出されます。まだ予定ですが,制限時間内に様々な条件を満たす事で出現するボスを倒していき,最終的にはすべてのモンスター倒すといった作りになりす。
4Gamer:
これも,プレオープンやテストを行ってから,本スタートになるのでしょうか。
山本氏:
これは最初から本スタートになる予定です。報酬などもいろいろと出すつもりです。
4Gamer:
難度は1つですか。
山本氏:
1つです。あと,人数が制限されているので,もっと大規模で遊びたいという要望は来るだろうと予想しています。そこは2023年内に対応するのが難しいので,実装後の遊ばれ方や状況を見て,2024年以降にどうするかを考えたいと思います。
中村氏:
不夜城(仮)も含めて,2023年はYggdrasillワールドでも4次職が活躍できる場所,楽しめる場所をドンドン増やしていきたいですね。
新エピソードは北方の大地「イスガルド」が舞台
再来週(2022年12月20日)に実装されるエピソードアップデート「EPISODE:The Double Goddess〜祈りの方向〜」も4次職が楽しめるコンテンツですけど,2023年も新エピソードのアップデートを実施しようかと思っていて,そちらも4次職に対応したものとなります。
4Gamer:
それは3次職でも参加できるけど,稼ぐなら4次職という感じですか。
中村氏:
いえ,クエストの開始が4次職からとなります。「祈りの方向」から4次職が参加条件となるので,ストーリーを楽しんでいるプレイヤーさんは,4次職になって進めてくださればという感じですね。
4Gamer:
既存のプレイヤーであれば,アニバーサリーイベントなどでレベルアップチケットも配布されたので,お話を楽しむ分には,そこまでハードルは高くなさそうです。
中村氏:
「祈りの方向」は,ラヘルで起こった原住民とアルナベルツ教会のもめ事を仲裁しに行くと,その影で逃亡していたイルシオンたちが暗躍していたという形で始まります。過去の「大神官」クエストで失脚した強行派のトップ,ユス・アマール大神官がイルシオンの協力を得て,女神フレイヤを復活させようというのが主なストーリーの流れでした。
その後,盗まれたユミルの心臓の欠片を使ってデミフレイヤというフレイヤの偽物を作りだしてしまいます。最終的にはデミフレイヤと冒険者が戦うハメになるんですけど,そのどさくさに紛れて主犯格が逃げてしまう。
4Gamer:
ユス・アマール大神官が?
中村氏:
彼は逃げられないんですけど,彼に協力していたバゴットという研究者が逃げ出して,北のほうに行ったという情報を手に入れます。そして,物語はミッドガルツ大陸の北,海を越えた先に新しい展開が待っています。
4Gamer:
そこって,現在のマップにはないですよね?
中村氏:
ありません。新しい大陸の名前は「イスガルド」で,エピソード名も「イスガルド」になる予定です。登場人物としては,マラムとミリアムのほかに,久しぶりに「うさんくさいサングラス」でおなじみのレイジーさんが出演となります。
4Gamer:
さすがに暖かそうな恰好をしていますね。
中村氏:
あれでも彼は凄腕のエージェントなんですけど,下には相変わらず「I Love Yuno」のTシャツを着てますよ。今回は帽子のブランドにも注目してほしくて,「プパ」って描いてあるんです。
4Gamer:
拡大してなんとかというレベルですが,確かに。
中村氏:
イスガルドは実はルーンミッドガッツ王国と深い関わりがありまして,なぜかというとヨルムンガンドが封印されている土地なんですよ。ヨルムンガンドと言えば,ルーンミッドガッツ王国建国時に7人の勇者が封印したけれど,彼らは呪いを受けてしまった……という話が,歴史学者クエストで見られます。そこには,「海を飲む大きな蛇」という記述があります。
4Gamer:
そのクエストって相当前ですよね。覚えがあるにはありますけど,何かのクエストの前提クエストだったような……。
中村氏:
ルーンミッドガッツ王国の国王が行方不明になって,探しに行くために修道院へ……あたりの一連のクエストです。それで,修道院へ行くと。
4Gamer:
地下でお亡くなりになっていた王様を発見する,でしたね。
中村氏:
はい。それで,王位継承をしなくてはということで「七王家とユミルの心臓」へとつながるわけです。その因縁があるヨルムンガンドが封印されているイスガルド,北の大陸に向かうというのがストーリーとなります。
4Gamer:
なるほど。
中村氏:
実際,ヨルムンガンドが封印されていので,入るために特別なアイテムが必要となります。そして,イスガルドでは封印を守っている方々と協力して,ヨルムンガンドの封印が解かれないように頑張るという展開のようです。
4Gamer:
その時点でフラグが立ってる気がしなくもないですが(苦笑)。
中村氏:
その先がどうなるかはまだ分かりません。実装は2023年11月を予定しているので,しばらくお待ちくださいといった感じですね。そもそも,1つ前のエピソード「賢者の遺産」から「祈りの方向」が実装されるまでに,2年ぐらい経っちゃっているんですよね。
4Gamer:
「祈りの方向」もギリギリ2022年に入るかどうか,という感じでしたし。
中村氏:
ですから次のエピソードはあまりお待たせしないようにしたいんですが,まずは特殊職のアップデート後があるので,それが落ち着いてからというタイミングになると思います。
4Gamer:
ところで,イスガルドにはフィールドはあるんですか。
中村氏:
あります。サファ族がいたフィールドがあったじゃないですか。あれに近いけど,雰囲気が違うというイメージでしょうか。あそこも異世界でしたけれど,今回のイスガルドも異世界のようなものだと思ってください。
4Gamer:
世界観的には地続きだけど,ゲーム的には異世界みたいなつながりという感じでしょうか。
中村氏:
そうですね。
それともう1つ,20周年の施策がらみでご説明をしておきたいのが,韓国で実装済みの「幻想叢書」というコンテンツです。「叢書」は短編集やアンソロジーという意味合いの言葉で,幻想叢書は例えばエピソードの裏側で起こっていた事件や,クローズアップされなかった“とあるキャラクター”のお話といったサブストーリー的なものを集めたコンテンツです。
4Gamer:
サラの記憶などの「英雄の痕跡」と同じようなコンテンツですか。
中村氏:
英雄の痕跡は原作のコミックのキャラクターが登場するものですが,幻想叢書はエピソードの登場人物にフォーカスが当てられていて,メインストーリーの隙間を補完するものであったりとか,人気のあるキャラクターが活躍する小話みたいなものだったりになります。
4Gamer:
通常ワールドでプレイできるサブクエストみたいか感じでしょうか。それともインスタンスダンジョンに?
中村氏:
内容もいくつかあって,先ほどお話したとおり,メモリアルダンジョンの中で進行するものもあれば,通常マップで複数人同時に体験できるもの,あとは未実装ですがレイド的なコンテンツも入れたいという話を開発元のGravityから聞いています。
4Gamer:
幻想叢書とひとまとめに言っても,内容はそれぞれで違うんですね。
中村氏:
違った遊び方ができるものを1つに集めるコンテンツのようで,共通の“栞”というアイテムが手に入って,それとアイテムを交換できるシステムもあるそうです。
幻想叢書にはそれぞれブックナンバーが付いていて,順番に体験できるそうで,いくつかはもう韓国で実装が始まっています。
第一話は本の世界に入り込むというストーリーで,一冊の小説の世界を体験しようと思ったときに,7王家の一人アグネスが突然現れて「私も一緒に入りますわ!」と言い出して,一緒に入ったものの「小説のストーリーとちょっと違うんだけど!?」みたいなドタバタした内容になっています。
4Gamer:
日本での実装はいつ頃になるんですか。
中村氏:
2023年の中頃を予定していますが,実はここで幻想叢書を紹介している理由に,アニバーサリーイベントで実施したキャラクターの人気投票があるんです。
4Gamer:
アニバーサリー会場のステージ上にいたキャラクター達ですよね。
中村氏:
中間発表を今日(12月6日)行いましたが,教皇がトップです。教皇が4万4000票,2位がスキア・ネリウスの3万8000票。3位が王女メアの2万8000票です。2位との差もそれほど開いてないので,逆転できる目も残っています。
4Gamer:
でも順当なところですよね。投票は年末まででしたっけ?
中村氏:
12月27日までなので,ちょうど折り返しとなりますね。それで,すでに公約しているとおり,1位になったキャラクターを主人公にした新作ストーリークエストを実装することになります。
4Gamer:
ああ,なるほど。それが幻想叢書として実装されるわけですか。
中村氏:
はい。Gravityと一緒にどういう形でストーリーを実装しようかと話したときに,幻想叢書の1つでという話をいただいたので,それでいきましょうと。
人気投票の結果が出てから制作を始めますが,2023年の中頃ぐらいには完成すると思います。そのあと日本でも実装して,幻想叢書を実装したほかの国でも順次遊べるようになっていきます。
4Gamer:
では,人気投票でトップになったキャラが,日本での幻想叢書の第一弾となるんですか。
中村氏:
日本での第一弾にしたいということで話を進めています。もともと,ブックナンバーが決まっているコンテンツなんですが,日本では人気投票をやっているので,せっかくなら最初にNo.1となったキャラクターの話を入れたいですよね。
4Gamer:
でも「幻想叢書として実装する」というのは発表していないですよね?
中村氏:
していないです。人気投票のサイトには「完全新作のストーリークエスト」としか書いてないので,具体的な話はこのインタビューが初めてです。プレイヤーさんの中には,茶番劇的な,すぐ終わるストーリーじゃないかと考えている方もいらっしゃるみたいで,そういうレベルのものじゃないということを先に話しておきたかったんですよ。
4Gamer:
今回のインタビューを読んで,「投票前に知りたかった!」というプレイヤーもいるかもしれませんね。優勝最有力の教皇は「真昼の弦月」などでも掘り下げられているので,ほかのキャラのストーリーが見たかった,なんて人もいそうです。
中村氏:
この時点ではまだ優勝は決まっていませんが,たぶんこの流れで行くと教皇ですね。
4Gamer:
ちなみに,幻想叢書のボリュームはどれぐらいを見込んでいますか。
中村氏:
以前モンスターサイドストーリーを実装したことがありましたが,あそこまでは長くはならないと思います。
4Gamer:
あれは長いというか,連作ストーリーでしたよね。幻想叢書は連作と単話のどちらでしょうか。また,第一話をやらないと第二話ができないという制限はありそうですか。
中村氏:
一部連作があるみたいです。全6部構成のものとか。
4Gamer:
それはちょっと大作ですねえ。
中村氏:
でも,それって生体工学研究所に関するサイドストーリーなんですよ。それは(登場する6人の)キャラクターが分かってないとダメだなと(笑)。
4Gamer:
ああ,それは納得です。
ところで,これらは一回プレイしたら終わりですか。英雄の痕跡は何度もプレイ可能ですが。
中村氏:
ルートによっては特別な報酬がもらえるようなので,一回で終わりということにはならないと思います。ただ,繰り返しプレイできても報酬を何度ももらえるわけでもないですね。仕様としてはBaseLv100以上入場条件なので,難度もそれほど高くありません。
4Gamer:
定期的に入ってきて,楽しめそうなコンテンツとして期待します。メインストーリーや幻想叢書のほかに通常ワールドで予定しているアップデートなどはありますか。
中村氏:
例年の季節イベント,ダンジョンの拡張など小さなアップデートを適宜に実施する予定です。やはり遊べるコンテンツを増やすというのは大事ですし,2022年に関してもいろいろな追加コンテンツやHardモードの追加などをやらせていただきました。2023年に向けて4次職や上位特殊2次職向けに難度の高い,遊びごたえのあるコンテンツを実装していきたいですね。
4Gamer:
分かりました。では2023年に向けて,読者へのメッセージをお願いします。
山本氏:
Yggdrasillワールドは対人向けのコンテンツを優先することが多かったので,2023年はPvEを盛り上げていきたいと思っています。ちょっと盛りすぎた気もしますが,頑張ってできるかぎり発表通りのスケジュールでの実装を目指しますので,よろしくお願いします。
中村氏:
ROは2023年に21年めに入ります。20周年は区切りの1つではありますが,終わるわけではないですし,実装物やアップデートは開発元を含めてやる気満々です。
東日本大震災のときに意地でもサーバーを止めないと選択したように,安心して人が集まれる場所にしているという自負もあります。
もちろん,ゲームとしての楽しさを体験してほしいというのもありますので,楽しんでいただけるコンテンツをどんどん実装し,いろいろな形で親しんでいけるタイトルにしたいので,引き続き応援をよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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